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【ハイキュー!! TO THE TOP】喝采はいらん、ちゃんとやんねん。稲荷崎・北信介に捧げたい勝利がある。

今回振り返るのは、感情を揺さぶられまくった『ハイキュー!! TO THE TOP』(アニメ第4期)です。

激闘の末に白鳥沢学園を倒し、悲願の春の高校バレー全国大会への切符を手にした烏野高校排球部。
いざ全国へ、というタイミングで飛び込んできたのは、天才セッター・影山飛雄の「全日本ユース強化合宿」招集というビッグニュースでした。
さらに、月島蛍にも宮城県1年生選抜強化合宿の召集がかかります。
しかし、主人公である日向翔陽には声がかかりません。
焦りから、日向は呼ばれてもいない宮城県の合宿に押しかけるという暴挙に出ます。
全国大会という未知の舞台へ向け、それぞれが己の課題と向き合い、さらなる高み(TO THE TOP)を目指す、というストーリーです。

全編を通して名シーンの連続なのですが、私がこの第4期を観て、最後まで一番言いたかったこと、一番胸をえぐられた感情を最初に言わせてください。

「稲荷崎高校の北(キタ)信介。この人に勝ってほしい、勝利をこの人に届けたい」

心からそう思わされんねん。
だって、誰が見てもちゃんと頑張ってる人で、うまい人なんやろ。
スター選手がひしめく中で、「喝采はいらん、ちゃんとやんねん」と言い切る彼の生き様に、どうしようもなく惹かれてしまうんです。

今回は、合宿編から全国大会の激闘、そして稲荷崎戦の結末まで、私が熱狂したポイントを順番に語っていきます。

選ばれなかった者と、コートの外から見える景色

春高出場の垂れ幕が揺れる中、日向と影山が最高到達点でジャンプの高さを競う。
そんな平和な日常を切り裂いたのが、影山の全日本ユース招集でした。
19歳以下の日本代表。
2年後に世界と戦う代表候補。
すごいとしか言えない。
一方で月島にも宮城県の疑似ユース合宿の声がかかり、日向だけが「選ばれない」現実を突きつけられます。

それでも、日向は諦めませんでした。
なんと宮城県の合宿に勝手に乗り込むのです。
「僕は知らない、知らない人です」と他人のふりをする月島、大笑いする田中さんとノヤっさん(西谷)。
この烏野のワチャワチャ感が良いんですよね。

しかし、現実は甘くありません。
白鳥沢の鷲匠監督から「影山というセッターがいないお前に価値は感じない」と冷酷に言い放たれ、与えられたポジションは「球拾い」。
バレーボールにおいて、ボールに触れないことほどしんどいことはありません。

ただ、ここからの日向の「観察」が本当にすごい。

「何かを成すには一歩一歩順番になさねばならない」という言葉通り、コートの外から見える情報の多さに気づいていくんです。
うまいやつはスパイカーのフォームで打つ場所がわかる。
スプリットステップ。
着地の瞬間に一歩目を弾き出す。
今までずっとボールだけを追っていた日向が、コートの中には情報がいっぱいあることに気づく。
ここからの彼の成長速度は、見ていて本当にワクワクしました。

そして、他のキャラたちもそれぞれにもがいています。
ユース合宿で全国有数の選手たち(ネガティブなサクサや、オールラウンダーの星海など)に揉まれる影山。
2mの長身ゆえに苦悩する百沢に対し、「楽してこうぜ」と高く優しいパスの重要性を伝える日向。
「選ばれないということはやつの実力」とバッサリ斬りつつも、どこかで日向を気にしている鷲匠監督。
すべてのキャラクターが、次のステージへ行くための「種まき」をしている期間でした。

新たな「コート上の王様」の誕生

合宿が終わり、烏野高校に戻ってきたメンバーたち。
そこで組まれた伊達工業との練習試合は、チームに大きな波紋を呼びます。

春高予選の時に比べて、鍛錬されたバンチリードブロック(真ん中に束になってブロックする戦法)に磨きがかかっている伊達工。
良いブロックはセッターに相当なプレッシャーを与えます。
「俺は、伊達高に真ん中以外を選ばされた」と焦る影山。
次第に、彼のトスはスパイカーの要求とズレ始め、チーム内にギスギスした空気が溜まっていきます。

「俺は良いトス上げてます、もっと決めてください」

久々に飛び出した、中学時代の影山を縛り付けていた「王様節」。
しかし、今の烏野は違いました。
納得いかなかったら聞かないし、言い方が気に入らなかったら文句を言う。
月島も日向も、そして先輩たちも、影山と正面からぶつかり合います。
「どんなにいい子ぶろうとしても、お前は王様なのだ」という気づき。

日向がタオルで王冠を作り、影山の頭に乗せた瞬間、何かが吹っ切れたような清々しい顔を見せた影山。
ここから、本当の意味での「新・コート上の王様」が誕生したんだなと胸が熱くなりました。
彼らは常に変化する。
最初に通用していたマイナステンポの武器も、後になって通じなくなるかもしれない。
だからこそ、先へ行く。
日向がまぎれる攻撃で伊達工のブロックを崩壊させていく流れは、烏野の理想的なストーリーそのものでした。

いざ全国、オレンジコートの魔物と音駒の根性

そして迎える春高本番。
オレンジコートの戦い。

初戦の椿原学園戦では、いきなり日向のシューズが取り違えられるというアクシデントが発生します。
ここで動いたのが清水マネージャー。
「ここは、通過点すから」と走る彼女の過去回想。
陸上のハードル選手だった彼女が、他人だったチームメイトたちと繋がり、コートに立たずとも「ここが私の最前線」と挑む姿には、目を潤ませずにはいられませんでした。

試合に入っても、全国の舞台は魔物だらけです。
巨大な体育館の空間認識に苦戦する影山。
椿原学園のアンダーハンドからの天井サーブに翻弄される澤村キャプテン。
コートで最もメンタルのコントロールが難しいサーブで、木下が悔しさを滲ませるシーンもリアルでした。
それでも、エース・東峰の強烈なバックアタックで勝利を収めた烏野。
彼らはもう「落ちた強豪」ではなく、他校にとって「得体が知れない」存在へと進化していました。

並行して描かれる音駒高校の試合も最高でした。

早流川工業の「音駒の脳(研磨)を潰す」というフィジカル削り作戦。
しかし、ネコマタ監督の教え子である相手監督の思惑を、音駒は粘り強い守備で跳ね返します。
「根性って何だろう」と自問しながらも、最後の最後で機敏に動く研磨。
それを「根性じゃなくて何なのか」と見つめる虎。
仲間のために頑張ることは、決しておかしいことじゃない。
守備対守備の我慢比べを制した音駒の姿に、バレーボールの奥深さを見ました。

バケモンたちの宴と、最強の挑戦者・稲荷崎

そして、春高2日目。
烏野の前に立ち塞がったのは、優勝候補の兵庫県代表・稲荷崎高校。
全国の2位と戦うという圧倒的なプレッシャーの中、会場は稲荷崎の応援団が作り出す異様な空気に包まれます。
自チームには静寂、相手チームには手拍子から早くなる煽りとブーイング。
勝手にリズムを作られ、サーブの邪魔をされる。
ダイブ邪魔くさい。
それでも、冴子姉さんの和太鼓応援が間に合った時の安心感といったらありません。

稲荷崎の核となるのは、高校No.1セッターの宮侑(アツム)と、双子の治(オサム)の宮兄弟。
スパイクサーブとジャンプフローターの二刀流で西谷を狙い撃ちにし、なんと試合中に日向と影山の「変人速攻」をパクってのける。
かっこいいもん、真似したいやんか。
バレーボールを愛し、純粋に強さを求める彼らは、中学生でも宇宙人でもない、ただの「バケモン」でした。

この試合、烏野のメンバー全員に見せ場があります。

狙われ続けてメンタルがマイナスになりかけながらも、極上のラインショットを決めた田中。
「自分は平凡なんだ」とどん底に落ちた後、登る以外の道はないと自らを奮い立たせる姿に、どれほど勇気をもらったか。

そして、アツムの強烈なサーブを一本で切り、控えの木下を指さしてガッツポーズをした西谷。
「怖い」と言える強さを持ち、仲間を頼ることを覚えた彼の姿には、たまらないカタルシスがありました。

喝采はいらん、ちゃんとやんねん。北信介の生き様

激闘の中、稲荷崎のリズムが少し狂ったタイミングで投入されたのが、キャプテンの北信介でした。

彼は決してスター選手ではありません。
「ただのしのぎ役やから、怖がらんでもええよ」と自ら言うように、圧倒的な身体能力があるわけではない。
しかし、彼がコートに入るだけで空気が締まる。

強いという自信ではなく、「しくじらないという自信」。

中学三年間、一度もユニフォームをもらったことがなかった彼。
それでも、「反復、継続、丁寧は心地ええんや」「誰かが見とるよ」と、毎日欠かさず同じルーティンをこなし続けてきた。
その結果として3年生でユニフォームをもらい、涙を流す姿。

「結果よりも過程が大事。結果は副産物。喝采はいらん、ちゃんとやんねん」

この言葉に、どれだけの人が救われたでしょうか。
特別な才能がなくても、毎日当たり前のことをちゃんとやり続ける。
それがどれほど難しく、そして尊いことか。
彼がコートで完璧に山口のジャンプフローターサーブをレシーブした時、「驚かないことがシンスケへの一番の賞賛」という言葉に深く頷きました。
彼を入れるのは守備強化だけでなく、絶望の継続。
点差が開いた時に空気を締める役割は、彼にしかできないのです。

そして、真っ向勝負の結末

試合は最終盤へ。

互いにマッチポイントを握り合う、ヒリヒリするような総力戦。
疲労と極限の集中の中で、ついにあの瞬間が訪れます。

稲荷崎の放った、完全に決まると思われたボール。
それを、かつてボール拾いとしてコートの外から情報を観察し続けた日向が、完璧な位置でレシーブするのです。

「オーーーーーーーーラーーーーーーーーイ」

高く、優しいタッチ。
味方に呼吸を整えさせるボール。

「楽、してこうぜ」

あの百沢にかけた言葉、ボール拾いで培った凝縮された思考。
まぐれじゃない。
苦しい、もう止まってしまいたいと思った瞬間からの、光が差し込むような一本。
影山の「ナイスレシーブ」という言葉に、日向だけでなく見ているこちらまで泣きそうになりました。

そして最後。

マイナステンポの双子速攻・裏。
完全に意表を突いたはずのその攻撃を、影山と日向がダブルブロックで完全にシャットアウトします。

驚く周囲をよそに、この二人だけは一ミリも動揺していなかった。
「速さは無敵ではない」ことを、人より少しだけ知っていたから。

東京体育館がどよめきに揺れる中、烏野高校の劇的な勝利で試合は幕を閉じます。

試合後、負けた稲荷崎の宮兄弟は「いつかあんたにトスを上げるで。でもその前にインターハイで潰したるで」と未来を見据えていました。
良い試合は、いつだって賞賛に包まれる。

でも、私はやはり北さんの背中を見て思いました。

彼が笑っていたからこそ、やっぱり悔しい。

「どや、俺の後輩、凄いやろ」って、もっともっと彼に言わせてあげたかった。
美しく去っていく北信介という男に、どうしても勝利を届けてほしかったと、胸が締め付けられるのです。

春高2日目。

この作品が、もう一度深くバレーボールにハマらせてくれた日。

テレビを見ながらワイワイ騒いだり、先輩たちがお風呂でしみじみと試合を振り返ったりする、そんな等身大の彼らの姿が愛おしい。

『ハイキュー!! TO THE TOP』は、何度見返しても新しい発見と、圧倒的な熱量をくれる作品です。
才能と努力、そして日々の積み重ね。

北さんの「ちゃんとやんねん」の精神を胸に、私も明日からまた、自分の日常をちゃんと生きていこうと思います。


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