【ビタミンを制する】 −サッカー選手の體と心を支える栄養戦略−
序章|ビタミンとは何か?
ビタミンとは、私たちの身体が正常に機能するために欠かせない微量栄養素です。筋肉や臓器、細胞の「材料」になるわけではなく、他の栄養素の働きを助ける「潤滑油」のような存在です。語源はラテン語の“Vita”(命)と、“Amine”(アミン化合物)を組み合わせたもので、「生命に必要なアミン」として命名されました(現在ではすべてがアミン構造を持つわけではありません)。
ビタミンは大きく分けて「水溶性」と「脂溶性」の2種類があります。ビタミンB群やビタミンCは水溶性で、過剰分は尿として排出されやすく、毎日の摂取が重要です。一方で、ビタミンA・D・E・Kは脂溶性で、体内に蓄積されやすいため過剰摂取に注意が必要です。
現代の食生活は、加工食品や精製食品に偏りがちで、本来摂るべきビタミンを充分に摂れていないケースが増えています。また、ストレスやアルコール、薬剤などによってもビタミンの消費量は増加します。これらを補うために、食事の見直しやサプリメントの活用が重要な選択肢となるのです。
ビタミンを理解することは、現代の栄養戦略の基礎であり、心身のパフォーマンスを最大化する鍵でもあります。
第1章|ビタミンの歴史とその発見の裏側
1912年、ポーランド出身の生化学者カシミール・フンクが米糠から抽出した栄養素に「ビタミン(vitamine)」と名付けたのが、ビタミンの概念の始まりとされています。しかし、それに先立つ1911年、日本の鈴木梅太郎博士がすでに米糠に含まれる栄養素が脚気を予防することを発見していました。鈴木は「オリザニン」と名付け、すでにその栄養価の高さを明示していましたが、彼の功績は欧米の学会ではほとんど認知されることなく、フンクが「ビタミンの父」として知られるようになったのです。
エネルギー代謝のメインプレイヤーがビタミンB1『チアミン』
— 續池均(kintsuzuike)@MTR Method Lab®︎ (@kintsuzuike) January 28, 2021
しかし、世界で初めてこのビタミンを発見したのは日本人の鈴木梅太郎氏。1911年、"米糠"の成分から『オリザニン』を発見。脚気の原因がこのビタミン欠乏と突き止めた。
先週から妻が始めた糠漬け。
その糠の成分標本に今日出会ったよ😎 pic.twitter.com/u0YJuwS5w9
同様の例は他にもあります。アドレナリンの発見者である高峰譲吉も、アメリカの学会から「研究を盗んだ」との難癖をつけられ、欧米での評価を得ることができませんでした。結果として、アメリカではアドレナリンを「エピネフリン」と呼ぶことが定着しました。
第2章|チアミン(ビタミンB1)
〜“動く・整える・守る”エネルジー循環の起点〜
チアミンは、1912年にポーランドの生化学者カシミール・フンクによって「ビタミン」として命名された、非常に重要な水溶性ビタミンです。しかしその1年前、1911年には日本の鈴木梅太郎博士がすでに米糠から抽出した成分「オリザニン」が、脚気の予防に効果があることを発見していました。これは後にビタミンB1、つまりチアミンと判明したのです。脚気は長年にわたって感染症と考えられており、日本の海軍が食事改善によって脚気を克服した事例があっても、英国の医師パトリック・マンソン卿のように感染症説を頑なに信じていた医学者も存在しました。実際には、精白米の普及によって米糠から得られるチアミンが摂取されなくなったことが脚気の主因でした。
■ サッカー選手にとってのチアミンの重要性
チアミンは糖質代謝の鍵となるビタミンで、特にTCA回路(クエン酸回路)でエネルギー産生に不可欠な役割を果たします。糖質を分解して生成されるピルビン酸は、チアミンが補酵素として機能することでアセチルCoAへと変換され、ミトコンドリア内で効率よくエネルギーとして使われます。チアミンが不足するとこの代謝経路が滞り、ピルビン酸は乳酸へと変換されて体内に蓄積されます。
これは、
「走ってもすぐに疲れる」
「トレーニング後の筋肉痛がひどい」
「乳酸がたまりやすく回復が遅い」 といったサッカー選手特有の悩みを引き起こす原因になります。
さらに深刻なケースでは、乳酸アシドーシスという代謝性疾患を引き起こすこともあり、これは生命にも関わる重篤な状態です。
■ チアミン欠乏の症状チェックリスト
✅ 常に疲労感がある
✅ 食欲がなく体重が落ちてきた
✅ 足がつる・しびれる・チクチクする
✅ 集中力が続かない
✅ 頭がぼーっとする・記憶が飛ぶ
✅ 練習中や試合でスタミナが持たない
こういった症状がある場合、単なるオーバートレーニングではなく、チアミンをはじめとしたビタミンB群の欠乏の可能性があります。
■ 医療分野での活用と効果
精神的な面でもチアミンの不足は無視できません。代表的なのがウェルニッケ・コルサコフ症候群で、これは記憶障害やせん妄、眼球運動障害などを引き起こす脳神経の病気です。特に慢性アルコール依存症の患者に多く見られ、チアミンの高容量投与が極めて効果的な治療法とされています。
1940年代後半、J・F・ケイド医師は、アルコール依存症の患者に高用量のチアミン(少なくとも200mg)をマルチビタミンと共に静脈投与し、その結果、死亡率が劇的に減少したという臨床データを報告しました。1945年から1950年には86人の患者が死亡しましたが、1956年から1960年の間では死亡者は8人に減少し、さらにその後の期間ではゼロにまでなったといいます。
■ チアミンの摂取目安と安全性
日本の推奨摂取量(RDA):1.2〜1.4mg/日(成人)
治療・パフォーマンス向上目的:100〜3000mg/日(医師・専門家の指導下)
経口摂取での毒性:報告なし、安全性は非常に高い
副作用:ごくまれに吐き気がある程度
■ チアミンを多く含む食品
玄米(白米ではなく)
レンズ豆
豚肉(特にヒレ・ロース)
イースト(天然酵母パンなど)
加工食品中心の食生活や高糖質・高ストレスの生活では、チアミンが大量に消費されてしまいます。特に「甘いものがやめられない」「清涼飲料をよく飲む」などの習慣がある選手は、知らず知らずのうちに慢性的なチアミン欠乏に陥っているかもしれません。
■ なぜチアミンが必要なのか?
糖質代謝をスムーズにし、エネルギー効率を上げる
疲労回復を早め、乳酸の蓄積を防ぐ
集中力・判断力の維持に貢献
神経機能・筋機能を守る
トレーニングや試合後の回復力を高める
第3章|ナイアシン(ビタミンB3)
〜“燃やす・回復する・整える”代謝のタクト指揮者〜
ナイアシンはビタミンB群の一種で、水に溶けやすい水溶性ビタミンです。体内では主にニコチン酸とニコチンアミドの2つの形で存在し、それぞれが異なる代謝経路で働きます。ナイアシンは、500種類以上の酵素反応に関与しており、その多くはエネルギー代謝を担う「NAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」や「NADP⁺」という補酵素の形で存在します。
また、体内では必須アミノ酸の一つであるトリプトファンからも合成されるため、たんぱく質の摂取とも密接な関係があります。つまり、ナイアシンはビタミンでありながら、アミノ酸代謝とも連動する非常にユニークな栄養素なのです。
■ サッカー選手にとっての効果
ナイアシンの効果は非常に幅広く、アスリートにとっては特に次のような恩恵があります。
エネルギー代謝の中枢を担う
→ 糖質・脂質を効率よくエネルギーへ変換し、パフォーマンスの源を安定供給。乳酸の分解を促進
→ 乳酸脱水素酵素(LDH)の働きを補い、乳酸が蓄積しにくくなる。疲労・倦怠感の軽減
→ 慢性的な疲労感、朝起きた時のだるさが改善されるケースも多数。HDL(善玉)コレステロールの増加
→ 心血管リスクの低減だけでなく、全身の炎症状態を改善。集中力と精神的安定に貢献
→ ストレス耐性の向上、メンタルの浮き沈みの予防にも。
■ トリプトファンとセロトニンの関係
ナイアシンは、精神の安定を司るセロトニンの生成とも深い関係があります。
トリプトファン → セロトニン → メラトニンという合成経路があり、
その途中でトリプトファンがナイアシン合成にも使われるため、体内のナイアシンが不足していると、セロトニンの合成に回す分が減少します。
つまり、ナイアシン不足はセロトニンの低下 → 気分の落ち込み・不眠・集中力低下などの症状につながります。サッカー選手にとって、「メンタルの安定」と「質の高い睡眠」は、コンディション維持の土台。ナイアシンがその“裏方”を担っているのです。
■ ナイアシン欠乏の症状チェック
✅ 疲れやすく、回復に時間がかかる
✅ 気分の落ち込み・うつ状態
✅ 口内炎や皮膚トラブルが増えた
✅ 集中力の低下・やる気が出ない
✅ スタミナが落ちたと感じる
✅ 眠りが浅い、朝の目覚めが悪い
欠乏が進行すると「ペラグラ」と呼ばれる疾患が発症し、皮膚炎、下痢、認知障害など、全身に深刻な影響を及ぼします。アスリートの場合は、初期の不調(肌荒れや疲労)で見つけて、早期対処することが重要です。
■ ナイアシンフラッシュとサプリメントの注意点
ナイアシン(特にニコチン酸型)を高用量で摂取すると、顔や体が赤くなる「ナイアシンフラッシュ」が起こることがあります。これは一時的な血管拡張による反応で、10〜30分ほどで自然に治まります。慣れていない人は驚きますが、体には害のない反応です。以下のように対策するとスムーズです。
少量(50mg程度)から開始して、段階的に増やす
食後に飲むとフラッシュが起きにくい
肝機能を考慮し、徐放型ナイアシン(ゆっくり吸収型)は注意が必要
健康診断の数日前は一時的に中止すると安心
■ ナイアシンを多く含む食品
鶏むね肉(特に皮なし)
まぐろ、さばなどの青魚
牛・豚レバー
ピーナッツ、アーモンドなどのナッツ類
全粒粉パンや玄米
きのこ類(しいたけ、エリンギ、しめじ)
■ ナイアシンは「疲労に強い体」と「集中力の持続」を支える万能ビタミン
食べたものをエネルギーに変える力を底上げし、スタミナを維持
精神的ストレスやイライラ、不安感を軽減し、冷静なプレー判断をサポート
乳酸を処理しやすくし、回復力を高める
朝の目覚め、日中の集中、夜の睡眠の質を支える
体の調子だけでなく、心の調子も整えてくれるナイアシン。ハードな練習や連戦が続く選手こそ、意識して摂取していきたい最重要な栄養素です。だから、「Growith モリンガ配合たんぱく」にはナイアシンを高容量で含有させているのです。
第4章|ビタミンB6(ピリドキシン)
〜“つくる・伝える・抗う”タンパク質代謝の司令塔〜
ビタミンB6は、タンパク質の代謝を中心的に担う水溶性ビタミンで、ピリドキシン・ピリドキサール・ピリドキサミンなどの形で存在します。体内でアミノ酸の代謝、神経伝達物質の合成、免疫機能の維持など、広範囲な働きをしています。
■ サッカー選手にとっての効果
摂取したタンパク質をアミノ酸に分解し、筋肉やホルモン、神経物質を再構成する
→ 食事からとったタンパク質を効率よく“使えるカタチ”に変えてくれる重要な橋渡し役です。神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン・GABA)の合成に関与
→ メンタル安定、冷静なプレー判断、過剰な緊張の抑制に寄与。糖新生や脂質代謝にも関与
→ トレーニング中のエネルギー切れを防ぎ、長時間プレーにも耐えられる体づくりをサポート。免疫力・皮膚の抵抗力の向上
→ 試合続きでも風邪をひきにくい体に。
■ ビタミンB6欠乏の症状チェック
✅ 筋肉の質の低下(代謝の非効率化)
✅ イライラ・集中力低下
✅ 肌荒れ、口唇炎、舌のヒリヒリ感
✅ 月経前の情緒不安定(PMS悪化)
タンパク質を多く摂る人ほどB6が必要になります。筋トレ、試合後の肉食、プロテイン摂取が多い選手ほど、B6の消費も激しくなります。
■ ビタミンB6が多く含まれる食品
にんにく、ピスタチオ
マグロ、鮭などの魚類
レバー(特に鶏・豚)
バナナ、さつまいもなど
第5章|ビタミンB2(リボフラビン)
〜“まわす・保つ・つなぐ”脂質代謝と再生のビタミン〜
ビタミンB2は「発育のビタミン」とも呼ばれ、脂質代謝に深く関与する栄養素です。細胞の再生や成長、皮膚・粘膜の健康維持にも欠かせません。
■ サッカー選手にとっての効果
脂質の代謝をサポート
→ 体脂肪や摂取した脂質を効率よくエネルギーへ変換。糖質に頼りすぎない代謝バランスを実現します。粘膜や皮膚、爪・髪などの再生を促進
→ 接触プレーや紫外線ダメージから体を守り、コンディションを整えやすくします。活性酸素を抑制し、疲労感や老化の予防に貢献
→ 「なんとなくだるい」「朝起きた時から疲れている」と感じる場合、B2不足の可能性も。
■ ビタミンB2欠乏の症状チェック
✅ 口角炎、口内炎、肌荒れ
✅ 目の充血やかすみ
✅ 疲れが抜けにくくなる
✅ 運動中に脂肪が使われにくくなる
脂質をエネルギーとして使うにはビタミンB2が不可欠です。低糖質・高脂質を意識したアスリートほど、B2の重要性が高まります。
■ ビタミンB2が多く含まれる食品
卵、納豆、ヨーグルト
豚・鶏レバー
青魚(サバ、イワシ)
アーモンド、ししゃも
第6章|ビタミンC(アスコルビン酸)
〜“防ぐ・癒す・支える”抗酸化と回復のチャンピオン〜
ビタミンCは、私たちの体にとって「抗酸化」「免疫」「回復」「合成」など、あらゆる分野で活躍するマルチプレイヤー的な水溶性ビタミンです。特徴的なのは、人間、猿、モルモットだけが体内で合成できないという点。ほとんどの哺乳類は自分の体内でビタミンCを合成できますが、これらの動物は遺伝的に「GLO遺伝子(グルロン酸ラクトンオキシダーゼ)」を欠失しており、食事から摂るしかないのです。
ビタミンCは1日100mgもあれば壊血病は防げるとされていますが、パフォーマンス向上、回復促進、ストレス耐性の向上といった現代的な目的には、もっと多くの量が必要と考えられています。
■ サッカー選手にとってのビタミンCの5大役割
① コラーゲンの合成を助ける(=組織の再生力)
・靭帯・腱・関節・骨・筋膜・皮膚などに必須の構造タンパク「コラーゲン」の合成にビタミンCが不可欠。
・不足すると、関節の痛み・炎症・ケガの治りが遅い・青あざができやすいといった状態に。
・成長期のジュニア選手、ケガ明けのリハビリ中、連戦続きの選手は特に重要。
② 強力な抗酸化作用(=疲労と炎症の軽減)
・ハードな運動で体内に発生する活性酸素を中和し、細胞のサビつきを防ぐ。
・酸化ストレスが筋肉や内臓、神経に与えるダメージを軽減する。
・「練習後に疲労感が残りやすい」「朝の起きがけが重い」人には大きな助けに。
③ 免疫力の維持・感染予防
・白血球の働きをサポートし、風邪やウイルス感染から身体を守る。
・試合期に風邪をひくと、せっかくのコンディションが台無しに。
・ビタミンCは“攻めの免疫”を支える。
④ ストレス耐性を上げる(副腎サポート)
・ストレスホルモンであるコルチゾールの合成にもビタミンCが関わる。
・精神的・肉体的ストレスが続くと、副腎が疲弊し、慢性疲労・集中力低下・モチベーション低下へ。
・ビタミンCは“ストレスを戦い抜くホルモン”を作る材料でもある。
⑤ 鉄やカルシウムの吸収率を高める
・食事から摂取した鉄を吸収しやすい形(還元型)に変える。
・貧血予防や骨の形成にも間接的に貢献。
・プロテインを飲んでいる人は、一緒にビタミンCを摂ると効果アップ!
■ ビタミンC欠乏の症状チェック
✅ ケガが治りにくい、打撲が長引く
✅ 筋肉痛や関節痛が抜けにくい
✅ 疲労感が続く、集中力が続かない
✅ 風邪をひきやすい、喉がすぐ痛くなる
✅ 情緒不安定、メンタルの波が激しい
✅ 肌荒れ、歯茎の出血、アザができやすい
■ ビタミンCの摂取量とサプリメント戦略
厚労省の推奨摂取量は100mg/日程度ですが、これは壊血病予防レベル。
パフォーマンス向上やリカバリー目的では、1,000〜3,000mg/日が推奨されることも。
高用量でも過剰症はほとんどなく、水溶性のため尿中に排出される。
一度に大量摂取するよりも、朝昼夜と分けて少しずつ摂る方が効果的。
ただし、「Growith 植物性ビタミンC」は「アムラ」由来100%天然なので吸収力が違います。少量の摂取でも十分に効果があります。超おすすめの一品です。
■ 食事から摂れるビタミンC食品
赤・黄ピーマン(野菜界でトップクラス)
ブロッコリー、カリフラワー
キウイ、いちご、みかんなどの果物類
芽キャベツ、ケール、パセリ
ジャガイモ(意外にも安定したC供給源)
※ 加熱や保存で失われやすいため、「生」や「短時間加熱」で摂取を。
■ サッカー選手に伝えたい:ビタミンCは“影のMVP”
ビタミンCは、得点王でもアシスト王でもありません。でも、試合を作り、流れを変え、ケガ人を支える“影のMVP”のような存在です。
トレーニングや試合でダメージを受けた筋肉・関節・神経の再生を助ける
緊張やストレスで消耗した副腎の回復を支える
貧血・免疫力・疲労回復・集中力に関わる“補佐役”の集合体
「しっかり栄養をとってるのに、なんか調子が出ない…」という時は、ビタミンCの不足を疑ってください。
■ ビタミンCを“戦略的に”摂る
パフォーマンス最大化には「Cは水みたいなもの」。摂って流れて、また摂る。
サプリメントで補うなら、分割摂取(1回500〜1000mg×2〜3回)がベスト。
ハードワークしている時期・風邪の流行る季節・ストレスMAXな時は特に意識的に。
他のどのビタミンにも増して、予防・回復・安定の全てを司るビタミンC。
「隠れた主役」をうまく取り入れることで、あなたのパフォーマンスは確実にひとつ上のレベルに到達します。
第7章|ビタミンDとは?
〜ホルモンのように働く“特別なビタミン”〜
ビタミンDは、ビタミンという名がついていますが、体内でホルモンのように働く脂溶性ビタミンです。食事からも摂取できますが、最大の特徴は、日光(紫外線)を浴びることで体内で合成できるという点です。皮膚で作られるビタミンD3(コレカルシフェロール)は、肝臓・腎臓で活性型に変換され、全身の臓器に作用します。
■ ビタミンDが不足する理由(特に現代人)
室内トレーニング、日焼け止め、日照時間の短さ
冬季、曇天の多い地域、緯度の高い国
和食中心・低脂肪食など食事由来の摂取不足
つまり、現代の生活スタイルでは極めて不足しやすいビタミンです。
■ サッカー選手にとってのビタミンDの6大効果
① 骨と筋肉を強化(骨折・肉離れリスクを下げる)
・ビタミンDはカルシウムの吸収を高め、骨密度を維持する。
・筋肉の収縮や神経伝達にも関与し、「キレ・瞬発力」にも影響。
・骨折予防・成長期の骨形成・リカバリー強化に必須。
② 免疫システムの調整(風邪・感染症予防)
・ビタミンDは自然免疫と獲得免疫の両方を調整する力を持つ。
・風邪・インフルエンザ・ウイルス感染のリスクを下げるとされており、欧州クラブでも重視されている。
・海外選手が冬季にDサプリを徹底するのは常識になりつつある。
③ メンタルの安定(うつ・不安・切り替え力)
・セロトニン・ドーパミンの調整を助け、「やる気」「切り替え力」「前向きな姿勢」を支える。
・冬季うつや不眠症のリスク低減にも有効。
・集中が切れる・気分が沈む・試合で委縮するといった精神面への好影響が期待される。
④ 筋力向上&テストステロンとの関係
・ビタミンDレベルが高い選手は筋力・ジャンプ力・反応スピードが高い傾向にあるという研究も。
・テストステロン(男性ホルモン)との関連もあり、競技力の基礎ホルモンを支える役割を果たす。
⑤ 回復力の向上と炎症コントロール
・ビタミンDは慢性炎症を抑制し、回復スピードを速める。
・オーバートレーニングによる疲労蓄積や免疫低下のリスクを軽減。
⑥ アレルギー症状の軽減
・花粉症・喘息などに悩む選手にとって、ビタミンD+マグネシウムの補給は抗アレルギー戦略として有効。
■ ビタミンD欠乏の症状チェック
✅ 冬になると風邪やインフルが多くなる
✅ ケガ・骨折・筋肉系トラブルが多い
✅ 最近、気分が沈みがち・やる気が出ない
✅ 練習や試合の疲れがいつまでも残る
✅ 夜の眠りが浅く、朝起きても疲れている
✅ 花粉症が年々ひどくなってきている
■ 推奨摂取量と安全な取り方
厚労省の目安:8.5μg(340IU)/日(極めて控えめな基準)
欧米スポーツ医学では:2,000〜5,000IU/日が一般的
血中濃度での理想値は40〜60 ng/mL(多くの日本人は20以下)
■ サプリメント戦略
ビタミンD3(コレカルシフェロール)を選ぶ
ビタミンK2とマグネシウムをセットで補給すると吸収・代謝がスムーズ
一度に大量より、毎日の少量摂取がベスト
血中濃度を一度測ってみるのもおすすめ
■ 食事から摂れるビタミンD食品
鮭、サバ、イワシなどの青魚
卵黄
干ししいたけ、きくらげ(※日光乾燥が重要)
強化食品(D添加の牛乳など)
■ 「サーファーに花粉症なし」の理由
「毎年花粉症でつらいのに、夏だけは調子がいいんだよね」
「サーフィンしてる時期はなぜか症状が出ない」
── こうした話、実は医学的にも理にかなった現象です。
① 海辺の強い日差し → ビタミンD濃度が上昇
太陽光を浴びると、皮膚でビタミンD3(コレカルシフェロール)が合成されます。ビタミンDは免疫の過剰反応を抑える“調整役”であり、アレルギー性疾患(花粉症、アトピー、喘息など)の暴走を防ぐ働きがあります。
・ビタミンDが十分にあると、免疫のバランス(Th1とTh2)が整い、IgE抗体の過剰産生が抑制されます。
・花粉症で鼻水・くしゃみが止まらないのは、このIgE抗体とヒスタミンの反応が暴走している状態。
つまり、日光=天然の抗アレルギー療法とも言えるのです。
② 海水との接触 → 経皮的にマグネシウム補給
海水には豊富なミネラル(特にマグネシウム)が含まれています。
波に揉まれて、皮膚から微量に経皮吸収されることで、体内のマグネシウムレベルが上昇すると考えられています。
・マグネシウムはヒスタミンの放出を抑制し、炎症性サイトカインの分泌も抑える働きがあります。
・また、慢性的なマグネシウム不足は、IgE値の上昇・アレルギー悪化と関連しているという研究も。
つまり、日光×海水=ビタミンDとマグネシウムの黄金コンビが、アレルギー体質を“リセット”するのです。
現代人にとっての問題は「日光も海水も足りてない」
・紫外線カットの習慣(日焼け止め、長袖、マスク)
・ほとんどが室内生活(オフィス、ジム、教室)
・海や自然との接触機会が激減
このような生活スタイルでは、本来体が受け取れるはずの“自然の治癒力”が遮断されてしまっているのです。
花粉症を和らげたい人にできること
・週に2〜3回、日焼け止めを塗らずに10〜30分の散歩や外遊び
・マグネシウム補給(高濃度マグネシウム水や経皮スプレーなど)
・どうしても外に出られない時は、ビタミンD3+マグネシウムのサプリメントも有効
・花粉シーズン前から腸内環境や免疫バランスを整えておく
“サーファーに花粉症なし”は偶然ではなく、
「自然との接触によって免疫のバランスが整っている状態」なのです。
薬に頼る前に、まずは自然の力を味方につけることから始めてみてください。
■ ビタミンDは“土台のビタミン”
「疲れにくく、ケガしにくい体」
「風邪や体調不良に左右されない強さ」
「どんな場面でも冷静にプレーできる心」
「連戦を乗り切れる筋力と回復力」
これらすべての“土台”を支えているのがビタミンDです。ハードワークしても崩れない強さを身につけたいなら、ビタミンDを“戦略的に”摂るべき時代です。
第8章|ビタミンEとは?
〜細胞を守る「抗酸化の守護神」〜
ビタミンEは、脂溶性の強力な抗酸化ビタミンで、細胞膜を酸化から守るボディガードのような存在です。主に「トコフェロール(α・β・γ・δ)」として存在し、体内ではα-トコフェロールが最も活性が高いとされています。
■ サッカー選手にとっての効果
① 激しい運動による酸化ストレスの軽減
・トレーニングや試合によって生じる活性酸素(フリーラジカル)が細胞や筋肉を傷つけるのを防ぐ。
・ビタミンCと同様に抗酸化力を発揮するが、脂溶性のため細胞膜の中で働くのが特徴。
② 筋損傷や疲労からの回復力アップ
・筋肉痛や筋肉炎症の軽減にも貢献。
・肉離れや筋断裂などのリスクが高い選手ほど、抗酸化ビタミンは必須。
③ 血行促進で回復スピードアップ
・血小板凝集を抑える作用があり、血液の流れをスムーズに保つ。
・末梢血流を良くし、疲労物質の排出や栄養供給の効率を上げる。
④ ホルモンバランスの安定
・性ホルモンのバランスに関与し、成長期・思春期の選手の発育にも好影響。
・月経不順、PMSなどの調整にも使われることがある。
■ ビタミンE欠乏の症状チェック
✅ 筋肉痛が長引く
✅ ケガの治りが遅い
✅ 肌が荒れやすい、乾燥しやすい
✅ 疲れやすく、パフォーマンスが落ちる
■ ビタミンEを多く含む食品
アーモンド、ヘーゼルナッツなどのナッツ類
アボカド、ひまわり油、オリーブオイル
鮭、うなぎ、卵黄、かぼちゃ
全粒穀物(玄米、胚芽パン)
第9章|ビタミンAとは?
〜“視る・守る・育てる”の万能ビタミン〜
ビタミンAは、レチノールとして動物性食品に、βカロテンとして植物性食品に含まれる脂溶性ビタミンで、視力・粘膜・免疫・成長と幅広い分野に関わる「基本のビタミン」です。
■ サッカー選手にとっての効果
① 暗がりでの視力(暗順応)を助ける
・網膜の「ロドプシン」という物質の原料になり、夜間・夕方の視認性を向上。
・ナイターや曇天の試合・トレーニングで視界を保つには欠かせない栄養素。
② 粘膜・皮膚の強化(=免疫力アップ)
・鼻・喉・消化管などの粘膜の材料になり、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ防壁をつくる。
・口内炎、鼻詰まり、胃腸の不調が出やすい人に効果的。
③ 成長期の骨・神経の発達をサポート
・ビタミンAは細胞の分化・成長に関与しており、成長ホルモンの働きを後押し。
・特にジュニアユース年代での骨形成や身長の伸びに関わる。
■ ビタミンA欠乏の症状チェック
✅ 暗いところで見えづらい(夜盲症傾向)
✅ 鼻や喉の粘膜が乾燥しやすく、風邪をひきやすい
✅ 肌荒れ、吹き出物ができやすい
✅ 成長が緩やか、疲れやすい、集中力が切れやすい
■ ビタミンAを多く含む食品
レバー(特に鶏・豚)
卵黄、うなぎ、バター
にんじん、ほうれん草、かぼちゃ(βカロテン源)
小松菜、ブロッコリー、春菊などの緑黄色野菜
※脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると吸収が良くなります。
終章|ビタミンを土台に、さらにその先へ
ここまでご紹介してきたビタミンは、身体と心のあらゆる働きを“支える”存在です。しかし、ビタミンの力を最大限に引き出す鍵は、実はその先にある「腸内環境」と「全体を見通した栄養戦略」にあります。
▶︎ 『すべては腸が握っていた −サッカー選手のパフォーマンスと腸内細菌の深すぎる関係−』
→ ビタミンの吸収・合成にも深く関わる「腸内細菌叢」の世界を、サッカー選手のパフォーマンスと結びつけて徹底解説しています。
▶︎ 『ミネラル×自然塩が痙攣を防ぐ −サッカー選手の体質が変わり、90分を走り抜けた理由−』
→ パフォーマンス中に起こる“痙攣”や“スタミナ切れ”は、ミネラル不足のサイン。特にマグネシウムの役割を、自然塩との関係から分かりやすく解説しています。
▶︎ 『タンパク質の底力 −その不足がすべてを台無しにする−』
→ 筋肉、神経、ホルモン、免疫、酵素、皮膚、あらゆる“身体の材料”はタンパク質。どんなにビタミンやミネラルを補っても、土台となるタンパク質が足りなければすべてが崩れる。
“素材の力”を見直したい人にこそ読んでほしい一本です。
▶︎ 『栄養ストラテジー −腸内細菌・食事・サプリメント−』
→ どんな栄養素を、どの順番で、どう摂るか。身体づくりに“戦略”が必要な時代に向けた、総合的な栄養設計の考え方をお届けします。
腸で吸収し、ビタミンで回し、ミネラルで整え、タンパク質でつくる。それを戦略的にデザインすることで、パフォーマンスは「生まれ変わる」レベルで変わります。気になるnoteから、ぜひ一歩ずつ読み進めてみてください。
歳末キャンペーン第二弾のお知らせ
Growithでは歳末キャンペーン第二弾として、『Growith モリンガ配合たんぱく』を「3袋ご購入につき1袋サービス(実質25%OFF)」 にてご提供しています。
アスリートのために設計された“再生系プロテイン”。
グラスフェッドホエイ × 非遺伝子組み換えソイ × モリンガ粉を独自比率でブレンドし、現代人に不足しがちな食物繊維や、ナイアシンをはじめとするビタミンをバランス良く補います。
トレーニング後の回復はもちろん、朝の目覚め・集中力・肌コンディションまで。
ホルモンバランスや自律神経を内側から整える「1日のスイッチ」として、プロアスリートにも愛用者が増えています。
年末の疲れを翌年に持ち越さないために。
栄養の“基礎設計”を立て直すタイミングにぜひ。
キャンペーンは12月末まで。詳細は下記よりご覧ください。
能登復興支援チャリティTシャツのご案内
2024年元旦、私の妻の故郷・能登が地震で大きく揺れました。
あれから1年半。
報道が減る一方で、復興は思うように進んでいません。
「もう終わったこと」にしないために、私たちはチャリティTシャツを作りました。
私が運営するGrowithと、妻が立ち上げたima、2つのブランドからの小さな祈りです。
MTR Method Lab®︎がお届けする必読noteとサービス
■ 福田翔生選手(ブレンビーIF)再生と飛躍のノンフィクション
JFL、J3で4年間ノーゴール。
誰もが「終わった」と思った選手が、J1で二桁得点を記録し海を渡りました。福田翔生。その飛躍の裏には、常に“弟を支え続けた兄”湧矢の存在がありました。
プロの世界は華やかに見えるが、実際は怪我や序列、SNSでの批判、心が折れそうになる瞬間の連続。
諦めは肝心。でも「諦めたらそこで終わり」。
何度も立ち上がり、ヴィジョンを言葉にし、夢をひとつずつ実現してきた彼らの姿を伴走者として2年半見つめてきました。
これは、福田兄弟の“境界線の向こう側”へ至るまでの記録です。
そして同時に、うまくいかずに悩んでいる若き選手たち、夢を追う子どもとその親御さん、人生を再生したいと願うすべての人に向けた物語です。
■ noteマガジン
プロアスリート向けコンディショニングメソッドの概要です。筋肉チューニング(ケア)、栄養戦略(Growith)、身体操作(リアクティベーション)、個人戦術指導、含めプロサッカー選手のフルサポートは延べ200名を超えました。お陰様で育成年代の選手のご利用も増えています。
■ noteメンバーシップ
有料記事をリーズナブルな料金でご購読いただけるメンバーシップを3つのコースで開設しました。
①MTRスタンダードプラン:過去に公開したサッカー専門記事の中から再現性の高い記事を厳選し、毎月2本以上(15日・30日)を公開します。
②MTRプレミアムプラン:①に加え最新記事もしくは①とは別に過去の特選記事を2本以上を公開します。常に4本以上の購読が可能です。
③體と心を整えるプラン:毎月2本以上の有料記事を公開します。
■ Growith −MTR Nutrition−(戦略サプリメント)

【アスリートサポートGrowith -MTR Nutrition】ではサポートプログラムを実施しています。ジュニアから社会人まで「Growithを日常的に取り入れている」そんな選手の皆さまを、私たちは応援します。年齢・カテゴリー・レベルは一切問いません。Growithを“感じて”、そして“広めて”くれる選手を大募集しています。セット品やキャンペーンを除きGrowith商品が"いつでも10%OFF"、"何度でも使える"お得なクーポンを進呈しています。
■ 筋肉チューニング整体院UROOM
肉チューニング整体院「UROOM」は、慢性的な痛みや不調に悩む“痛み難民”の方々を救うために誕生しました。體を「部分」ではなく「全体のつながり」として捉え、筋肉・骨格・血流を最適化する独自のメソッドで、根本改善と再発予防をめざします。特に大腰筋や骨盤の機能性を重視し、姿勢・動作・呼吸の調和を取り戻すことで、体本来のしなやかさを引き出します。高いリピート率(約60%)を誇り、アスリートからご高齢の方まで幅広く支持されています。

■ MTR Method Lab®︎公式YouTube
プロサッカー選手が信頼を寄せる“MTR Method Lab®︎”の公式YouTubeチャンネルです。筋拘縮を解き、パフォーマンスを最大化する独自メソッドや、施術・栄養・セルフケアの最前線から、個人戦術や選手の貴重なインタビューを発信中です。

■ ノンフィクションマガジン
『Mountain Trail Running ー山が教えてくれたことー』シリーズのスピンオフ短編です。サガン鳥栖44番、堀米勇輝選手の再生物語。たった4ヶ月の出来事が走馬灯のように駆け巡った記憶。怪我ばかりでJ2で燻っていたベテランがなぜJ1の開幕スタメンを飾れたのか。
MTR Method™️の開発責任者である著者が、自身の體の再生を目指し試行錯誤した軌跡のノンフィクションです。體についてはまったくの門外漢が好奇心と探究心で、新たな世界へ挑戦します。
