Fitbit Air用に腕時計併用ベルトをアップデイト。Google買収で一番得したのは、僕|革細工07
花は盛りに、月は隈なきをのみみるものかは。腕時計ベルトは盤面側のみを気にするものかは。
以前、腕時計とアクティビティトラッカーを併用すべく、本田圭佑スタイルから若田光一スタイルを経た後に、機械式腕時計とFitbit Inspire3の併用ベルトを自作し、実際に完成させ、実用新案まで取得した。
大満足の自分専用腕時計ベルトだ。
今回、それをGoogleに骨抜きにされ、アップデイトして、満足度が上がった。
Googleが動いた
あれから1年ほど経ったころ、Googleが動いた。買収していたFitbitを、ついに本気で再構築してきた。Fitbitアプリは「Google Health」に生まれ変わり、新型トラッカー「Fitbit Air」が発表された。
画面なし。そう、スクリーンレスである。時刻はおろか、心拍数も歩数もその場では一切見えない。全部スマホのアプリ側で見る設計だ。
スマートウォッチとして考えたら「え、時計としての体をなしてなくない?」と思うところだけど、僕は違った。
これ、むしろ好都合だ!
そもそも僕はFitbitの画面を見ていなかった
思い返せば、併用ベルトを自作した理由はそもそも「時間を見るのは普通の時計の文字盤が一番」で、「アクティビティトラッカーとしてFitbitを使いつつも、腕時計も使用したい」という、二刀流の物理的解決だった。
つまり、僕の手首の上では最初から役割分担が決まっている。
時刻を見る:機械式腕時計(手の甲側)
心拍・睡眠・歩数を記録する:Fitbit(手のひら側)
このスタイルで1年以上暮らしていて、当然の帰結として、Fitbitの画面なんかほとんど見ていない。
歩数も心拍も、見たくなったらスマホのアプリを開く。だとしたら、Fitbit側に画面なんて要らないのだ。僕にとってはむしろ、画面がある方が過剰装備だった。

Fitbit Airを最速購入
というわけで、発売前予約の段階でFitbit Airを購入した。
届いて開封して、手元にある旧型(現役)のFitbit Inspire 3と比べても、明確に一回り小さい。画面がない分、余計な部品もバッテリーも最小限で済んでいるのだろう。
そしてこれが、併用ベルトとの相性でいうと、実は渡りに船だった。
手のひら側のただでさえ窮屈な場所に収める部品なのだから、薄くて軽いに越したことはない。画面がないから見る必要もない。むしろ僕の用途にとっては理想形に近いプロダクトが向こうから歩いてきてくれたようなものだ。
Googleがどういう意図でスクリーンレス化を決断したのか真意は知らない。でも、少なくとも「腕時計と併用したい変態」であるニッチなユーザーには、思わぬ形で刺さってしまった。
併用ベルトも作り直す
Fitbit Inspire 3用に作った実用新案登録済みの併用ベルトは、当然ながらFitbit Air用のアダプタ規格には対応していない。デバイスの形が変わった以上、ベルトはアップデイトが必要だ。
基本構造自体は変える必要がない。手の甲側に腕時計、手のひら側にFitbit、これを一本の帯でつなぐ構成は、前回確立した設計のままで問題ない。
アダプターは、Google本人が図面を公開してカスタムバンドを推奨していることもあり、アマゾンですぐに手に入った。
ただ、Fitbit Inspire 3のときのベルト構造をそのまま踏襲するのは、味気ない。
変更・工夫を2つした。
前回の課題1:尾錠に通す側のベルトが短いと、様にならない
Inspire 3のときは、Fitbit本体にスクリーンがあったのでベルトでそれを覆うのには抵抗があり、尾錠(バックル)に通す側の革ベルトは短くしていた。
一方でFitbit Airは、もともと公式で本体の上をベルトで覆ってしまう想定だ。
そこで、尾錠に通したベルトでFitbit Airを覆いたい。

生じた課題2:長くしたら、遊環がもう一つ必要になった
ベルトを延長すると、当然ながら、尾錠の先の革がぺらぺらと余ってしまう。前回の設計では、その”遊び”の部分が短いので、ぺらぺらを抑える輪っかは一つで十分だった。しかも後からその必要性に気づいたので、後付けパーツとして自由に動く輪っか(「遊環」)を作っていた。

一方で、ベルトを長くすると小指側にも、まず、一つではなくもう一つ合計2つの輪っかが必要だ。
……と、ここまで考えて、ふと気づいた。
これ、遊環であってはいけない!
一般的なベルトでは遊環が使われる。きっと、ベルトの穴位置が変わっても対応できるように「動く」構造にしているのだろうけれど、でも今回作っているのは、以前の記事でも書いた通り、自分の腕に合わせて穴は一つというオーダーメイド前提の一点物だ。穴位置が動く前提がそもそもない。
であれば、小指側の輪っかを動かせる状態にしておく意味はなく、縫い留めてベルト本体に固定してしまえばいい。

だから、ベルトの遊びを留める輪っかは、縫い付けた固定パーツにした。これで見た目もすっきりし、装着中にくるくる動いて邪魔になることもなくなった。
完成形
2ー3時間で、完成した。

手の甲側に機械式腕時計(ORIENT STAR)、手のひら側にFitbit Airを収める構造は変わらず、尾錠側のベルトはFitbit Airをすっぽり覆う長さに延長、

そして小指側は可動の遊環をやめて縫い留めた固定仕様にアップデイトした。

装着してみると、Inspire 3のときよりもむしろ収まりがいい。Fitbit Air自体が薄く軽くなったぶん、手のひら側の主張が控えめになり、全体のシルエットがすっきりした印象だ。画面がないので、そもそも手のひら側を覗き込む動作自体がなくなり、「時計を見るときは手の甲、それ以外は気にしない」という僕の生活スタイルにも、より馴染んでいる。
Googleの買収戦略に、革細工がついていく
考えてみると変な話だ。Googleの経営判断(Fitbitのハードウェア再構築、スクリーンレス化)は、僕には一切コントロールできない外部要因だ。そんな外部要因を経て、僕の自作ベルトは強制的にアップデイトされた。
次にFitbitがどう変わろうと、たぶん僕はまた革を使ってよりよくアップデイトして対応するだけだ。振り回されているようで、実は一番自由なのは僕かもしれない。
