創作メモ「四十七手の未来」
毎週土曜日は、金曜日の作品の創作メモ
まずは、この話を作った経緯から。
実は、X上での雑談?がきっかけである。
板野かも(作家の亡霊)
リアリティのある将棋ものとか読みたいなあ。 初級者が突然謎の力に目覚めて有段者に実力で勝ったりしないやつ……。 ※他の競技なら運もあるかもしれないが、将棋は「敵玉の詰め方」を知っていないとトドメを刺せないので、始めたばかりの素人が初段レベル相手にまぐれ勝ちはあり得ないのである。
うーん、私も将棋つかった掌編一本書いてるけど、
あれは将棋メインではないしなぁ・・・。
そこで、こんな感じで返してみた。
藤井聡太竜王名人(っぽい人)が、 1980年代にタイムスリップして、 大山、中原、谷川、羽生っぽい人とタイトルを争う話とかどうでしょ? (適当)
本当に、適当に思いついただけ。w
私はX上ではフォロワー数も少ないし、反応されるとは思わなかったけど、
これに、板野さんが「いいね」してくれた。
へー。じゃぁ、今週の掌編はこのネタで書いてみようかな。(適当)
というわけでさくっと作ったのが、この作品である。
まず、「将棋のことを知らない人でも、なんとなくすごさがわかる」
ように書きながら、「将棋ガチ勢にぶっ刺さるリアル」を両立させる、
ということを目標にかいてみた。
この作品、将棋への知識によって、読み方が3通りに分かれる。
1)将棋知らない層
よくわからないけど、貴子が異常なのはわかる。
1995年にしたのは、震災やサリン事件など、
「世の中の常識が壊れる」時代だからかな?
将来有望な天才少年が、異次元の鬼才の少女にコテンパンにされるけど、
その才能をみとめて、ともに立ち上がる話?
2)将棋ファン層
これ、歴史ifもの?藤井竜王名人の才能を少女がもっていたら?とか。
いや、藤井竜王名人とあたった棋士が、藤井将棋に打ちのめされる感じ?
現実、女性棋士はまだ誕生していないし、1995年に小学生名人になるような少女がいたら、世の中どうなるんだろう?
3)将棋ガチ勢
これ、藤井システムじゃん!
1995年に藤井、といえば、藤井竜王名人じゃなくて藤井猛九段!
しかもこの符号、ガチ。
貴子の「▲3七桂」でロックオン完了。
渡部の「△1二香」は、もはや負け確定の死亡フラグ。
「▲2五桂」で相手が固まる。藤井システム使い歓喜の瞬間!!
つい最近、藤井システムの動画をみたところだったんだよね。
元々の発想だと、1980年代に転生して無双する、だったけど、
この棋譜を使うなら、藤井システム完成の直前の方がいいかな、と
思ったので、1995年にした。
今回は時間がないし、遊びの掌編なので舞台は小学生名人戦に。
プロとか、奨励会とか書くと設定考えるのも面倒なので。
貴子と渡部の棋譜は、この第一号局をそのままなぞっている。
たぶん、この渡部の思考回路って、
実際に藤井システムを初見で食らった井上六段(当時)と
重なると思うよ。
藤井貴子のネーミングは、藤井猛(ふじいたけし)九段から。
もちろん、勝手に藤井竜王名人と混ぜてくれることを狙って。
ちなみに、渡部にもモデルが存在する。
ちょうど、1995年に小学校5年生だった天才少年がいたので。
さて、将棋のうんちくはそんなもんにして、物語の構造を。
これ、主人公は渡部・・・に見えるけど、貴子である。
元々の発想が「現代の将棋戦術知識をもったまま少女に転生」
だからね。この発想自体が、「現代知識で無双する転生もの」と同じ。
ただ、貴子一人称にすると、うまくいきそうにない。
少なくとも、掌編では無理だろう。
転生の経緯とか、設定とかを語るだけで文字数使いすぎてしまう。
あと、将棋って天才視点で書くのが難しい……。
藤井竜王名人のタイトル戦の解説とか見るけどさ、
あれ、全然感情移入できないのよ。
一般人には理解不能だから。
逆に、「この手はどういう意味なんだ?」と頭を抱える挑戦者の方が、
よっぽどわかりやすいのね。w
あと、最近まで書いてたペアスケートものの構造にも似せてある。
あれも、「異次元の才能をもつ女子」を「凡人」の主人公から見る話。
たぶん、私はそういう書き方が好きなんだと思う。
最後の展開は、かなり無理があるんだけど私の好みで。
いや、この時代の小学生男子が決勝で女子に負けて、
ここまであっさり切り替えられるわけないって。w
その意味では、渡部も天才だと思うよ。
このあと二人で一緒にプロを目指す話にしてもいいし、
この棋譜をみた振り飛車党のプロが、藤井システムを貴子から教わる、
みたいなタイムパラドックスな展開もありえるね。
ただ、戦術知識だけだとたぶん、勝てないと思うんだよね。
終盤力が足りないから。あと、戦型を無視する剛腕タイプにも勝てない。
その辺、やっぱり修業が必要だと思うよ。
というわけで、
「実は、転生もの」という設定をさっくり隠して掌編にまとめあげた。
まぁ、遊びだからこんなもんでいいでしょ。w
