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【倍倍FIGHT!】楽曲分析レポート〜TikTok今週の1曲 [No.24 - 25/05-01]

こんにちは!
今回は『倍倍FIGHT! / CANDY TUNE』の分析です!


「倍倍FIGHT! / CANDY TUNE」に注目すべき理由

本楽曲はTikTok音源「倍倍FIGHT!-イントロver.」が出てから約3ヶ月でUGC数が190Kの大ヒットとなっており、昨年大ヒットした「かわいいだけじゃだめですか?/ CUTIE STREET」に匹敵する数値となっています。

※UGCとはUser Generated Content の略で、特定の楽曲を使って不特定多数のユーザーが投稿した動画の数を指します。

ちなみに楽曲使用数(UGC数)はこちらの方法で確認できます。

↓↓

しかし、本楽曲がリリースされたのは約1年前の2024年4月24日で、同年8月7日に発売されたCDシングル『キス・ミー・パティシエ』のカップリング曲としても入っています。

↓『キス・ミー・パティシエ』の過去レポートはこちら


また、今回バズった「倍倍FIGHT!-イントロver.」の前にも「倍倍FIGHT!-連続応援ver.」や「倍倍FIGHT!-1サビver.」といったTikTok音源を出していましたが、どちらもUGCは伸びませんでした。

これまで日の目を浴びなかった本楽曲が、1年越しに大ヒットとなった要因とは一体なんだったのでしょうか?

「倍倍FIGHT! / CANDY TUNE」大ヒットの秘訣を本レポートでどこよりも分かりやすく解説いたしますので、最後まで読んでいただければ幸いです。


1.バズの拡大経路

まず始めに、UGCというのは複数の界隈を渡って広がっていくものなので、初期のバズからそれ以降の拡大までどのようなきっかけでどんな界隈に広がっていったのかを分析することが重要になります。

それを紐解くべく、弊社では【イノベーター理論】を用いて分析をしております。
イノベーター理論とはサービス等の市場での普及率を示すマーケティング理論の一つになります。

※詳しくは以下のサイトを参照ください。

今回もそれに倣い拡大経路の順を以下の3つに区分してリサーチいたしました。
それぞれの区切りは本家リリースから投稿までの期間で判断します。
ざっくり以下の通りの認識で今回は分析します。

(1) イノベーター (一番最初に広まったきっかけ)
→今回は最初に明らかなバズを生み出したUGC

(2) アーリーアダプター (初期段階で拡散されたきっかけ)
→今回は(1)から約20日以内に投稿されたもの

(3) アーリーマジョリティ (早期段階でさらに拡散されたきっかけ)
→今回は(1)から約20日以降に投稿されたもの


(1)イノベーター

今回のイノベーターは、1/23に投稿されたFRUITS ZIPPERさんの動画で現在は545万回再生となっています。

このバズりをきっかけに、CANDY TUNEさんのアカウントでは本楽曲を使用した投稿が一気に増加しています。

@candy_tune

みんなスリッパでした☺️ #倍倍FIGHT #きゃんちゅー#CANDYTUNE @みやのしずか @키리(きり) @りのまる @南なつ☀️🍊 @びびちゃん(むらかわびびあん) @おがわななこ @立花琴未

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE
@candy_tune

あしたもがんばれそ?🏁 #倍倍FIGHT #きゃんちゅー#CANDYTUNE @키리(きり) @りのまる @南なつ☀️🍊 @びびちゃん(むらかわびびあん) @おがわななこ @みやのしずか @立花琴未

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

FRUITS ZIPPERさんとCANDY TUNEさんは、アソビシステム所属で先輩後輩の関係にあたります。
TikTokのフォロワー数を見ても、FRUITS ZIPPERさんは572K、CANDY TUNEさんは207Kで倍以上の差があり、それだけの影響力を持ったグループの動画がバズったのは、本楽曲にとって非常に大きなきっかけとなりました。

ただ、FRUITS ZIPPERさんの動画1つで、本楽曲の200K近いUGC数を説明することはできません。

このバズの本質は、本人アカウントのUGC促進と縦並びフォーマットの登場が最大の要因だと私は考えています。詳しく解説いたします。


・縦並びフォーマットで視聴限度回数アップ

ここでいう視聴限度回数とは「同じ企画を繰り返し投稿しても見てもらえる回数」として定義しています。
この言葉は本レポートシリーズで度々登場しているものになりますので、詳細は以下のレポートをご覧いただければと思います。

元々アイドルの楽曲・ダンス動画は「可愛さ」という繰り返し見ても満足感が得られる訴求であることや、毎回の動画でメンバーや画角が異なることで、その可愛いにも変化が見られることから視聴限度回数が高いという特徴があります。

そこに縦並びのフォーマットが追加されたことで、さらに視聴限度回数がアップしたということです。その効果としては、次の2つが挙げられます

①毎回後ろのメンバーの動きがちょっとずつ違うので同じ企画でも違う感情で見れる

例えば、2024年12月に投稿された西山ダディダディは、世界中に広まりEDM ver.などの派生動画が出るほど人気になっています。

@aoharu_school_

EDMバージョンテンション上がる❤️‍🔥 @🌸桜🌸 @中島 結音(ゆのん) @おさき🤷‍♀️ @あみか🦄✨@フォーエイト @ウンパルンパ @伊吹とよへ

♬ original sound - RaeSam

広まった理由としては、非言語的な歌詞やダンスの自由度、名前を入れ替えて歌うことができる点など、複合的な要素がありますが、前のメンバーがダンスを踊って後ろは違う動きをしている点は「倍倍FIGHT!」と共通しています。

同じ企画であっても、前後のメンバーが入れ替わったり動きが変わるだけで無数の組み合わせが生まれ、毎回違う感情で動画をみることができるというわけです。


②そもそも動きがバラバラなので1回の視聴で見切れないので何回も見てしまう

このフォーマットでは、誰がどこから出てくるかも分からない上に、全員の動きがバラバラなので1回の視聴で全てを把握するのが難しいです。

アイドルグループの動画を見ているファンは基本的に推しがいて、メンバー全員が映っている動画でも、その推しを目で追いかけるはずです。
しかし、推しが何番目に並んでいてどこから出てくるのか分からない以上、1回目の登場を見逃さずに追いかけるのは至難の業といえるでしょう。そうすると自然と繰り返し見ることになりますし、グループ全員を推しているファンだとすれば、コメントのように7回繰り返し見ていてもおかしくないというわけです。

つまり、元々視聴限度回数が高いアイドルの動画に対して、さらに上記2つの要素が加えられたことで「自身で再生数を底上げしてUGCを促進するのに相性の良い構造」になったというわけです。


③色が多くて映える

以上のような本質的なテーマと比べるとサブ的な理由になりますが、
そもそもショート動画はカラフルなものや、動きが心地よいものが伸びやすい傾向にあります。

潜在的に動きの一体感や色の移り変わりの鮮やかさに快感を覚えるのをショート動画に人は求めるからです。例えば吹奏楽の動画は座奏よりマーチングの方が伸びやすいのですが、これも同じ理由です。

縦型の踊りは、特にアイドルなどでは衣装や表情の色の鮮やかさが強調されており、動きのシンクロによる快感が心地よかったのも伸びた理由でしょう。
実際、ただの女の子のダンスの動画よりも色鮮やかでいろんな動きがあっていろんな女の子が登場する動画の方が映えて手を止めてしまうのも理解できます。


・アイドルグループによるUGC促進の究極系

これまでもグループアカウントや個人アカウントでのUGC促進は、様々なアイドルグループが行ってきましたし、本レポートでも紹介してきました。

しかし、今回のCANDY TUNEさんによるUGC促進は、再現性がありつつもある意味可愛いアイドルとは真逆の泥臭さがあり、アイドルグループがTikTokで楽曲をバズらせるための動きとしてはまさに究極系といえるものでしたので、イノベーターが現れる前後の動きを流れに沿って解説していきます。


①イノベーターが現れるまでの動き

この音源での初投稿は、1/10に投稿された福山梨乃さんの個人アカウントです。
以前からファンの間でバイトやWi-FiのCM曲になりそうと言われていたことから、「バイトとWi-Fiどっちに聞こえる?」という問いかけをし話題を作ろうとした投稿だと推察しています。

TikTokでヒットする曲を常に模索している我々としてもこの戦略は正統派で大いにアリな素晴らしいアイデアですが、これがイノベーターになることはありませんでした。

@rinomaru_

バイトとwifiどっちに聞こえる? @おがわななこ

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

ここから各メンバーの個人アカウントで、様々なパターンの「倍倍FIGHT!-イントロver.」を使用した動画が投稿されます。


⚪︎縦並び

1/13 小川奈々子さん

1/13 村川緋杏さん

1/15 桐原美月さん

1/15 南なつさん

1/23 宮野静さん


⚪︎後ろに整列

1/15 立花琴未さん

@kotomi_5chan

ここの歌詞歌えるかなあ?😏

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE


⚪︎シンプル

1/18 小川奈々子さん

1/22 福山梨乃さん


⚪︎1人ずつ出てくる

1/19 グループ

1/21 南なつさん

⚪︎メイキング

1/23 福山梨乃さん

@rinomaru_

大雪のメイキング😂😂北海道出身のスタッフさん素手で雪触るの余裕らしい🤣🤣 #きゃんちゅー #CANDYTUNE #倍倍fight #倍倍ファイト #応援ソング #カワラボ #kawaiilab #北海道 @おがわななこ @南なつ☀️🍊 @きゃんすた

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

縦並びの投稿が1番多いところを見ても、このフォーマットを本人達も押し出そうとしていたことが伺えますね。
そのほかのパターンに関しても、これまでTikTokでバズったフォーマットを踏襲しており、検証しながら試行錯誤していたのではないでしょうか。

そして、FRUITS ZIPPERさんの動画がバズることで縦並びフォーマットが確立し、ダンス動画のUGCも広まっていきました。


②イノベーターが現れてからの動き

1月末からグループアカウント、メンバー個人アカウントの両方で「倍倍FIGHT!-イントロver.」を使った投稿が急増していきます。

ここまで聞くと、今までのアイドルグループのUGC促進と何が違うんだと言われるかもしれませんが、その違いは圧倒的な数の力です。

バズった音源の初投稿からUGC数の増加がほぼ同じの「かわいいだけじゃだめですか?/ CUTIE STREET」と比較して見ていきましょう。

「かわいいだけじゃだめですか?-1サビ」の初投稿は9/8で、そこから2ヶ月間(9〜10月)のメンバー個人アカウントでのUGC合計が154投稿。(メンバー8名)
それに対して、「倍倍FIGHT!-イントロver.」の初投稿は1/10で、そこから2ヶ月間(1〜2月)のメンバー個人アカウントでのUGC合計が274投稿となっています。(メンバー7名)
しかも、「倍倍FIGHT!-イントロver.」はイノベーターが出たのが1月末だったため、ほとんどが2月の投稿となっており、メンバー全員が約1ヶ月で20〜50投稿をしているという脅威の数字です。

3月に入ってからもUGC促進の勢いは止まることなく、グループアカウントでは「誰に寄るでしょうか?ゲーム」や「早口チャレンジ」といった企画も派生しており、視聴限度回数を高めて全体の再生数 (≒認知機会) を増やす施策が行われています。

@candy_tune

誰に寄るでしょうか?ゲーム❣️TGCありがとうございました🌈✨ @키리(きり) @りのまる @おがわななこ @びびちゃん(むらかわびびあん) @南なつ☀️🍊 @みやのしずか @立花琴未 #CANDYTUNE #きゃんちゅー #倍倍fight #TGC

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE
@candy_tune

みんなは言える?🏁 #倍倍FIGHT #きゃんちゅー #CANDYTUNE @りのまる @おがわななこ @びびちゃん(むらかわびびあん) @南なつ☀️🍊 @立花琴未 @みやのしずか @키리(きり)

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

このように、メンバー全員が泥臭くUGCを伸ばす動きをしているからこそ、本楽曲は200K近いUGC数を叩き出すことができたと言えるでしょう。
また、逆にいうとここまでしないと同じ手法での大ヒットは狙いにくくなってきたともいえますね。

この継続した本人達のUGC促進がベースとしてあることを理解した上で、この後のアーリーアダプター以降の流れも見ていただければと思います。

比較した「かわいいだけじゃだめですか?/ CUTIE STREET」のレポートも過去に書いていますので、ぜひこちらもご覧ください。



(2)アーリーアダプター

ここからアーリーアダプターとして2つの界隈に広まっていきます。

①推し動画

1/28投稿で現在180万回再生

@chan__723

ファンクラブ配信で宿題を出されたので(?) 投稿していなかった野外ライブの倍々FIGHT!🍬 声めっちゃ出てて一体感あったのすっごい覚えてる📣 わたしの推しはピンク担当村川緋杏ちゃん💖 元HKT・produce48にも出ていた倍々FIGHTの歌い出しの子です❤︎ @びびちゃん(むらかわびびあん) @CANDY TUNE #アイドル #kawaii #kawaiilab #candytune #きゃんちゅー #村川緋杏 #みてみてびびちゃん #フリーライブ #歌舞伎町タワー

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

1/29投稿で現在191万回再生

@koni_takefz

なんで歩いてるだけでこんなにカワイイの🥹 1/29(水) 茨城ロボッツ VS 仙台89ERS 「LuckyFes Half Time Show」 @ 茨城県 アダストリアみとアリーナ #CANDYTUNE #きゃんちゅー @CANDY TUNE #桐原美月 #立花琴未 #小川奈々子 #南なつ #宮野静 #福山梨乃 #村川緋杏

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

『推し動画』とは、自分の好きな人、文化、作品などをアピールするための動画であり、一般人が趣味的に投稿するものから、インフルエンサーが自分の内面や技術を訴求するために投稿したりもします。
このような動画は特定の人物に対して思い入れのある層が、それに対する愛情 (可愛いやかっこいいものを広めたいという感情) をもって使うケースが多いです。
つまり視聴者同士でその人物の魅力を堪能する一つの手段として、互いに動画を作成して共有し合ったり、それを見てその可愛さや尊さを再認識するといったアクションが生まれるので、こういった動画がバズるようになっています。

ただ、今回の推し動画は自然発生したものではなく、CANDY TUNEさんによるUGC促進の一環であったようです。

おそらくFRUITS ZIPPERさんの動画がバズった後、ファンクラブ配信でライブ映像を「倍倍FIGHT!-イントロver.」を使って投稿してほしいとファンにお願いしたのでしょう。

同時期に本家からもライブ映像が多数投稿されています。

@candy_tune

今流行りのこの曲をライブverで✨ @みやのしずか @南なつ☀️🍊 @りのまる @おがわななこ @びびちゃん(むらかわびびあん) @키리(きり) @立花琴未 #CANDYTUNE #きゃんちゅー #倍倍fight

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

この施策の意図としては、視聴者に本楽曲が流行っていると思ってもらうことだといえます。

ここまで本人達によるUGC促進の話をしてきましたが、大前提、その他のクリエイターに使ってもらわなければUGCは拡がっていきません。
つまり、クリエイターが使いたいと思う理由を提示しなければ、UGCは伸びないというわけです。

多くのファンが推し動画を投稿することで、本楽曲の流行っている感が格段に上がり、この後のUGC拡大に繋がっていったと言えるでしょう。


②Top TikToker 界隈

ここからTop TikToker界隈にUGCが波及していきます。

本人達のUGC促進や推し動画の大量投稿により、縦並びフォーマットに限らずシンプルなダンスver.など様々なUGC動画を目にするような状況になったため、この界隈からシンプルなダンスver.が主なUGCとして広がっていきます。

2/5に投稿されたおさきさんと一生友子さんのコラボ動画は現在148万回再生

@osaki_tiktok

パジャマパーティ🎈@一生友子

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

2/7に投稿されたさくらさんの動画は現在249万回再生

2/8に投稿されたなえなのさんの動画は現在180万回再生

@naenano

流行ってるやつ!これ指むずかしい!!

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE


彼女らは文字通りTikTok内でトップの人気を誇り、「自身のブランディングにプラスになるかどうか」で楽曲を選ぶ傾向にあります。彼女らに楽曲取り上げられるかどうか = TikTokトレンドになるかどうかの分岐点と言っても過言ではありません。

また、大手になればなるほど楽曲を取り上げる文脈を重視します。
日々変化するおすすめTLの流れ的に、そのタイミングで自分が投稿する事の意味を考え「大手が最初から流行りはじめの曲をやるのはダサい」「流行っているからと言って私がこのタイミングでこれをやるのはダサい」などの文脈を読むことを彼女らはしているのです。

そのジャッジを突破できなければ、この界隈に広まることは難しいわけですが、前の章で解説した本人アカウントによるUGC促進やファンによる推し動画の投稿で、本楽曲がすでに流行っている感は十分に出ていましたので、早い段階でTop TikToker達のジャッジを突破できたわけです。


【+@】「かがみ / FRUITS ZIPPER」との相互関係

この界隈に早い段階で広まった要因の1つとして、バズりの起点となったFRUITS ZIPPERさんの影響も非常に大きいと推察しています。

FRUITS ZIPPERさんは、

2022年「わたしの一番かわいいところ」124K
2023年「ハピチョコ」33K
2024年「NEW KAWAII」47K
2024年「フルーツバスケット」30K

というように過去にも自分達の楽曲でコンスタントにヒット曲を出しており、元々影響力のあるグループだと知られていました。

また、2025年1月17日にリリースされた「かがみ」も現在UGCが43Kとヒットしており、

1/21にグループアカウントから投稿された櫻井優衣さんの動画は現在627万回再生

1/29に投稿された松本かれんさんの動画は現在496万回再生されています。

「倍倍FIGHT!」が広まるきっかけとなった動画が1/23の投稿で現在545万回再生と同じくらい再生が回っていることから、FRUITS ZIPPERさんを起点として同時期に2つの楽曲がバズっている状態でした。

では、なぜ「倍倍FIGHT!」と「かがみ」はUGCの伸びにここまでの差が出たのでしょうか?

これは「楽曲の哲学・メッセージ性」が広く受け入れられたかどうかが大きかったと考えられます。

先ほど述べたように、Top TikToker界隈は楽曲を取り上げる文脈を重視します。
「倍倍FIGHT!」はポジティブな応援ソングで万人に受け入れられやすい、かつ振り付けでさりげない可愛いさを表現できるのに対し、「かがみ」は曲も振り付けもあざと可愛いに全振りしています。

歌詞にもあるように「可愛くなりすぎちゃったかも」とかなり自己肯定感の高いコンセプトとなっており、「その曲を使った時に自分がどう見られるか」という視点で見た時に少しとっつきにくい楽曲と言えるかもしれません。

しっかりと楽曲が流行り切ってから乗る分には「流行っているから」という名目ができるのでいいのですが、我先に早い段階で投稿するには少し抵抗のある「楽曲の哲学・メッセージ性」といえるでしょう。

また、大手として特定のジャンルを連続で投稿するというのは、そのジャンルが好きということを公言していない限りは擦っているような見え方になってしまいますし、今回に関しては同じグループが起点でバズっているということもあり、尚更そういった見え方が強くなる可能性がありました。

そう考えた時に、「楽曲の哲学・メッセージ性」の部分で「倍倍FIGHT!」に軍配が上がったのではないでしょうか。

「かがみ / FRUITS ZIPPER」に関しては下記レポートで詳しく解説しています。


(3)アーリーマジョリティー

アーリーマジョリティーになると、幅広い界隈にUGCが広まっていきます。

①今日好き界隈(卒業)

「今日好き」とは『今日、好きになりました。』という現役高校生達の恋愛リアリティショーで、ここではその番組を通して人気となった女優さんやインフルエンサーを今日好き界隈と位置付けています。

この界隈が取り上げるということは、多くの女子中高生が目にするということであり、流行やバズを牽引する界隈といっても過言ではありません。
しかし、今回は真っ先にTop TikToker界隈が使用し始めたため、流行の先取りとは違う役割を担っていたと推察しています。

その役割とは卒業シーズンを訴求することです。

弊社販売の下記教材では、Hit曲を14パターンに分類しており、本楽曲は8章の「可愛いアイドル曲」に分類されるのですが、一方で5章の「季節を訴求できる曲」の一面もあると考えています。

「季節を訴求できる曲」とは言っても、その分類は春夏秋冬だけではなく、バレンタインやハロウィンなど時期を代表するイベント等も含まれます。
その1つとして、今回は卒業シーズンの曲として考えていきましょう。

2/18に投稿された希空さんの動画は現在1062万回再生

@noa.s1126

ユニバ来た!!!いつもよりウェーブ緩くしてみたの( ˶'ᵕ'˶)⸝‪‪‎♡

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

希空さんに関しては高校卒業の年ではないのですが、1/13〜2/10に放送された『今日、好きになりました。-卒業編inソウル-』に出演して注目度が高い時期だったのもあり、本音源のトップ投稿になっていましたので紹介させていただきました。

2/21に投稿された藤田みあさんの動画は現在624万回再生

@mia_f069

高校卒業しました❤︎ほんっとに濃かったし楽しかった3年間だったなあ、🥹💖@田仲埜愛(のあ) #06 #ljk #卒業 #卒業式

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

3/1に投稿された村谷はるなさんの動画は現在224万回再生


『今日、好きになりました。』は現役高校生のみが出演できる番組となっているため、高校を卒業するということは、この番組に今後出演することができなくなることを意味します。
高校の卒業、そして今日好きからの卒業という意味を持った彼女らの投稿は、視聴者の中高生達に卒業シーズンの楽曲としてのイメージを持たせたことでしょう。

また、卒業というと別れによる寂しさや悲しさを連想させますが、一方で新しい環境への旅立ちや挑戦というポジティブな感情も生まれます。
新しい挑戦を頑張ろうとする発信者側の想いと、これからも変わらず応援し続けるというファン側の想いを両方表現しているとも言えるでしょう。

ここから3月〜4月にかけて中高生のUGCも増えていきます。


②芸能人界隈

TopTikToker界隈や今日好き界隈でUGCが広がり、TikTok上での地位が確立されてきた中、さらに芸能人界隈でもUGCが広がり始めます。

3/1に投稿されたあのさんの動画は現在85万回再生

@anovamos

TGC有難う御座いましーた🎀

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

4/5に投稿された森香澄さんの動画は現在164万回再生

彼女らはTopTikTokerよりもさらに多くの人々に注目される立場ですので、自身のブランディングにかなり気を遣って選曲をすることが想定できます。

つまりUGCする動機としてはTopTikTokerのさらに審査基準が厳しいverという感じですが、前章の+@で述べたことと同様の理由で、その審査を突破することができています。

例外として、あざとさを売りにしている森香澄さんの場合は、早い段階で「かがみ / FRUITS ZIPPER」を取り上げており、自身のブランディングにマッチしている楽曲の場合は、万人受けするような哲学でなくても積極的に取り入れていくということが分かりますね。


③ネタ動画界隈

少し変化球的立ち位置としてこういったネタ系の動画も散見されるようになりました。

3/6に投稿されたYutoさんの動画は現在288万回再生

@yuto_lgc

@ゴリ推しの子に返信 そのままどこかへ飛んでいってみた🤣#doubleback #編集 #AI

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

3/11に投稿されたペローん家さんの動画は現在478万回再生

@peroonfamily

@DANIEL/ダニエル さん面白かったから真似したら父の発作でゲームどころではなかった#CANDYTUNE#きゃんちゅー

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE

例えば、CANDY TUNEさんのキャンディー(飴)という意味を紐付けて「飴と石鹸ゲーム」を行うといった突発的に発生したものになります。

これに関しては動画単体で伸びても、その他のクリエイターがUGCをしたいと思う動機になりづらい (実際にここから波及したUGCがほぼ見られない) ことから、あまり本質的なヒットの理由には繋がりにくいので、純粋な事例としての紹介にとどめさせていただきます。


2.楽曲の音楽的特徴

ここまで楽曲がバズった理由に対する外的要因を解説してきましたが、やはりそれだけではバズは生まれません。
TikTokでUGCがバズるということは、楽曲そのものが何度も聞きたくなる魅力的な音楽要素を持っているとういうのが非常に重要です。
この項では、楽曲自体の魅力、バズが生まれた内的要因を解説します。


ポジティブな応援ソング

本楽曲は、歌詞も前向きで曲調もアップテンポな明るい楽曲となっており、タイトルに「FIGHT」が入っていることからもわかる通りポジティブな応援ソングです。

最近でもポジティブで自己肯定感を上げてくれるような歌詞というのは流行る傾向にあり、

「Super Girl / ANAIS & KO」

Oh 鏡よ Tell Me 私が No.1
アゲてこうGirls達 Open your mind

「イイじゃん/M!LK」

あれ 今日ビジュイイじゃん
盛れててイイじゃん

などの歌詞が挙げられます。

2025年3月8日に公開されたMVのコメントでも歌詞について多数評価されており、ポジティブで背中を押してくれたり、自己肯定感を上げてくれる歌詞というのが求められていることが分かります。

楽曲が流行っている状態でMVを公開できたことは、TikTokで流行っている部分だけでは伝わらない楽曲の良さをさらに広めるきっかけとなりました。


3.楽曲構成の整理

ここまでのセクションで各界隈でUGCが伸びた理由、そしてそれを印象付ける音楽要素をご理解いただけたかと思います。
しかし、幅広い界隈において再生数が安定して伸びるということは、単に楽曲の印象が界隈の世界観とマッチしているだけでは不十分です。

TikTokという短尺動画の中で満足度が得られる作品でなくてはならないため、本セクションではその楽曲構成について触れていきたいと思います。

(1)冒頭の笛の音でスワイプ防止

冒頭で急に笛の音が鳴るというのは直感的に気になってしまい、スワイプ防止に寄与するというシンプルな効果が期待できます。

これは本レポートシリーズで何度も登場している「カクテルパーティー効果」の応用です。


過去ヒット曲では
・「わたしの一番かわいいところ / FRUITS ZIPPER」→「ねえねえねえ!」
・「最上級にかわいいの!/ 超ときめき♡宣伝部」→「 だって今!」
などで似た手法が使われており、これは冒頭の離脱を防ぐのに役立つ鉄板スタイルです。

しかし、今回はセリフではなく、笛の音という特殊なものでした。
私達は、この音を子供の頃から学校や部活動で頻繁に聞いて育ってきました。
おそらく一度も聞いたことがない方はいないのではないでしょうか。

そして、そのような音というのは頭や体に染み付いているものです。
もしこの笛の音が外で鳴ったとしたら、ビクッと驚いて音の方を見たりすると思います。
これは、学校の体育の授業や部活動において、何かの合図として笛が使われていたり、その時している行動を笛が鳴ったら止めるといった決まりがあったからです。

そう考えると、笛の音が鳴ってスワイプを止めてしまうのは必然といえますね。


(2)語感の良い繰り返しフレーズ

興味づけをした後の本編では「倍の倍の fight 倍倍 fight by CANDY TUNE」という語感が良く繰り返されるフレーズを使うことによって、意味は理解できなくともなぜかボーッと聴きたくなってしまうような中毒性を生み、これがUGCの視聴継続率担保につながっています。

例えば2024年のHit曲「しなこワールド / しなこ」では似たような仕掛けで成功しています。

@ssshinako

2年ぶりのコラボー🥺🌸さくてぃーん可愛すぎるしダンス上手すぎ🥺🥺🥺 @🌸桜🌸 #しなこワールド

♬ しなこワールド (ロックパートver.) - しなこ


(3)自然な可愛いさを出せる振り付け

まず冒頭の振り付けは、「う」の口で笛を吹く形にしても良し、「い」の口で「ピー」という笛の音に合わせても良しとバリエーションが付けやすく、かつ音源に合わせているだけなので自然と可愛い顔を表現できます。

また、本編の指を使った振り付けは絶妙に難しく、完璧にできていれば当たり前に可愛い振り付けですし、できていなくても間違えている姿が可愛いポイントになります。

4.時代背景における本楽曲の立ち位置

ここまで各界隈でUGCが伸びる理由、それを印象付ける音楽要素、TikTokという短尺に適正化された楽曲構成をヒット理由としてお伝えしてきましたが最後に重要な点がもう一つ。

それは「時代の流れにどうハマっていたか」という視点です。

昭和と現在で流行っている楽曲が全く異なるように、時代と共に求められるサウンドは変化していきます。それは数ヶ月〜半年〜1年などの細かなスパンでも同様で、トレンド全体の流れの中でその楽曲がどのような立ち位置でヒットしたのかを知ることは非常に重要です。

本セクションではそれを見ていきましょう。

結論からいうと、2025年も感情ダイレクトアタック曲の流行りは健在ということです。

感情ダイレクトアタック曲というのは、直感で面白い楽曲のことを指します。

2024年のHit曲の中でいえば、

・「Bling-Bang-Bang-Born / Creepy Nuts」
・「しなこワールド / しなこ」
・「シカ色デイズ / シカ部」

が感情ダイレクトアタック曲の分類になります。

これらに共通する要素として、

・歌詞の意味が謎
・メロディのリズム感が心地よい

が挙げられます。

本楽曲に関しては、歌詞の意味自体はあるのですが、パッと聴いただけでは意味のある言葉とは理解できないという点で、この共通点に該当しているといえます。

むしろ2025年は、本楽曲のように実はよく聴いたら意味のある歌詞の感情ダイレクトアタック曲が流行っていくのかもしれませんね。


5.バズった結果得られたもの

楽曲ヒット理由の分析は以上となりますが、そこからアーティストにどんなリターンがあったのかがアーティストをプロデュースする上では重要になるポイントです。
このヒットをきっかけに一体どのような影響があったのでしょうか?

2/27時点でのTikTokの「楽曲チャートトップ50」と「人気曲ランキング50」において同時に1位を獲得し、

@candy_tune

1位獲得できて本当に嬉しい!!💃 @立花琴未 @おがわななこ #倍倍FIGHT #きゃんちゅー #CANDYTUNE

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE


3/8に投稿したYouTubeのMVは公開から1ヶ月で600万再生を突破しました。


また、MV公開と同日には2nd ANNIVERSARY TOUR 2025「CANDY CANDY PARTY」の追加公演を発表し、幕張イベントホールでの2daysが決定しました。

@candy_tune

2周年ツアーの追加公演、MVの公開、TikTok投稿キャンペーンなどお知らせたくさんです🍭 #倍倍FIGHT #きゃんちゅー #CANDYTUNE @りのまる @おがわななこ @びびちゃん(むらかわびびあん) @南なつ☀️🍊 @立花琴未 @みやのしずか @키리(きり)

♬ 倍倍FIGHT! - イントロ ver. - CANDY TUNE


CANDY TUNEさんは、アソビシステムによるアイドルプロジェクトのKAWAII LAB.から誕生したアイドルグループでIDOLATER、FRUITS ZIPPERに次ぐ第3弾としてデビューしましたが、なかなか大きなバズりには恵まれることはありませんでした。

さらに、昨年の9月には後輩のCUTIE STREETさんが「かわいいだけじゃだめですか?」で先にバズってしまいます。

コメントにもあるように、妹グループが先にバズってしまう悔しさはあったと思いますが、その分メンバーだけでなく応援してきたファンの熱量も高く、今回のバズをきっかけにTikTok外のMV再生回数やライブ会場の大きさにも繋がっています。

今後、更なるバズやアイドル活動の拡大に繋げていけるかが重要になってくるでしょう。


6.再現性のある要素

(1)グループの利点を最大限に生かす

やはりグループの1番の利点は人数が多いことです。
1人でやっているアーティストは、投稿のバリエーションを増やすのも難しいですし、数の暴力にはなかなか勝てません。
グループであればメンバー同士で撮影することもできますし、メンバーの組み合わせ次第で多くのバリエーションを作ることが可能です。
また、グループのアカウントだけでなくメンバー個人のアカウントでのUGC促進もできるため、本楽曲のように数の利点を最大限に活用していきましょう。

(2)フォーマットを作り視聴限度回数を最大化

全体の再生回数を底上げし、認知機会を増やすためには視聴限度回数を高めていくことが重要です。
本楽曲であれば、TikTokですでに使われていた縦に並ぶというフォーマットに、楽曲のリズムに合わせてバラバラに飛び出すというオリジナリティを入れることでバズが生まれました。
1からフォーマットを作れたら素晴らしいですが、すでに流行っているフォーマットに対して、楽曲にあったオリジナリティを足していくというのが再現性のある戦い方と言えるでしょう。


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先日今回楽曲ヒットの再現性を出す集大成とも言えるnoteをリリースしました。
こちらは有料ですが、書籍1冊分くらいの値段で先ほど解説した過去のヒット曲の共通項やどうすれば2025年以降ヒットを生み出せるのかを全て言語化し完全網羅版noteです。

今回の記事を読んで自身でヒット作を生み出したいと思った方にはドンピシャの内容だと思いますので、ぜひチェックしていただければ幸いです!

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