「話しかけにくい上司」をつくるのは、厳しさではなく"無反応"だった。真面目な人ほど陥る、表情の罠
「最近、部下から相談をされなくなった気がする」
「悪気はないのに、話しかけにくいと言われた」
そんな違和感を抱えている管理職の方は、 少なくありません。
企業研修の現場で、
若手社員からよく聞くのは、
こんな声です。
「上司が忙しそうで話しかけづらいんですよね」
「何を考えているのか分からなくて、声をかけるタイミングがつかめなくて…」
「怒っているわけではないと思うのですが、なんとなく近寄りにくいと感じることがあります」
実は、
話しかけにくさを生んでいるのは、
厳しさでも、
態度の悪さでもなく、
"真面目な人ほど陥る、
小さな表情の癖"でした。
研修中、部下のひと言で場の空気が変わった
ある企業の管理職を対象にした
コミュニケーション研修でのことです。
テーマは「風通しの良い職場をつくる関わり方」。
その研修の中で、
私はこんな問いを投げかけました。
「部下が上司に話しかけにくくなるのは、どんなときだと思いますか?」
すると、一人の若手社員の方が、
少し迷いながら話してくれました。
「忙しいときと思っていたのですが、 実は"忙しそう"というより、 いつ見ても表情が変わらない上司に、 私は一番話しかけにくいです」
会場が、
ふっと静かになりました。
多くの管理職の方が、
その言葉にハッとしていたのが印象的でした。
さらにその人はこう続けました。
「声をかけていいのか悪いのか、分からないんです。 機嫌が悪いのかなとも思ってしまう。 でも後から上司と話すと、全然そんなつもりじゃなかったりするんですよね」
すると、ある管理職の方が、
照れくさそうにこう言いました。
「それ、私かもしれません。 "余計な感情を出さないほうがいい"と思って、 いつも同じ顔でいたかもしれない」
その瞬間、場の空気が急にやわらぎました。
話しかけにくさを生む「無意識の癖」とは
「話しかけにくい上司」は、
厳しい人とは限りません。
むしろ、
真面目で、責任感があって、
仕事に集中している人ほど陥りやすいのです。
これまで多くの企業研修の現場で見てきて、
「この人、話しかけにくいな」と思われる上司には、
共通する癖があります。
それは、反応が見えないことです。
① 無表情
② 無反応
③ 返事が短い
この3つが重なると、部下はとても不安になります。
上司側には悪気はなく、おそらく
仕事に集中している
考え事をしている
余計なプレッシャーを与えたくない
感情を出しすぎないほうがいいと思っている
そう思っているだけなのですが、
受け取る側の印象はまったく違います。
上司が出しているのは「言葉」だけではありません。
空気も、表情も、間も、
すべてがメッセージになっているのです。
新しい環境では「反応の硬さ」が想像以上に大きな壁になる
とくに新しい環境にいる人ほど、
相手の反応に敏感です。
異動してきたばかりの人、
昇進したばかりの人、
新入社員を迎えるチーム。
こういう時期ほど、
ちょっとした表情の硬さが、
想像以上に大きな壁になります。
上司は「いつでも聞いているつもり」でも、
部下は「今はやめておこう」と引いてしまう。
この小さなすれ違いが積み重なると、
報連相が遅れる
相談が後回しになる
ミスが表に出にくくなる
チームの空気が重くなる
そんなことにもつながっていきます。
話しかけやすい上司がしている、小さな3つの行動
コミュニケーションは、
話し方のテクニック以前に、
「安心して近づける空気」があるかどうかです。
スキルは、ハートの次に来る。
どんなに正しい指示を出していても、
相手が「話しかけてみよう」と思えなければ、
関係は育ちません。
反対に、
ほんの少し表情がやわらぐだけで、
職場の空気は驚くほど変わります。
① 「おはよう」の声に目を向ける
声をかけられたとき、
手を止めて顔を上げるだけでOKです。
② 部下の言葉にうなずく
返事が短くても、
うなずきがあるだけで「聴いてもらえている」と感じます。
③ 「どうした?」と一言添える
それだけで、
相手は「受け止めてもらえそう」と感じます。
話しかけやすい上司とは、
特別に話が上手な人ではありません。
「自分を受け止めてくれそう」と思える反応を
返してくれる人です。
新年度のスタートは、
関係をつくり直すチャンスでもあります。
部下が変わるのを待つ前に、
自分の表情、
自分の反応、
自分の空気から整えてみる。
その小さな変化が、
チームの相談量を増やし、
信頼関係を育て、
職場全体の成果にもつながっていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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今日のひとこと
話しかけやすい上司は、特別な人ではない。
「受け止めてくれそう」と思える反応を返せる人だ。
きょうもいい日になりますね🌹
Profile
桐生 純子|コミュニケーショントレーナー
青山学院大学 ワークショップデザイナー育成プログラム修了。
リーダー訓練法トレーナー。
法人を中心に30年・延べ15万人の研修現場に立ってきました。
「伝わらない」の多くは、言葉ではなく姿勢の問題です。
その気づきを、記事を通してお届けしています。
著書『こころのスイッチ』
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