「対立を解決する」ことで発展する【イノベーションの知識】
イノベーション(新しい価値をつくり出すこと)に必要な知識として、システムの発展法則があります。
その中で基本となる法則が、発展法則A(理想性の向上)です。
この発展法則Aを正しく理解すると、「システムを発展させてイノベーションを行う」というイメージが描きやすくなります。
正しく理解するためのキーワードは「対立の解決」です。
この記事では「システムの発展」と「対立の解決」がどのように関係するかを、図を使ってわかりやすく解説します。
システムの発展法則A(理想性の向上)
発展法則Aは次のようにシンプルな法則です。
システムは理想性が向上する方向に発展する
理想性は次の式で表すことができます。(参考文献1)

システムの使用者は、主要機能を得るためにシステムを使用します。しかし、システムには重さがあり、場所を取り、エネルギーを消費します。それらは、主要機能を得るための代償といえます。
このように「理想性の式」の分母(重量+サイズ+消費エネルギー)は、分子(主要機能)を得るための代償になります。
また分子の主要機能は、システムを使うことで得られるメリット(利点)になります。そして分母の[重量+サイズ+消費エネルギー]は、システムを使うことによるデメリット(損失)になります。(参考文献2)
理想性の式を簡単に表すと次のようになります。

上の式の「メリットが大きく、デメリットが小さい」システム、つまり「メリット/デメリット」の比率が大きいシステムが、より理想的なシステムといえます。

しかし現実には、次のような問題が発生します。
メリットを大きくすると、デメリットも大きくなる
例えば、システムの主要機能を向上させると、システムの[重量+サイズ+消費エネルギー]も増加してしまうという問題が起こります。
このように、「メリットの増加」と「デメリットの減少」は対立します。その結果、理想性を向上させることが難しくなります。

どうすればよいでしょうか?
対立の解決で発展する
上記のような対立を解決する必要があります。
TRIZ(発明問題の解決理論)の研究では、次の点が確認されています。
対立を解決することで、システムは発展する
TRIZでは、さまざまなシステムを分析した結果、「メリットの増加」対「デメリットの増加」といった対立を解決することで、そのシステムは発展することが観察されています。
「主要機能の向上」対 「[重量+サイズ+消費エネルギー]の増加」の対立を解決して、主要機能を向上し、かつ[重量+サイズ+消費エネルギー]を減らすことができれば、システムは大きく発展します。

システムの発展プロセス
次のプロセスでシステムは発展します。
対立の発生(要求A 対 要求B)
対立の解決(要求Aと要求Bの両立)
システムの発展

TRIZの研究では、システムの発展のしかたが、次の図に示すSカーブを描くことが観察されています。(参考文献3)

上の図7に「対立→解決→発展」プロセスを表示すると、次の図のようになります。

このように「対立の発生→対立の解決→システムの発展」を繰り返しながらシステムは発展していきます。
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参考文献
Yuri Salamatov『超発明術TRIZ シリーズ5 思想編「創造的問題解決の極意』の「5.4.高度な思考の基礎」
ゲンリック・アルトシューラー『超発明術TRIZ シリーズ1 入門編「原理と概念に見る全体像」』の「第4章 理想機械」
Darrell Mann『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』の「第7章 問題定義-Sカーブ分析」
