メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(676)-(680)
皆様、こんにちは。鹿冶梟介(かやほうすけ)です😆
小生はSNSであまり時事ネタを書くことは少ないのですが、今回は自分の知識を整理する上でも触れたい事件があります。
それは、女優の広末涼子氏が高速道路で事故を起こし、搬送先の病院で看護師に暴力を振るった事件です。
事件があった直後は「薬物使用」の疑惑があり、警察による家宅捜索もあったそうですが結果は「シロ」。
つまり違法薬物摂取による事故・粗暴行為ではなかったようですが、そうなると残る線はやはり精神疾患が原因と考えられます。
このためネットでは医療関係者による様々な憶測が飛び交っておりますが、基本的に直接診察をしていない医師が診断を下すことは御法度と言われております(ゴールドウォータールール)。
従って、小生も基本的に存命中の方の精神科的診断(考察)は避けているので(病跡学は大好物ですが)、広末涼子氏が何病であったかについては言及しません。
しかし、もし広末氏が精神疾患であるならば、今後どのような処遇になるかについて、簡単にまとめたいと思います。
通常警察官は逮捕された容疑者に精神疾患であると疑い、かつ自傷他害のおそれがあると判断した場合、「直ちに」精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第23条通報*を行う必要があります(*保健所長を経て都道府県知事に通報)。
そして、精神保健指定医による診察が数日以内に行われ措置入院の要否が判断されます。
しかし、本note記事を執筆している4月12日現在、同氏が措置診察を受けた等の報道はされておりません。
これには二通りの解釈があり、ひとつは警察から措置診察に関する情報が漏れていない、もうひとつは警察は広末氏を精神疾患と疑っていない(あるいは精神疾患とみなすことに都合が悪い)場合があります。
前者であれば通常の手続きに基づいて警察は対処していると思いますが、後者であれば明らかに「忖度」が働いているように感じます。
もちろん不起訴処分になった後、検察官による申立に基づき心神喪失者等医療観察法の流れにのる可能性もありますが、この場合は重大犯罪に限るので今回のケースが医療観察法に該当するかは微妙です*。
邪推かもしれませんが有名人ということもあり、23条通報はせず釈放後精神科受診を勧める...、ぐらいに落ち着くのではと思っております。
勿論、シンプルに広末氏の素行が非常に悪辣であり、正常心理状態で行われた犯行であれば、逮捕起訴される可能性は十分ありますが...。
要するに「Maji(マジ)でKiso(起訴)する5秒前」あるいは「Maji(マジ)で措置(Sochi)する5秒前」...ってかんじですね(←これが言いたかっただけ)🤔
*医療観察法は重大犯罪(殺人、傷害、放火、強盗、強制性交等、強制わいせつ)の場合に限り、傷害については被害者の被害状況により適応の可否が判断されます。
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↓全盛期の広末氏、とても可愛かったのですが…。
【今日の精神医学豆知識集!(その136)】
676.二十年ほど前に欧州で生まれた「リアリティ番組」だけど、出演者のメンタルヘルス悪化が世界的に問題になっているよ。2020年の時点で40人以上の自殺者が出てるって。5年前に日本でも悲しい事件があったけど何らかの対策が必要だね。
【メタルのおまけ】
リアリティ番組における出演者の問題って世界的になっているみたいだね。リアリティ番組ではないけど、同じようなことが映画の「悪役」にもおこっているってさ。例えば映画ハリーポッターの悪役マルフォイを演じたトム・フェルトンは、マルフォイのイメージが強すぎてリアルな世界でいじめを受けていたんだって。そのせいで彼はアルコール依存症になり治療のため入院したこともあるんだって。本当にひどい話だよね...。
↓マルフォイ、いいキャラクターでしたね。
677.摂食障害はTV放送などのメディアによって影響されるよ。例えばかつてふくよかな女性がモテていたフィジーでは1995年にTV放送が開始されると過食嘔吐をする女性が急増したってさ。TVを介して欧米の美意識に侵食されたんだね。
【メタルのおまけ】
フィジーなどのポリネシアやアフリカの一部では、やせた女性よりもふくよかな女性の方がモテるよ。食糧難が問題となるこれらの国において、太っているということは健康であり美しいものとみなされるんだ。人の外見の良し悪しって、結局は背景にある文化や価値観次第ってことだね。だから何でもかんでも欧米のマネをするのは、どうなんだろうね?
↓フィジーの気分を味わいたい人は、是非!
678.クリニックに「TVをみて心配になってきた」と言って受診する人がいるよ。精神科では特に「認知症」を特集した番組の翌日に検査を希望する人が来ることがあるよ。
【メタルのおまけ】
TV放送後の病院受診は精神科ではそれほど大きな影響はないけど、総合外来や救急外来は大変だろうね。以前知り合いの医師からきいたんだけど、「危険な頭痛」についてお昼の某番組で特集をした翌日は大変だったらしいよ。来る人来る人が、CTやMRIを撮ってほしいとせがむんだって...。健康に関する啓発は良い事なんだけど、不安お煽るような放送はやめてほしいね。
↓ようするにこの番組のせいですね。
679.統合失調症はその時代のテクノロジーに関連した幻覚や妄想が生じるよ。例えばTVが普及し始めてから「TVで自分の噂話が放送されている」と訴える人が現れたよ。最近ではSNSで自分の情報が筒抜けになっている...と訴える患者さんが増えたね。
【メタルのおまけ】
これは以前から言われていることだけど、統合失調症の症状って「流行」に敏感なところがあるね。TVやSNSの登場以前だと、ラジオから悪口が聞える...とか、電波が...なんて訴えることがあったよ(電波は今でもあるね)。こういったテクノロジーが発展する前は、おそらく幻聴の多くは宗教的な解釈(神からのお告げ、悪魔の声)がなされていたと言われているよ。
↓最近のTVはリモコンにネット動画のボタンもあるので、便利ですね。
680.精神科外来でいつもワンパターンの質問しかしないことを「ドリフ診療」と呼ぶよ。その理由は往年のTV番組"ドリフターズ"のいかりや長介よろしく「眠れてますか?」「ご飯食べてる?」「薬飲んでる?」「また来週!」って毎回聞くからだよ。
【メタルのおまけ】
ババンバ、バンバンバン♪「夜はちゃんと眠れているか?」
ババンバ、バンバンバン♪「ごはん食べているか?」
ババンバ、バンバンバン♪「薬ちゃんと飲んでいるか?」
ババンバ、バンバンバン♪「また来週!」
... ...という3分診療を揶揄するのが「ドリフ診療だよ」
きっといかりや長介が受診したら、「ダメだこりゃ」って言うね!
↓伝説のバラエティ番組ですね。今や同じことができるTV局ってないんじゃないですかね?
【メタル君の考察】
今回は「TV」に関係する精神医学ネタをツイートしたよ!
今回のネタで鹿冶さんのnote記事と関係するのは「推しの子と精神医学」かな?
リアリティ番組の問題点を解説しているから、是非読んでみてね!
それからドリフ診療については、精神科クリニックで行われている3分診療を揶揄しているんだけど、患者さんとの付き合いが長く、信頼関係があると短時間の診察でもokだと思うよ。
それでも3分は短いね...。最近の調子、仕事の調子、家族や友達との関係、睡眠、食欲、内服状況、副作用、今の困りごとをササっと聞いても5-6分以上はかかると思うけどね。
ちなみに精神科外来では5分以下、5分~30分、30分以上で診療報酬の額が異なるよ。
これからもマニアックな精神医学ネタをビシバシ紹介するぞ😆
↓スライムのハンドミラー、ちょっと欲しいかも。
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— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) March 22, 2022
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