広告経済の次 #9: 『テクノ封建制』
広告経済の次を描くのにヒントになりそうな本、
今日は『テクノ封建制』(ヤニス・バルファキス)という本を紹介します。
タイトルだけで拒否反応が出る人もいるかもしれませんが、いま私たちが生きている「世界」で何が起きているのか理解するうえで、非常に示唆に富む本です。
「資本主義はもう死んでいる」
著者ヤニス・バルファキスは、かつてギリシャの財務大臣を務めた経済学者。
そんな彼が本書で語るのは、いまの経済が「資本主義」であるという認識そのものへの疑義です。
「資本主義とは、利潤を動機として市場で商品を生産し、競争するシステムだったはず。
でも、今のプラットフォーマー GoogleやAppleやAmazonがやっているのは、そういうことじゃない」
そう言ってバルファキスは、「資本主義はすでに死に、われわれはテクノ封建制に生きている」と語ります。
領主=プラットフォーム、農奴=ユーザー
テクノ封建制とは、巨大テック企業が中世の「領主」のような権限を持ち、ユーザーが「農奴」のように無償のデータや労働を提供させられている構図のこと。
たとえばSNSに投稿すれば、それはその場の活性化や広告価値の向上につながる。
マップのクチコミを投稿すれば、よりよいナビゲーションが提供される。
でも、それらの価値は誰が受け取るのか?
ほとんどの場合、それはプラットフォームの収益へと変換され、我々の手元には戻ってこない。
しかも、ルールは一方的に変更され、アカウントは予告なく凍結される。
これは、まさに「土地を持つ者」と「持たざる者」の非対称な関係そのものです。
「広告経済」の正体も、封建制の延長にある
こうして見ると、広告モデルを中心に回っている今のネット経済そのものが、テクノ封建制の中核にあるとも言えます。
アルゴリズムは誰に向けて何を表示するかを決め、ユーザーの行動は精緻にトラッキングされ、広告主はそのインサイトに対価を支払う。
でも私たちユーザーは、そのプロセスから利益を得るどころか、「監視される側」「搾取される側」として存在している。
広告が「無料の対価」である、という説明も、すでに幻想かもしれません。
まずは何が起きているか把握しなければ・・・
私自身、「広告経済依存」の弊害は深刻だと考えていましたが、
この本読んで、より一層怖くなりました。
これは単に我々が「何かに依存している」という問題ではなく、
既に「支配されている」ということなのだ、と。
しかも、人類がとっくに克服したと思っていた「封建制」という言葉が
ぴったりの構造なのだ、と。
あまりにもスパッと明快に描いてくれるので、
逆に、自分自身でゆっくり考えないといけない、
と思いました・・・
さて、まずは今を理解しなければいけませんね。
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