【vol.1】「実行力」を身に付けるためには何をしたらいいの?(決心編)
今回は『後回しにしない技術(著:イ・ミンギュ)』を参考にさせていただいて、「実行する」ための方法を整理しようと思います。
特に今回は、(私の仕事のこともあり)受験のためのコーチングの視点で、学習者に実行してもらうための具体的なアクションをまとめます。
書籍内では、大人が仕事をするときに活用できる考え方も多数書かれていたので、是非読んでみることをオススメします。
事例や研究内容の記載も豊富で、抽象論になりがちなこの手の本の中では、具体的なアクションや意味がわかりやすいという印象です。
後回しにしない技術(著:イ・ミンギュ)
本記事では、書籍と照らし合わせやすいように、書籍内のタイトルと記載を引用させていただき、それについての受験コーチングとしての私なりの視点を追加する形で考えてみようと思います。
引用しながらになるのでとても長くなってしまい恐縮ですが、コーチングの際の具体的なアクションに繋げるネタとして読んでいただけると幸いです。
引用を含みつつでかなり長くなるので、今回は「vol.1 決心編」について書きます。
残り二つもお読みいただけると幸いです。(【大前提】については重要なところなので毎回入れています)
vol.2 実行編
vol.3 維持編
【大前提】実行力は資質ではなく技術だ
・実行力は生まれつきの資質ではなく、学んで練習すれば誰でも開発できる、一種の「技術」だ。(p6)
コーチングがサービスとして最も価値が出せるのは、まさにこの考え方が前提にあると思います。
コーチングでは「答えは本人の中にある」という考えのもと傾聴することが重要と言われます。全くもってその通りだと思います。
ただ、それで考えが整理されてスッキリしたから終わりというのは現実的には何も変わっていないという可能性が高いと言わざるを得ません。
短期的な悩みならそれで良いのですが、まさに受験のような長期的に考えるべき目的(仕事や生活、自己実現も実際ほとんど短期的な話ではないはずです)には、考えを整理して目的を決め、具体的なアクション(手段)を検討して、そしてそれを「実行」して初めて前に進められます。考えるだけでは何も生まれません。
したがって、考えを整理した後に、それを解決するために「実行」させることがコーチングの価値であり、そして「実行すること」はやる気というような気持ちの問題ではなく、再現性のある技術だからこそ、誰でも習得ができる、つまり、学べるものであると言えます。
・実行力は「決心―実行力―維持」という3段落からなる。(p8)・決心の階段→実行の階段→維持の階段(p8)
こちら当たり前に思えますが、だからこそ改めてどのようなことが実現できる技術なのか、そのノウハウの段階を整理できるということです。
以下、この「決心・実行・維持」の3段階に分けて、コーチングで必要な姿勢や考え方を整理します。
【決心1】目標をイメージするだけではなぜ失敗するのか?
・ゴールではなくプロセスを「見える化」する(p24)・「切実に願い、生き生きとイメージさえすれば、夢がかなう」といったプラスの自己暗示は、実際には思ったより効果はなく、目標を達成するうえでかえって邪魔になることもある(p25)
・「毎日生き生きとイメージしてごらん」と言って、そうではない大学生のグループと実際の中間テストの点数を比べてみた。研究の結果は予想を裏切るものだった。高い点数を取ったのは、イメージしなかった学生たちだったのだ。(p25)
まずこの点がコーチングの視点として重要で、目的だけをイメージさせるコミュニケーションのみは絶対にダメです。
ゴール(目的)に行きつくための解決策が大切であり、ある意味ゴールは結果論です。
つまり、実行が重要であるということです。
🌟コーチングポイント🌟
目的をイメージさせることよりも、実行プロセスを具体的に検討する
【決心2】実践を続けられる人の特徴
・イメージを現実にするには必ず満たしておくべき前提条件がある。それは、成功への道を探し出すこと。(p29)
・目標を達成した場面をイメージする「ゴールの視覚化(Outcome-oriented Visualization)」よりも、目的までのルートを正しくとらえる「プロセスの視覚化」の方が、ずっと重要なのだ。(p29)
・自分は目標達成の具体的な方法を探し出せる(p30)
学習者自身に手段を常に探し求める姿勢があればどんなことでも成功します。
ただ実際は、それができれば苦労はないというのが正直なところです。
だからこそ、そこをサポートして、一緒に考えるのがコーチの役割です。
🌟コーチングポイント🌟
実行するためのプロセス(手段)を探す手伝いをして、その姿勢を学習者に身に着けさせる
・目標を達成するには、ふたつの動機付けが必要だ。すなわち「スタート・モチベーション」と「持続モチベーション」だ。スタート・モチベーションは、目標を達成した状態をイメージすること(ゴールの視覚化)によってつくられ、持続モチベーションは目標達成までのプロセスによってつくられる。(p30)
個人的には、長期的目標と短期的目標という整理になると思います。
そもそも何かをしようと思うのは長期的な大きな目標があり、ただそれを実現するためには小さな短期的な目標を達成していく必要があります。
長期的な目標(行動目的)は悩んだときや心が折れそうになったときの戻り先になります。
短期的な目標は、正しい努力ができるプロセスの中で、ひとつずつクリアしていくべき具体的なアクションになります。
🌟コーチングポイント🌟
長期的な目標(=最終的な目的)を戻り先として、それを実現するために小さな具体的なアクション(やること)として短期的な目標(=中間目標)を決めさせる
例)長期的な目標:○○大学合格
短期的な目標①:△月の模試で□□点を取る
短期的な目標②:2週間後までに××を覚える
【決心3】良い「問い」は良い「答え」に勝る
・【問題解決のためのIDEALステップ】
I:問題を認識する(Identify the Problem)
D:問題を把握する(Define the Problem)
E:解決策を探る(Explore Solutions)
A:計画し、実行に移す(Act on your Plan)
L:結果を検討する(Look at the Effects)(p43-44)
うまくいかないときは必ずその理由があります。
そしてそれは「やる気が出ない」というような抽象的なことで終わらせてはならず、「なぜやる気が出ないのか?邪魔をしているものは何なのか?」という問題として探っていく必要があります。
簡単に進むものではないですが、常に、具体的に問題を認識・把握して、具体的な解決策(アクション)を探る手助けをすることがコーチの役割です。
🌟コーチングポイント🌟
問題を抽象的な話で終わらせず、具体的に認識して具体的に解決策を考え実行させる
【決心4】成功者はみな逆算している
・【逆算スケジューリングの3つのステップ】
ステップ1:まず、達成したい目標と最終的な期限をはっきりと定める
ステップ2:目標を達成するプロセスにおける小目標と期限を定める
ステップ3:目標に関係する最初に仕事を選んで、ただちに実践に移す(p54)
実行プロセスを考えるときは、常に逆算的に考える必要があります。
前から順番に検討する方が考えやすいということもあるかもしれませんが、それは少なくとも実行すべきことを列挙する場合までで、スケジュールとして落とし込むときは逆算的に考える方が良いです。
つまるところ、「時間(期限)」を意識してスケジューリングを行うという話です。
🌟コーチングポイント🌟
目的に対しては期限を意識して、その期限に沿ってスケジュールは逆算的に考える。
【決心5】代案を持つ者が優勝する
・目標達成のプロセスの途中であきらめる習慣を持っているなら、それに対する強力な代案をつくっておかねばならない。(p66)
・実践のプロセスで実践を妨害する突発事態を予想し、箇条書きにする。(p66)
・それぞれの事態に対する代案(Bプラン)を考える。可能なら代案の代案(プランC)も考える。(p66)
この点も何かを為すときには本当に重要です。
立てた計画がそのままうまくいくケースなんてほぼほぼあり得ず、途中で何かしらの妨害が絶対に入ります。
そしてほとんどの人は思考停止のままそのことをできなかった言い訳にしてSTOPさせてしまいます。
代案を考えておくこととは、先に状況を想定しておくということです。
想定しておけば困惑せずに行動に移せます。
困惑している時間がもったいなくてその間にドンドンやらない理由を作ってしまうことになるので、いつでもすぐに行動に移すためにも、(想定通りに)できないときの行動は考えておきましょう。
🌟コーチングポイント🌟
想定通りできないときの代案となる行動を検討させる。
【決心6】偉大なリーダーほどみな怖がりだ
・【プランBの3つの機能】
① 予測可能性(Predictability):突発事態を予想する習慣を持てば、不確実性への不安感が和らぐ
② 制御可能性(Controllability):予想される突発事態への対策を立てる過程で、状況と自分自身をコントロールする力が増強される。
③ 生産性(Productivity):状況と自分自身に対するコントロール力の増強により、どんな状況でも後悔と損失を味わう機会が減り、英かと満足感を味わう機会が増える(p70)
代替案を考えることは、実際に想定外の事態が起こったときに役立つだけでなく、そもそも実行するための方法をいくつも検討できる力にもつながります。
最終的に学習者は自分で自分をコントロールして実行を習慣化していくことを求められますが、その際自分が習慣化しやすい方法を複数理解していることは大きな強みになります。
また、想定したうえで、それ以上の想定外の事態が起きたときにも、その場で思考を止めずに、さらに想定を進めていくことも可能になります。
コーチがいるからこそなおのこと、代案を検討するクセをつけさせることは意識しておきましょう。
🌟コーチングポイント🌟
学習者自身が自分をコントロールする術として、常に代案を考えるクセをつけてもらう
【決心7】「公開された考え」は変えにくい
・人は言葉や文章で考えを公開すると、その考えを最後まで守ろうとする傾向がある。「公開宣言効果(public Commitment Effect)」(p79)
立てたスケジュールはできるだけ多くの人に公開するようにしましょう。
これは特に失敗したときにあまり知られたくない人に公開すると効果がより高くなります。
例えば、家族や友人、あとは多くの人に見られるSNSなどが挙げられます。
ここもコーチの役割は大きいです。
実行するコツがわかっている学習者は敢えて公開して自分を追い詰めることで実行せざるを得ない環境を作りますが、コーチングを受けている学習者の場合は、自分から公開することはできない人が多いでしょう。
だからこそ、コーチがそこを鼓舞して(状況によってはコーチが連絡する形で)計画を公開するようにしましょう。
🌟コーチングポイント🌟
失敗が知られたくない人に敢えて計画を公開する。
コーチはある意味強制的にでも計画を公開させる。
【決心8】世界最強のボクサーが活用した自己コントロール法
・できるだけ多くの人に公開しよう(p83)
・繰り返し公開しよう(p84)
・決心を確実に実践したければ、公開方法をもっとたくさん探してみよう。(p85)
・はっきり宣言し、約束を守らなかったときに払うべき代価を明らかにしよう。(p86)
先ほどの公開の話に追加して、計画が失敗した場合にやることも決めておきます。
これはできるだけやりたくないことを設定します。
例えば、お金を○○円払う、誰かに△△する、などですが、特に、他人が関わっていて自分だけでは完結しない、つまり、絶対にやらないといけないことにすべきです。
人間は怠惰な生き物なので、基本的には「やりたい」より「やりたくない」の気持ちを優先することが多いです。
だからこそ、失敗したときに「強いやりたくないこと」を設定し、それも含めて宣言することで、嫌でもやる状況を作ることができます。
🌟コーチングポイント🌟
失敗した場合に取り組む「失敗することより嫌なこと」を設定する。
これは自分だけで完結せず、他人が関わること(=やらなければならないこと)にする。
【決心9】「なぜ、やらなくてはならないか」を突き詰める
・何かを成し遂げたければ、漠然と「やってみよう」では駄目だ。「なぜ、やらなくてはならないのか」、その切実な理由を探さなくてはならない。(p92)・どんな目標でも、切実な理由を探し出し、差し迫った気持ちで取りかかれば、その目標はすでに半分は成功したも同然だ。(p92)
結局行動に移せないのは行動に移すだけの理由が自分の中に無いからです。
まずは「やってみよう」「やれたらいいな」という想いから始まるのは当然だと思いますが、一方で、それだけで実際に行動に移せる人は基本的に存在しません。
例えば、早起きなどは典型的な例で「早く起きよう」とは誰しも思うことですが、特段強い動機がない状況だと、結局はダラダラ過ごしてしまうのがほとんどではないでしょうか。人間は怠惰な生き物です。
逆に、朝早くから仕事が入っている、学校がある、など(嫌かもしれないけど)やらないいけない切迫した理由があれば起きることが多いはずです。
結局は理由の切迫感が行動のきっかけになるということです。
※仕事や学校という理由でも起きれない人は、病気の場合を除いて、仕事や学校に行くことの優先度が下がっていると言えます
したがって、せっかくコーチがいるのであれば、とりあえずやってみるという精神も重要ではありますが、その前に目的が如何に切迫しているか、達成すれば価値があることなのかを確認するように努めましょう。
1人だとこの部分も蔑ろにしがち…というか、1人で思考を深めるのは案外大変なので、コーチが「できたら具体的に何が良いのか?」「できなかったら具体的にどんな問題があるのか?」「今のママだと具体的に何がダメなのか?」などを突き詰めていくと良いです。
🌟コーチングポイント🌟
行動に移せないのは目的(やるべき理由)が切迫していないから。
「やってみよう」よりも「なぜやらなければいけないか」にこだわって目的を深める問いかけをする。特に「できなかったら問題があること」に着目する。
まとめ(vol.1 決心編)
ここまでのコーチングポイントをまとめます。
以下をテーマにしてコミュニケーションを取るなかで具体的に思考やアクションや整理しましょう。
うるさいくらいに突き詰めることが重要です。
ちょっとふわっとしてるな、と感じる部分があれば、ほぼ間違いなくまだ考えなければならない部分が残されています。
そこまでこだわるためにコーチが存在しているので、学習者に嫌がられるくらいに強く意識しておきましょう。
次回は「vol.2 実行編」になります。
また、「vol.1 決心編」「vol.2 実行編」「vol.3 決心編」全てのコーチングポイントをまとめた記事を作りました。
「実行」を意識したコーチングを行う際のヒントになれば幸いです。
「実行」させるコーチングのポイントってどんなこと?
🌟コーチングポイント🌟
①目的をイメージさせることよりも、実行プロセスを具体的に検討する
②実行するためのプロセス(手段)を探す手伝いをして、その姿勢を学習者に身に着けさせる
③長期的な目標(=最終的な目的)を戻り先として、それを実現するために小さな具体的なアクション(やること)として短期的な目標(=中間目標)を決めさせる
例)長期的な目標:○○大学合格
短期的な目標①:△月の模試で□□点を取る
短期的な目標②:2週間後までに××を覚える
④問題を抽象的な話で終わらせず、具体的に認識して具体的に解決策を考え実行させる
⑤目的に対しては期限を意識して、その期限に沿ってスケジュールは逆算的に考える。
⑥想定通りできないときの代案となる行動を検討させる。
⑦学習者自身が自分をコントロールする術として、常に代案を考えるクセをつけてもらう
⑧失敗が知られたくない人に敢えて計画を公開する。
コーチはある意味強制的にでも計画を公開させる。
⑨失敗した場合に取り組む「失敗することより嫌なこと」を設定する。
これは自分だけで完結せず、他人が関わること(=やらなければならないこと)にする。
⑩行動に移せないのは目的(やるべき理由)が切迫していないから。
「やってみよう」よりも「なぜやらなければいけないか」にこだわって目的を深める問いかけをする。特に「できなかったら問題があること」に着目する。
