子どもの靴から学ぶヒット商品の作り方|最強ブランド『瞬足』の開発秘話
「コーナーで差をつけろ」というコピーを、子どものころにテレビCMで見た記憶がある方も多いのではないでしょうか。あのフレーズは一度聞いたら頭から離れませんでした。しかし輪読会でこの本を読んで気づいたのは、あのCMは瞬足がすでに広まってから打たれたものだったということです。
今回取り上げたのは、アキレス株式会社の開発チームが瞬速を生み出すまでを描いた『開発チームは、なぜ最強ブランド「瞬足」を生み出せたのか?』です。子どもの靴というニッチに見えるカテゴリで、どのようにして累計1億足を超えるヒット商品が生まれたのか。その舞台裏には、地道なフィールドワークと「子どもを喜ばせたい」という純粋な動機がありました。
知っているブランドをビジネス視点で振り返るのは、思いのほか発見が多い読書体験でした。この記事では、輪読会で特に議論になった三つのテーマをまとめます。
この本を読むべき人
ヒット商品がどのように生まれるかを知りたい人
プロダクト開発やマーケティングに携わっている人
ブランドをゼロから育てることに興味がある人
「感情に訴える商品」の作り方を学びたい人
著者プロフィール: アキレス株式会社 「瞬足」開発チーム
アキレス株式会社で低迷していた小学生向けジュニアスポーツシューズ事業を立て直すべく、2002年に「瞬足」開発のために集結したプロジェクトチーム。商品開発、本社販社営業、販促宣伝などの精鋭らによって構成。
瞬足は、2003年の最初のモデルは2アイテムで、アキレスの主力商品「ランドマスター」のサブブランドとしてスタートも反響が大きく、翌シーズンより「瞬足」ブランドで展開し、売上は急上昇。発売3年目の2005年には、子ども靴のヒットの目安とされた「150万足」を超える158万足を売り上げ、さらに、発売4年目の2006年には300万足を超え、当時、爆発的な売上を記録したゲーム機と絡めて、「任天堂DSか瞬足か」と業界内外で大注目された。
現在(2013年3月末時点)で、売上累計4,000万足超、毎年世に送り出す新商品は年間200アイテム以上と、開発チームの予想を大きく上まわる一大ブランドに成長。子ども靴市場の拡大にも貢献してきた。今後は、業界を牽引する先導者として、「No.1ブランド」の責任と使命感から、子どもの「足育」を啓蒙する活動にも力を入れていく。
輪読会で議論したこと
「自分の売り」をユーザーは知らない
本書の中で印象的なエピソードがありました。瞬足を売り出してから7年後にとったアンケートで、約6割のユーザーが瞬足の左右非対称構造を知らなかったというものです。開発側が「これが最大の特徴だ」と思っていたものが、実際のユーザーには関係なかった。
これは瞬足に限った話ではありません。自分たちがこだわり抜いた機能や技術が、ユーザーにとってはまったく気にされていないというケースは、あらゆる業界で起こっています。輪読会では「スタートアップでもよくあること」という共感の声が上がりました。ユーザーが実際に価値を感じているのは何か、という問いは常に問い続けなければならないものです。
入り口さえ正しければ、広がりは自然についてくる
瞬足は最初、テレビCMで一気に広めたわけではありませんでした。地方の小売店での販売からじわじわと口コミで広がり、特に母親同士のネットワークを通じて全国に波及していきました。テレビCMを打ったのは、すでに一定の広がりが生まれた後のことです。
輪読会では「大規模なCMを打てる会社は、それだけの資本体力がある段階の話」という指摘が出ました。スタートアップが学ぶべきは、CMを打つ前の段階です。入り口となるユーザーにさえ正確に届ければ、良い商品は必ず広がっていく。その順序が、この本を通じてリアルに見えてきました。
また、発売から20年以上を経た現在も年間600万足以上が売れ続けているという事実にも驚かされました。その背景には、ヒット後のブランド展開や派生商品の開発など、経営陣の手腕も大きく関わっています。一発屋で終わらず世代をつないで売れ続けるブランドを作ることの難しさと、それを実現した開発チームの継続的な努力が伝わってきます。
商品は「機能」ではなく「感情」を売っている
運動会で悔しい思いをした子ども、速く走る我が子を見たい親。瞬足が最初に届けようとしたのは、そういう感情を持った人たちでした。輪読会では「商品って結局、感情を売っているんだ」という話になりました。
機能がどれだけ優れていても、誰の感情に刺さるかが曖昧なままでは広がりません。逆に言えば、明確な感情的課題に応える商品は、機能の説明をしなくても広がっていきます。小学校低学年の男子、地方の運動会、コーナーでの悔しさ。これだけ具体的なターゲット設定ができていたからこそ、入り口にさえ届けばあとは自然に広がったのだと思います。
感想
全体を通して
開発チームの話を色々と聞くことができたのは面白かったけど、創業者が書いた物語ではないので、やはりちょっとストーリーに重みを感じる部分が少なかったかなと。
タイトルにもある通り、『瞬足』は早く走るカジュアル靴というマーケットにおいて、最強のブランドだと思う。
開発ストーリーを色々と見ていくと、当時自分も小学校の時に履いていたという記憶や、打っていた広告も思い出した。
日曜日の朝、戦隊モノ辺りでTV CMが出てたのも思い出した。
開発
純粋に人を喜ばせるといった動機がプロジェクトを通して色々と感じられて素晴らしい。
子ども達は速く走りたい。
親は子供が速く走っているのを見たい。速く走って欲しい。
チームの中に売る人や作る人の専門家が育ってきており、それが最終的に瞬足開発に繋がっていった。
それぞれの専門性がある人を育ててミックスさせる大事さをまた感じた。
瞬足は下のグリップが左右非対称なので、普通に歩く時に
セールス・マーケティング
靴の開発やマーケットのことは考えたことも調べたこともなかったので、知らない分野の情報を知ることができてよかった。
子供の足が小さくなっているというのは興味深い。
当時はランドマスターという濡れにくい靴があり、それが主力だった。売上が落ちた後、ランドマスター防水という商品で、復活していた。
カニバリズムに陥る可能性があるところを、瞬足にかけることができた。
開発当初は違う名前だったけど、瞬足という名前を生み出したのは素晴らしい。
「コーナー」で差をつけろも素晴らしいキャッチコピーだと思う。
やっぱ良いプロダクトって口コミで伸びるんだなと感じた。
高級なスポーツ靴でないと、速く走るための靴は存在しなかったが、そこのマーケットを切り拓いたのは素晴らしい。瞬足が売れた後は売れて終わりではなく、最初に掲げている理念を追求しているのは素晴らしいし、「足育」という靴・足に関する事業も展開しているのは良いことだと思う。
引用
「コーナーを力いっぱい駆け抜けた結果として速く走れる」という側面はもちろんあります。しかし私たち作り手が真に目指したのは、「運動会でよい思い出をつくれる靴」を子どもたちに提供することだったのです。
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