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現代社会構造の寓話: もしも自由と倫理が話せたら

自由「歴史を見れば明らかだ。古代ローマから産業革命まで、経済的繁栄には常に安価な労働力が発展期に存在しているのだ」

倫理「①安価な労働力を求めて非正規雇用を増やしても、経済成長出来ていません。②子育て世帯など、家や車や教育費と消費や投資をしてくれる人々が減ってしまっています。③あと、奴隷制度自体だめなやつです」

自由「現代の労働市場は違う。労働者は自らの意志で契約を結んでいる。これは合意に基づく取引だ。だれも強制していない」

倫理「安い賃金で働くことを率先して望む人は少ないし、より良い選択肢があれば選ばないのだから、その契約や合意は自由なものですか? 選ばないと飢えるしかないなどの事情はないですか」

自由「だからこそ市場の多様性と流動性が重要なんだ。規制が少なければ、より多くの経済機会が生まれ、労働者の選択肢も増える」

倫理「『規制が少なければ、より多くの経済機会が生まれ、労働者の選択肢も増える』ことは、日本で規制緩和して非正規雇用を増やしたり、外国人の実習生や研修生を利用しても実現していませんよ」

自由「いや、研修制度や実習制度は双方に利益をもたらすものだ。技術移転と経済発展、これは互恵関係ではないか? 非正規雇用も正規雇用より、何かきっと自由があったのではないか?」

倫理「それは建前ですね。本音は?」

自由「奴隷制度はみんなやってた。儲かるの大好き」

倫理「人身売買はだめです」

自由「——労働力。労働市場なら問題ないよな?」

倫理「①運用によります。②その人達は資産形成したり、キャリア形成したり、家庭を持ったり、夢を叶えられるのですか?」

自由「それは甘えだ。自己責任だ」

倫理「①そうやって奪ったから、少子化止まらないでしょう。②お仕事をして資産とキャリアが出来て、望むなら家庭を持って、夢を叶えていると希望を持ちやすいです。③また、子育て世帯は、家や車や教育費など多くの消費をしてくれます。それでは、自分のお客さんを減らしてますよ」

自由「お前のセリフ長い。ならわかった、研修生や実習生ならよかろう?」

倫理「①事実上の移民です。②単なる労働力ではなく、同じ社会に暮らす人として迎える仕組みが必要です。③それでも、移民を受け入れてきた実績のある国でも複雑な問題が起きています。あなたのお子さんやお孫さんの世代に、難問を押し付けてしまいますよ」

自由「①私も上の世代のように儲けて何が悪い。②先送りも年金問題など行われている。我々も踏み倒されたのだから、踏み倒す番だ。いわば、未来へのバトンリレーだ」

倫理「①借金の世代を越えた押し付けですよね? ②未来の負担で競争するのは変です。
③また、奴隷制、非正規雇用、研修生や実習生などを安く使い社会的な責任を果たさず、問題は未来に先送りしないと続かないお仕事は破綻しているから、社会に必要とされているのですか」

自由「頭の固いやつだな。私が売りたいと思ったものを買ってもらえる、ビジネスじゃないか」

倫理「どんな問題解決をして価値を生むのですか?」

自由「うちの商品は本質的で構造的だ。外部不経済(社会的コストの転嫁)を売っている」

倫理「AIとロボット技術で労働力の問題が変化したら、それはどうなるのですか」

自由「抽象概念を買うやつが悪い」

倫理「あなたも抽象概念なのに、どなたに売ったのですか?」

自由「誰に売ろうが、私は何者にも縛られない」

倫理「あなたは文明社会を利用しており、公共の福祉を脅かしてはいけません。ルールを守らない自由は自由ではありません」

自由「奴隷制が続いていれば、非正規雇用の人材が無限に続けば、何も考えずに済んだのに」

倫理「人身売買はだめです」

自由「理想論だ。国際競争の中で、コスト削減は生存戦略。これに対応できない産業は淘汰される。それが創造的破壊というものだ」

倫理「しかし、その『創造的破壊』のコストをあなたは負担しないと、外部不経済を自覚しています」

自由「何を言う? 技術革新による破壊と社会的コストの関係性は、例えば馬から車に変わったように、AIやロボットへどう変わるのか、それは市場が決めることだ。消費者が選択し、投資家が判断する。無駄なものは淘汰される。それが資源の最適配分というものだ」

倫理「市場は人の尊厳などを扱うのは苦手ですよ。どうしても短期的な利益を選んでしまうから。コミュニティの絆や環境破壊も同じことが言えます」

自由「では具体的な解決策を提案してみてほしい。理想を語るのは簡単だが、実行可能な政策とは何か?」

倫理「①まず、労働の価値を再評価すること。短期的利益だけでなく、人間の成長と社会への貢献を評価する経済指標を開発すべきです。②これは暮らしの安全など多くのメリットがあります。③次に、教育と福祉の強化。④そして、企業の社会的責任を法的枠組みの中に位置づけ、うやむやに出来なくすること」

自由「それは大きな政府と何が違うのか? 自由市場への過度な介入だ。だがまぁ、一部の提案には検討の余地があるかもしれんな。特に教育改革と暮らしの安全」

倫理「①自由は重要な価値です。ただし、すべての人の尊厳と機会が保障される枠組みの中での自由です。②対立して奪い合うのではなく、例えばサッカーなどのようにルールの中で競える環境の整備が大切です。自由なサッカーは、何をしても許されるわけではなく、トップリーグの選手はルールを守って一流の結果を出せます」

自由「『審判(政府)・観客(市民社会)・育成システム(教育)』など、労働と競争以外もなぞらえることができるな」

倫理「分かってくれましたか!」

自由「理想論と現実のバランスは簡単ではないが、対話の価値はあるだろう。ただし、その対話の場も、市場原理という『物理法則』の中に、自由があることを忘れるな」

倫理「その『物理法則』ですが、気候変動やパンデミックなど、市場が自然法則を無視する傾向により、世界的な危機も起きました」

自由「だから、今こそ私の外部不経済を買え」


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自著

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