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『ヤングケアラーくらみ』あとがき的大反省会

芋子「お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。今回は当方128さんの連続小説『陽キャになれる島』第三・四話の反省会……いや、超特大反省会をしていきましょう(※約5,000字の超大作)」

小野「今回はガチで相当苦労したね。第二話からなんと2年も経ってしまい、お待たせしたにもかかわらず最後までお読みいただいた皆様、本当にありがとうございました。そして内容については……当方さんには俺から怒っておきますので、どうかお許し下さい」


1.時系列プロット表

芋子「今回は登場人物が多く話も複雑で、全てを理解した読者はマジで0人だと思いますので、補足として最終確定版の時系列プロット表を貼っておきます。拡大してご覧下さい」

本編に書けなかった設定も結構ある

小野「今回はガチでめちゃめちゃ難航して、プロットもこの2年間で5回は作り直している。第一・二話は2024年なんだけど、今回の第三話は2023年から始まっているのも余計ややこしいね」

2.【前編】『紙芝居屋のおねえさん』の再利用

芋子「第三話(前編)から反省していきましょうか。今回は倉美視点ではなく倉美と関わる男子(憂太)の視点で執筆していくことは初期の段階で決まっていました。問題は憂太のキャラ設定をどうするか。ここで大きく躓き、プロットを何度も作り直す事態に」

小野「で、悩んだ末に辿り着いたのが過去作『紙芝居屋のおねえさん』の再利用だ。この作品の主人公を憂太にしようと決めた」

芋子「おねえさんも再登場させて、ストーリーも完全にリンクしていますので、上記作品が事実上の前日譚ということになります」

小野「例えば第四話(後編)の『水あめ、下さい』のくだりは上記作品を読んだほうがしっくり来る。とことん分かりづらくてすみません

芋子「そして、このおねえさんは影里が憧れている歌手・角川春奈でもあることが判明しました。結婚して大月春奈に改名したから検索しても出てこなかったというカラクリだったわけです(流石に無理がある)

「角川春奈さん。でも、今はどこで何をしているのか分からない……」

 その名前で検索しても公式サイトどころかSNSの一つもヒットしない。

第二話より引用

小野「とどのつまり、影里と春奈さんが無人島で再会を果たすことになるわけか……」

3.【前編】かげりとあかり再登場の経緯

芋子「第三話のもう一つの特徴は、第一・二話の影里と明里が再登場することです」

小野「オムニバス形式の小説で登場人物をリンクさせるのは良くある手法なんだけど、2年も空けちゃったから本当はやらないほうが良かったんだよね。影里も明里も誰も覚えていないだろっていう」

芋子「とりあえず『かげりとあかり』の一年前にこんなことが起きていました、くらいの認識で大丈夫です」

小野「では何故再登場させたかというと、今年起きた2つの出来事がきっかけになっている」

3-1.楠木ともり結婚の“絶望”

芋子「1つ目はこのnoteでほぼ毎回話題に出していますが、今年1月1日の声優・楠木ともりさんの結婚発表です。この時当方さんはガチで絶望したそうです」

小野「一時期、全ての女性声優を信じられなくなっていたからね。メンタルは相当ヤバかったと思うよ」

3-2.Liella!薮島朱音やぶしま あかね号泣の“希望”

芋子「そんな絶望の当方さんに希望の光が差し込んだのが2月8日。横浜アリーナへLiella! 7thライブを観に行ったわけですが、そのアンコール、最後のMCで2期生の薮島朱音さんが号泣したのです」

薮島「(大熊)和奏わかながさ『楽しかった?』って言ってくれて、そう言うと思わなかったから凄い嬉しくて……」

大熊「えっ?(困惑)」

薮島「何が言いたいかって言うと、私本当に2期生がめちゃめちゃ好きで、めちゃめちゃ好きで、めちゃめちゃ好きなの。ね、その、だから好きで……(涙)」

絵森彩「え、何で、どうして!?」

(言葉を詰まらせる薮島に、2期生の3人が駆け寄る

薮島「(泣きながら)やっぱり、誰よりも笑ってくれていたら嬉しいし、目が合うと嬉しいし、なんか、私は本当にこの3人に支えられてきたから(中略)やっぱ出会えて良かったなって改めて凄い感じました。(中略)皆への気持ちだけは誰にも負けないので、だから大好きだよってことを言いたかったんですぅ……ありがとね」

ChatGPTによる再現

小野「絶望から希望へ。2期生が好きというだけで泣ける薮島さんの純粋さに感動し、もう少しだけ女性声優を信じてみようと思えた」

芋子「これを地下アイドルの『かげりとあかり』に当てはめて書いてみようとなった。つまり、第三話投稿の一ヶ月前にようやく話の方向性が定まって来たというわけです。2年間何をやっていたのでしょうか

小野「前編だけで見ればそんなに悪くなかったと思うよ。ただ、アイドルのライブに尺を使い過ぎて後編が超駆け足になってしまったのが今作最大の汚点なわけよ」

4.【後編】介護・認知症の話を丁寧に書けなかった

芋子「では第四話(後編)の反省に移ります。『ヤングケアラーくらみ』というタイトルでありながら、結局話のメインは希死念慮や死生観となってしまい、介護や認知症の話を丁寧に書けませんでした」

小野「なんでやねん。倉美にはちゃんとモデルが居るんだよね?」

芋子「ハイ。当方さんが前職で一年間だけ同僚だった、当時27歳の女子社員“あのさん”(仮名)です。不登校、高校中退の陰キャ人生に祖父母の介護まで加わる絶望の10代を経て、20代半ばで奇跡的に陽キャへの転身を果たしました」

 小学生の時から母子家庭で育ちました。
 中学時代は学校を実に3分の2も休む、いわゆる不登校少女でした。
(中略)
 高校は中学の同級生が誰一人いない学校を選び、吹奏楽部に入部して楽器に打ち込みました。しかしここで転機が訪れます。母が認知症になってしまいます。介護をしなければならなくなったということで、それが原因で高校中退を余儀なくされます。「どうして私ばかりこんな目に遭わなければならないのか」と思ったそうです。
 その後、祖父母は特別養護老人ホームに入所し、あのさんの介護人生はようやくピリオドを打たれるわけですが、この時点でもう20歳、成人になってしまいました。
 この時「大事な10代を棒に振った」と嘆いたそうです。

2023.5.22『明るい人が得をするし、何ならこの世は陽キャに支配されている。』より引用

小野「なるほど。太字の部分は台詞も含めてそのまま本編に使っているね(特別養護老人ホームはデイサービスに改変)。加えて、書かれていないけど実はギャルだった過去も判明しており、その設定もちゃんと落とし込んでいる」

芋子「しかし、あのさんの話を創作小説として形にするのは究極に困難を極めました。まず、ヤングケアラーを知らな過ぎた。ネットやYouTube、図書館で調べまくり、Eテレで特集した番組を観ても介護の実態や具体例をなかなか掴めません」

小野「それ以上に悩まされたのは認知症だ。認知症介護の話はネットで結構読んだが、身体そのものは自由に動ける人が多い。だからこそどこにでも行けるし何でも出来ちゃうから色々問題が起きてしまうと知って、これを取り扱うのは相当難しいと悟ったのである」

4ー1.『前橋ウィッチーズ』とヤングケアラー支援

芋子「書けなかった2年間の間にヤングケアラーを扱った作品も幾つか世に出ました。その一つ、アニメ『前橋ウィッチーズ』(2025)の8話の完成度があまりにも高すぎて、当方さんがわざわざ書く意味は完全に無くなりました

三俣チョコ「助けてもらうって、人の目気になるし、すんごく怖いけど、でも結局、私の大事なものを助けることになるのかなって。だからまず、学校で助けてって言った。担任は困っていたけど、でも別の先生がいっぱい話を聞いてくれて、保育園のお迎えとか、ご飯の事とか、勉強の事とか、助けてくれる人がいるって教えてくれて(中略)もちろんそれで根本的なことが解決するわけじゃないんだけど、本当に久しぶりに、お母さんやおばあちゃんの前でただのチヨコになれた

『前橋ウィッチーズ』8話より

小野「舞台となっている群馬県は、例えば高崎市は2022年、中高生のヤングケアラーがいる家庭にヘルパーを無償で派遣する支援事業が大々的に開始された。前橋市でも今年『ヤングケアラー・子育て世帯訪問支援事業』を始めるらしい。一人で抱え込まず、まわりに頼れば良いし、それを誰でも気兼ねなく出来る社会にすべきである。うん、『前橋ウィッチーズ』が答え出しちゃったわ」

5.【後編】希死念慮と佐倉綾音のラジオ

芋子「で、結局、主題を希死念慮や死生観にシフトしていったわけですが、憂太がキレるあのシーンは賛否両論あるかと思います」

小野「本来は『その気持ち分かるよ。今まで良く頑張ったね』と優しい言葉をかけてあげるべきなんだと思うよ。ただ、希死念慮に対するアンチテーゼは当方さんの絶対に譲れない主張だからああするしか無かった」

芋子「そこはまあ色んな意見があるということで……例えば、声優・佐倉綾音さんはラジオでこう語っていました」

佐倉「生きる死ぬっていうのは、結果論だと思っているんですよ私は。死んだら死ぬし、生きたら生きるので。そこは、生きているうちはもう私はあんまり考えないようにしていたんですよね。
(中略)
 意外と人間は電気信号で出来ているので、色んな外部刺激だったりとかそういったもので簡単に気分とか感覚とか感情って変わっちゃうんですよ。それをポジティブに捉えるかネガティブに捉えるかで希死念慮の遠ざかり方、近づき方も大分変わると思うんですけど。そうやって思って、ちょっと気が楽になったりとか……」

『佐倉綾音の論理×ロンリー』#47より(2026.2.19)

小野「『生きるか死ぬかは結果論』の元ネタはこちらでした。そして実は『80年は余生』も数年前に5ちゃんねる掲示板で『俺のばあちゃんがこんなこと言っていた』みたいな書き込みがあって、それを使わせてもらっている。だから今作は100%当方さんが生み出したものでは無くなっちゃったけど、死生観に関しては色んな人の意見を載せるべきだと思ったから、あえてこうしたと」

6.【後編】昭夫と久美子のエピソードを掘り下げられなかった

芋子「今作最大の汚点は後編が駆け足になってしまった点にあります。特に和子さんが認知症になるきっかけとなった昭夫さんと久美子さんのエピソードを掘り下げられなかったのは痛い」

小野「さっきの時系列プロット表を見れば分かる通り、この二人の設定も綿密に練られていた。でも後編だけで8,000字を超えそうになっちゃったから泣く泣くカットした」

芋子「長くなりすぎると最後まで読まれない可能性もある。だから1話あたり6,000~7,000字を目安にしようとは最初から決めていました。2話ではなく3話構成に増やす案もありましたが、当方さんの気力的に出来るわけが無かった

小野「春奈さんがもう一度紙芝居する展開自体は悪くなかったけど、肝心の内容がプロットをそのまま書いただけ。これだけでも駄作が確定した」

芋子「昭夫さんの兄が死ぬのも唐突すぎて……そもそも当方さんはずっと『創作小説で生き物の死を扱わない』スタンスでいたんですよ。ただ今作は希死念慮や死生観が主題である以上、死と真剣に向き合う必要があった。その結果、雑になったと」

小野「あれだけ『アナ雪の両親の死が雑』って言っておいて、自分もやってしまっているじゃん。これでもう懲りただろ。二度と死を扱わないでくれ

7.その他、書きたかったシーン

芋子「そして、倉美が介護うつになるシーンも文字数の都合で削りました」

小野「うつ病は当方さんも経験しているから、症状とか心療内科の様子とか丁寧に描写できたはずなんだよ。何なら今作の転換点にもなりえたのに勿体ない」

芋子「あと、倉美は陽キャに転身、結婚・出産と救われるラストになりましたけど、和子さんの救いは書けませんでしたね」

小野「春奈さんの歌で希望を貰って、ラストで再び絵を描き始めるとか、書きようはいくらでもあった。結局文字数の壁が……」

8.今後の展開について

芋子「長くなったので最後は短めに。次回『陽キャになれる島』第五話は『遅すぎた青春(仮題)』をお送りします。主人公は小売店で働くアラフォー童貞。ほぼ当方さんの私小説になる予定です」

小野「これが1話で完結するのであれば次回が最終話となります。完結したらTALESのほうで創作大賞のエントリー(2年越しのリベンジ)も考えているけど、果たして間に合うのか……」

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