「会話」と「対話」の違い。信頼が育つコミュニケーションとは?
ちゃんと話したのに、伝わらなかった夜。
その理由は、言葉の量ではないのかもしれません。
私たちは、説明を増やせば伝わると思ってしまう。
けれど、本当に足りなかったのは、
相手との向き合い方だったのかもしれません。
「会話」と「対話」。
似ているようで、
少し違うこの二つの言葉について、静かに考えてみました。
私たちは、この二つを、
ほとんど同じ意味のように使っています。
けれど、人との関係に違和感を覚えるとき、
この小さな違いが、静かに影響していることがあります。
同じ場にいるだけで、成り立つもの
「会話」は、同じ空間にいて、
それぞれが話したいことを話すこと。
情報をやりとりし、場をつなぎ、時間を共有する。
それだけでも、コミュニケーションとしては十分に成り立ちます。
仕事の打ち合わせでも、
家庭の何気ないやりとりでも。
私たちの日常の多くは、
この「会話」で、静かに回っています。
「相手に向き合う」とは、どういう関わりか
一方で、「対話」は、少し質が違います。
相手に意識を向け、
言葉だけでなく、
その背景や、間にも心を配る。
ときには、言葉にならない気持ちに、耳を澄ませる。
私は、「対話」とは、
相手の世界に、そっと一歩、足を踏み入れることだと感じています。
企業研修の現場で、こんな場面がありました。
20名の会議。 発言するのは、いつも同じ3名。
他のメンバーは、視線を落とし、ただ時間が過ぎていく。
「みんな意見がないわけじゃないんです。でも、言わないんです」
終了後、担当の課長がそう言いました。
私はそのとき、こう感じました。
この会議は「会話」はしている。
でも、「対話」はまだ、始まっていない、と。
言葉が行き交っていても、 相手に向き合う空気がなければ、 人は、本当のことを話さない。
どちらも、コミュニケーションです。
けれど――
職場で期待されるとき。
家庭で頼られるとき。
誰かのために動くとき。
本当に必要になるのは、 「対話」のほうなのかもしれません。
打ち合わせのあと。
家族との会話のあと。
ふと残る、あの違和感。
言葉は交わしているのに、 どこにも触れていない感じ。
それは「会話」ではあっても、
「対話」ではなかったのかもしれません。
安心と信頼は、積み重なっていく
対話が続くと、
相手の中に、静かにひとつの感覚が育ちます。
「分かってもらえた」
その小さな実感が、
安心を生み、信頼につながっていきます。
信頼が生まれると、
人は、自分から動き始めます。
お願いしなくても、
協力が生まれ、
自然な影響力が育っていく。
企業研修の現場でも、
人が変わる瞬間は、いつも同じでした。
新しいスキルを学んだときではなく、
誰かと、本当の対話が生まれたときなのです。
すべてを「対話」にしなくていい
いつも、深く話さなくていい。
ただ、大切にしたいと思う相手との時間だけ。
ほんの少し、
相手に意識を向けてみる。
「会話」を「対話」に変えようと、
頑張らなくていい。
向き合う時間を、
ほんの少しだけ増やしてみる。
それだけで、
言葉は、ちゃんと届いていきます。
大切な人を、
大切にし続けるために。
その入り口として、
「対話」という感覚を、
心の片隅に置いておく。
それも、
静かで、やさしい選択だと思います。
終わりに
最近の会話の中で、
少しだけ心に残ったやりとりは、どんな場面だったでしょうか。
その時間には、きっと、
小さな対話が生まれていたのだと思います。
もしよければ、
その瞬間を、そっと思い出してみてください。
あなたの中の対話は、
どんな言葉から始まりましたか。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
職場や家庭で、
言葉が届かないと感じたとき。
その奥にある願いを、
静かに見つめ直す時間が、
関係を少し変えてくれます。
管理職研修やラインケア研修の現場でも、
同じ問いを大切にしています。
必要なときに、思い出していただけたらうれしいです。
今日のひとこと
会話は情報を運び、対話は心を近づける
もし、読んでいて
「少し立ち止まりたいな」と感じるところがあったら。
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Profile
桐生 純子|コミュニケーショントレーナー
国家資格キャリアコンサルタント。
米国ABH認定ヒプノセラピスト。
法人を中心に30年・延べ15万人の研修現場に立ってきました。
現在は、
ひとりで抱え込まずに
自分の感覚に戻っていくための
個人向けコーチングにも力を入れています。
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