オリジナル短編小説『友達がいなくなる理由』
僕の名前は清人。
小学6年生になったけれど、友達はいなくて、いつだってひとりぼっちだ。
昔からそうだった。
「仲良くなれた!」と嬉しくなってルンルン気分でいても、3日ほど経つと、決まって相手から「もう話しかけないで」と言われてしまう。
きっと僕は、無意識のうちに人を傷つけたり、イライラさせたりする天才なんだと思う。
問題なのは、僕自身にその自覚症状がまったくないことだ。
頭の中は、いつも疑問でいっぱいだった。
なんで僕は嫌われるんだろう?
僕は一体、何をしたんだろう?
誰も理由は教えてくれない。
いつも決まって、急にそっぽを向かれる。
しつこく「理由を教えてよ」と聞き返すと、突き飛ばされたり、怒鳴られたりして、昨日まで友達だったはずの相手は激しく怒ってしまうのだった。
「友達なんかいらない。一人で生きていく」
ある日、お母さんにそうこぼすと、お母さんは優しく微笑んだ。
「それでええよ。家族がおったら、なんとでもなる」
お母さんはいつだって、こんな僕の絶対的な味方でいてくれた。
僕が「また友達に嫌われた!」と泣きつくと、いつも「大丈夫、大丈夫。お母さんがおるからね」と抱きしめ、安心させてくれた。
中学校に進学したある日、僕は不良と呼ばれる上級生たちに声をかけられた。
そして、生まれて初めて「万引きをしてこい」と脅された。
「無理や、そんなことしたら母ちゃんが泣く!」
僕が必死に拒むと、不良たちは激怒し、僕をボコボコに殴りつけた。
気がついたとき、僕は病院のベッドの上にいた。
3日間の入院が必要なほどの大怪我だった。
お見舞いに来たお母さんに、僕は震える声で訴えた。
「もう怖くて、学校に行けないよ……」
すると、お母さんは穏やかな顔でこう言った。
「大丈夫やけん。あの子らは、もう学校には来えへんよ」
その言葉の意味が、僕には分からなかった。
けれど退院して学校へ戻ると、あの不良たちは本当に姿を消していた。
噂では「学校なんかアホらしくてやってられるか」と言って、急に来なくなったらしい。
友達もいて、親もいて、普通に学校に通える環境もあるのに、どうしてそれを自ら手放してしまったんだろう。
僕は不思議で仕方がなかった。
数日後、あの不良の一人が、僕の家の前にある公園にいるのを見かけた。
「やばい、見つかったらまた殴られる。逃げなきゃ」
身を隠そうとした僕の目に、信じられない光景が飛び込んできた。
不良の隣にいたのは、僕のお母さんだった。
お母さんは笑顔を浮かべながら、その不良に何枚もの一万円札を手渡している。
不良もまた、見たこともないような丁寧なお辞儀をして、笑顔でそのお金を受け取っていた。
なんだ、これは。どういうことなんだろう。
胸の中に湧き上がったモヤモヤした気持ちを、どうしても誰かに話したくて、僕はクラスで一番「暗い」と言われている町田くんに打ち明けてみた。
すると、町田くんは思いもよらない言葉を口にした。
「君の人生の脚本家は、君のお母さんなんだよ」
「……どういうこと?」
「この街で、君のお母さんに逆らったら生きていけない。……君を愛しすぎているんだろうね」
「ねぇ、何言ってるの?」
僕が困惑して問い詰めると、町田くんは怯えたような目で僕を見て、声を潜めた。
「僕がこの話を言ったこと、誰にも言わないでよ」
「うん、わかった」
次の日、学校に行くと、町田くんの席は空席だった。
彼は、教室のどこにもいなかった。
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物書きを仕事にしたくて頑張ってきました!1度諦めた夢です。しかしnoteと出逢えて表現場所が出来て嬉しいんです!有料記事を無くしていきたいのでチップの応援お願い致します🙇♂️