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読書ノート15

●シンジケート 穂村弘
短歌や詩というのは、どちらかというと苦手な分野。端的にいうと「わかんない」
けれど、この歌集を手に取ってみたのは、「ペーパードライブ」というポッドキャストきっかけ。パーソナリティのお三方が、放課後の部室よろしく「きゃっきゃっ」と楽しく、「穂村さんの短歌、これが好き!」と話す様子につられて手に取ってみた。

読んでみたけど…
わかるような、わからないような…

ここでもう一人、助っ人登場。
「かが屋」の加賀くんである。
穂村さんとの対談で「(歌人が)お互いの歌集を読んでも理解できるのは3割くらいだって聞きました」と語っていて、あ、それでいいんかい!と。

ということで、歌をひとつひとつ読みながら、お気に入りの歌だけ拾ってメモっていくと、これがなかなか楽しい。自分の思わぬ嗜好に気づかされたりする。

ちなみに私の穂村さんの好きな歌第一位は
女兵士(アパッチ)はねむるラジオのアンテナに風呂で洗ったパンツを掲げて
でした。

加賀くんの「クイックジャパンWEB」の連載「エロ自由律俳句」、なかなかおもしろいです。短歌好きな方はぜひ。


●「食べる本 読むダイエット」高橋源一郎

年齢とともに体重が増加して困った源一郎先生が、まずは書店で何十冊ものダイエット本を購入・読破・実践……と聞けばちょっと滑稽にも思えますが、もちろんただのダイエット本ではありません。

実践と考察を重ねていくうちに、問いかけは「己の身体」から、「食べること」「食べ物のこと」への本質へと、広がっていきます。

最終章「世界の果てで食べる」での、究極の食事についての考察は圧巻。
この本を読んで、これまでの私、あまりに安易に「ダイエットしなくちゃ!」って言い過ぎてた、と深く反省!

ちなみに源一郎先生は、このエッセイを執筆しつつ、4年をかけて理想体重と、理想的な心身の健康状態にたどり着きました。
ダイエットについての見方が変わる1冊。

●天使も踏むを畏れるところ(上下) 
           松家仁之

サグラダファミリアを作ったのは、アントニオガウディ。では皇居の宮殿を作ったのは?

戦時に焼失した宮殿。その再建は、単なる建築ではなく、「戦後の皇室はどうあるべきか」というイデオロギーの大事業でもあった。

「開かれた皇室」という新しい価値観を
建築で体現しようと挑む建築士、
伝統と格式を守りたい宮内庁の人々、
大プロジェクトの主導権を握りたい官僚…

昭和天皇の佇まいや、皇太子のご成婚、東京オリンピック。
かわりゆく日本を背景に、戦後日本が模索した「皇室のあり方」を、皇居建築という、意外な切り口から描いた1冊。

●時の家 鳥山まこと
年齢的に「家がなくなる」描写は寂しい。取り壊されることが決まった、幼い頃に過ごした近所のおじさんの家。大工だったおじさんがこだわり抜いた終の住処に、主人公の青年は忍び込み、小さなタイルや引き出しの取手を写生していく。

青年は何気ない部屋のひとつひとつを描きなら、細部に込められたおじさんの思いや、小さかった頃の自分の姿を思い出す。

あまりに日常的すぎるが故、あえて記録に残すことも残ることもない、消えゆく景色の断片。
生活の多くを費やしたからこそ、それはもっとも思い出深い景色だったはずなのに。
無くなってから、あの風景を残しておけば良かったと私たちは気づく。

と思って、自分的にいずれ懐かしくなるのはこういう景色かな、と。

なんかやたら冷蔵庫に貼ってたなぁ…
って遠い将来思い出すのかな?


●天皇の料理番(上下)

主人公の破天荒な人生、料理にかける熱意と行動力に「すごい!」と思いつつ、この本を起点に「日本の美意識」というものを考えた。

主人公は、英国バッキンガム宮殿での晩餐会を目の当たりにし、料理だけなら負けないものが作れても、金を使った豪華な室内装飾やテーブルセッティング、選びぬかれたカトラリー、給仕係の身のこなしなど、総合的な食文化の厚みを思い知らされる。

しかしその後、追随する日本の方向性は、西洋とは全く違った進路を辿る。前出の源一郎さんの著作「食べる本 読むダイエット」では、天皇の食事について、「目指すのは豪華な料理ではなく」「この地にふさわしい」「守り育てられたもの」が信条とされた。

こちらも前出の、皇居建設の内幕を描いた「天使も踏むを畏れるところ」でも、天皇のおわす宮殿(皇居)は、「華美を好まず」「武蔵野の雑木林、野草山草の精神」で、シンプルに洗練されたものを目指すことになる(とはいえ、西洋主義の官僚と華美な「シャンデリア」をつけるかつけないか攻防が起きたりするが)

西洋の目も眩むような、「足して足して足してゆく」文化を目にしながら、その後の日本の象徴となる皇室が、削ぎ落としていく「引き算の美意識」を選択していった、というのを、たまたま読んだ3冊の本を通して感じることができ、今回はなかなか深い読書体験となりました。

前回の読書ノートはこちら!

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