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「ブルーボーイ事件」(備忘録的感想)

1965年に実際にあった、性転換手術を行った医師の逮捕をベースにした作品だ。
NHKの「あさイチ」でも紹介されたものの、テーマがテーマだけにあまり話題になっていない。
しかし、テーマは性転換だが、自分が何者であるかを問うと言う哲学的な内容だった。

1964年、東京オリンピックを控え、警視庁は売春婦の取り締まりを強化して夜の街の浄化をはかっていた。
しかし売春防止法は男女間の売春のみを対象としているため、男娼による売春は規制の対象にならない。
そこで一計を案じた警視庁は、男娼に性転換手術を行った医師赤城(山中崇)を優生保護法違反で逮捕し、これ以上男娼を増やさない方針を取ることにした。
弁護士の狩野(錦戸亮)は、恩ある人から赤城の弁護を頼まれる。

サチ(中川未悠)は恋人の篤彦(前原滉)と同棲していた。
篤彦はサチにプロポーズして体を求めるが、サチは拒否をする。
サチは元々男性で、手術により男性器はすべて除去したが、膣形成手術を受けていなかった。
2週間後に手術をする予定なので、それまで待って欲しいと言う。
この時、赤城が逮捕されていることを、まだサチは知らなかった。

狩野は、赤城の手術は正当な医療行為であり優生保護法違反にはあたらない、と言う弁護方針を立てた。
そのため、手術を受けて夜の街に立っている男娼たちに証言台に立ってもらうことにする。
そして狩野はサチにも証言台に立って欲しいと依頼をしにきた。
性転換手術後も、性を商売にせず一般人として暮らしているサチの証言が必要だと説得する。
しかし、職場の喫茶店にも性転換の事は内緒にしており、性転換の事には触れられたくないと、サチは断った。
狩野は裁判所に男娼のメイ(中村中)を招聘し、生まれた際の自分の性を受け入れられない精神疾患で、赤城の手術はその治療のための医療行為だと主張する。
しかし証言台のメイは「精神疾患」と言う言葉に引っ掛かり、自分は精神異常者ではないと怒り出す。

その頃サチは、赤城の代わりの医師を探していた。
しかし電話帳に載っていた産婦人科にはみな断られ、最後に訪れた産婦人科もうさんくさいため手術を迷っていた。
するとその産婦人科に、かつての友人でやはり性転換手術を受けていたアー子(イズミ・セクシー)たちが来ていた。
アー子はショーパブを開店する準備をしており、サチがアー子のその店を訪れると、すぐに狩野に請われて証言台に立ったメイがやってくる。
メイはアー子が証言台に立とうとしているのを止めに来たのだ。
狩野にいいように使われるだけで、馬鹿にされるからやめておけと止めるメイに対し、アー子は自分は大丈夫だと言ってケンカになる。
しかしアー子が証言台に立つと、メイの言う通り好奇の目にさらされた。
ショックを受けたアー子は、その夜酒場でケンカをして死んでしまう。

主演の中川未悠は、これまでもトランスジェンダーとしてドキュメンタリーフィルムなどに出演していたらしいが、本格的な演技はこれが初めてのとのことだ。
正直巧い演技とは言えないが、自分のこれまでの思いが込められた演技に見えた。
監督の飯塚花笑もトランスジェンダーで、性転換を行っているらしい。
製作陣のこれまでの経験が生かされているため、性転換というエキセントリックなテーマの上っ面だけをなぞった作品ではなかった。
クライマックスで証言台に立つサチの言葉は非常に重く、少々ネタバレになってしまうが、男女という区分けは世間が定義する単純な記号でしかなく、一番大切な「自分が何者なのか」は自分自身でしか判断できないという事がよくわかる作品であった。

165.ブルーボーイ事件

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ラーメンと競馬と映画がたまらなく好きです。 こんな辺境の文章を読んでいただきまして、本当にありがとうございます!

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