『和気アルプス』岩を登り、縁を結ぶ。ソロのつもりが、最高の山歩きになった日。
岡山県和気町にある「和気アルプス」。
標高200〜300メートル前後の低山が連なるこの場所に、その名が冠されたのには理由があります。
それは、本物のアルプスを連想させるような、険しくも美しい岩稜歩きが楽しめるからです。

今回はソロ登山です。目の前に現れたのは、荒々しくそそり立つ岩壁でした。
自分の呼吸と、足裏から伝わる岩の硬さ。
一歩ずつ、慎重に高度を上げていくスリル。


「低山だから」という油断は、最初の一歩で静かに消え去りました。
視界が開けるたびに広がる絶景と、それとは裏腹な、足元のヒリヒリとするような緊張感がありました。
一期一会の「山の知恵」に触れて
神ノ上山を目指す道中、一人の登山者と出会いました。
話をしていくうちに、目的地が同じ「神ノ上」まで一緒に歩くことになり、道すがら多くの「山の知恵」を授けていただきました。
木々に結ばれた赤テープは、誰かが繋いでくれた「迷わないための道しるべ」であること。
不自然に掘り起こされた地面は、イノシシが近くにいるかもしれないサインであること。
一人で歩いていれば見落としていたかもしれない、山の微かなメッセージ。
ただの景色が、その方の言葉を通して全く別の表情を持ち始めました。


万が一に備える「山岳保険」の大切さなど、情報交換をしながら歩く時間は、ソロ登山では味わえない豊かさに満ちていました。
道中はとても楽しく、神ノ上山へ到着したあとも「せっかくだから」と剣峰まで足を伸ばすことにしました。
そこから折り返し、分岐地点でお別れの時。名残惜しさを感じつつも「また、どこかの山で」と約束を交わして手を振りました。
下山後のご褒美と、新しい目的地
無事に下山したあとは、和気鵜飼谷温泉で体を癒やします。
サウナで汗を流し、独特の香りが漂う薬湯に身を沈め、外気浴で意識が空へと溶けていく……。
まさに最高のひとときでした。
山を通して誰かと繋がり、新しい世界を知る。
和気アルプスが教えてくれたのは、岩を登る技術よりも、もっと温かくて大切な「縁」の育み方だったのかもしれません。
あの人が教えてくれた、宮島弥山や三瓶山。
いつか、その新しい景色に会いに行ってみようと思います。
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