見出し画像

経験が勝手に活用される。Fitbitと腕時計の併用ベルトを作る|革細工05-2

必要性があると、学びは突然、つながる。

今年、強烈に実感したことだ。
「機械式腕時計と Fitbit を同時に着けたい」──誰に理解されるかわからない衝動だけど、僕にはどうしても必要だった。
でも当然、市販の“併用用ベルト”なんてない。なら作るしかない。

今年から始めた革細工が、ここにきて突然“全部つながり始めた”のだ。

前回、本田圭佑スタイルから若田光一スタイルを経て、「機械式腕時計とFitbitを一緒に着ける腕時計ベルトを作りたい!」の衝動に至った。そんな商品、ない。だから作るしかない。
今年に入って革細工を始めたので、作る準備はたぶんもうできている。

「必要性」があると学びは突如、高速道路に乗る。後で気づく“今年の大発見”だった。



まず、全体像を決める

腕時計とFitbit併用ベルトと思いついた時点で、完成形の構造は既に決まっている!
既存の腕時計ベルト、そして Fitbit のアダプタの仕組み。
この2つを“ひとつの帯”でつなげばいいだけだ。

既存の腕時計やFitbitのベルトの仕組みはこうなので、

これを組み合わせて、

こうするだけだ。基本構造はもう完成だ!!
棒やアダプタは既製の規格品を買うとして、残りを革ベルトで設計するだけだ。

そして既存の知識を総動員する

PASMOケースペンケース財布一つ穴ベルト。これまで、4種類の革細工(レザークラフト)を作ってきた。それぜれやりたいことがあって、別々に。

ところが今回の文脈で、手元の腕時計ベルトを観察してみると、尾錠(はじめて名前を知った)はズボンのベルトのバックルと大きさが違うだけで同じ仕組みだ。
この仕組みなら、一つ穴ベルトでの経験がそのまま活かせる。

一つ穴のベルトを作ったときのバックルを小さくすれば、時計のベルトにそのまま応用できる!

ここでふと考えてみる。自分専用のズボンのベルトを作る際には、通常5つもベルト穴があるけど、自分のサイズに合わせるのだから1つ穴でよくないか、という衝動で一つ穴ベルトを作ったのだった。
今回の腕時計ベルトも自分の手首に合わせて作るのだから、同じく一つ穴でよさそうだ。
「自分の腕に合わせて作るなら、そもそも穴は一つでいい」 というオーダーメイド革細工の乱暴なルールだ。

あとは、最初から自分のサイズに合わせるのであれば、ボタンでぽちって止めてもいいかもしれない。

ペンケースを作ったときのホックボタンも候補!

これを応用して、ワンサイズ時計ベルトにするのだ。

逆に、離散的ではなく連続的に太さを調整するのもありかもしれない。
同じくペンケースの制作時に、取り外しがしやすいようにDカン2つで長くて薄いベルトで調整する仕組みを取り入れた。これを応用することも選択肢だ。

ペンケースを作ったときのベルト留めの仕組みも、いいかも!

もう、作って試してしまおう

3パターンのベルト留め具を思いついたところで、作ること自体はそこまでコストでもないので、もう、作ってしまおう。

これまでに調達している2色の革を前提にツートンカラーの設計図をひき、ちゃっと2時間ぐらいで作れた。もはやお手の物である。

まずは尾錠を使って

手の甲側に普通の腕時計が来て、

手の甲側

手のひら側にアクティビティトラッカーFitbitがとどまるのだ。

そしてそれが一つのベルトで繋げられるのだ。

しかも尾錠部分もちゃんと取り付けができ、難を感じない。正直、既に満足だ!

残り2パターンも作る

とはいえ、せっかくもう2パターンも思いついたので、翌週に作業を続けた。

まずは、ボタンだ。ボタン一つだと装着している間に外れてしまう気がしたので、大小2種類のボタンでぴったりはめてみた。

そういえばこういう時計ベルと見ないな…

そしてもう一種類、Dカン2つでぎゅっと止めるタイプもちゃっと作成した。

左から、尾錠、ボタン、Dカンの3パターン

これまで、PASMOケースをきっかけに4種類の革細工を始めたけれど、決してこの時計ベルトを作るためにPASMOケースペンケース財布一つ穴ベルトを作ったわけではない。でも、わずか4つでも、過去の学びが自然とつながってくる、そんな体験だった。

加えて実は設計の段階で薄い革(ナチュラルな色のほう)を曲げが多い部分に、厚い革(赤いほう)は曲げが少なくなるようにという設計の妙も、財布PASMOケースの設計での学びを活かしている。

やりたいことがあると、勝手に、過去の学びを活かしてしまうのだ。

使用感:ドッグフーディングしてみる

いや、作ってみて終わりではない。

まず、時計ベルトなのだから、使用感としてちゃんと計時ができるか、そしてFitbitがついているのだからちゃんと心拍や歩数が計測できるかを確かめなければならない。
そして、3パターンの止め機構の比較もしたい。ドッグフーディングだ。

まず、計時機能。
どの留め具パターンであっても、申し分ない。くるっと内側に腕時計が回ってしまうこともない(自分の手首のサイズに合わせて調整しているのだから、そりゃそうだ)。

そして、手のひら側に着けた状態で日中の業務時間を過ごしても、Fitbitの示すデータに異常は見つけられなかった。つまり、アクティビティトラッカーとしての機能も邪魔していない。

最後に、留め具3パターンをそれぞれ1週間作ってみて比較すると、一番使いやすいのは尾錠タイプだった。取外しが一番スムーズで、遊環があればぺらぺらしない。
ボタンタイプもDカンタイプも、他の人が持っていない物珍しい感じはあるけれど、単純に着脱の容易さは尾錠だ。ボタンは留めるまでの安定性がなく、家で支度する際の歩きながらの着脱などに難がある。Dカンタイプはぺらぺら部分を通すまでの安定度の保持が大変なのだ。
どちらも、平面が前提で、手首のような局面で扱うのに適していない、とも言い換えられる。

結論、世の中に出回っているものは工夫されているのだと学んだ。

ちなみに、アクティビティトラッカーとしてFitbitは寝るときも装着したい。一方で、腕時計がついていると大きくて重くて邪魔だ。また、運動の時も邪魔だし、革のベルトをつけて運動したくない。ということで、着脱が必要なのだ。

寝るときと運動するときはFitbit単体、仕事中など今回の併用ベルト!着脱のスムーズさは大事!

断片がつながる瞬間、学びは“線”や”面”になる

「今までバラバラだったものが全部つながって、一本の線になっている」

これまで、ばらばらに革細工をしてきたけど、それがそれが勝手につながる。全部が必要性に引っ張られて”自分の手元に集まってきていた。
これが“プロジェクト学習の快感”なのか、と初めて理解した。

  • 因数分解をした後に二次方程式を学んで、因数分解はこう使えるのか!の時の快感

  • 世界史を学んでから2周目をしたときの、経糸が横糸でつながっていく世界観

大人になってこんな種類の学びにまた出会えるのは、幸運だ。

次は、せっかく「この世で(たぶん)初めてのもの」を生み出したので、それを世の中に登録しよう。知財だ。実用新案だ。
もともと法学部だけど学部では学ばなかった知財(※僕がその講座を取らなかっただけです、悪しからず)。大学卒業後、社会人になってから、ビジネス実務法務の勉強や、中小企業診断士の資格取得時にちょろっと学んだあれだ。
机上の空論と実務の違いをこれでもかと目の当たりにした。


ということで、全3回です。
第1回:革細工で腕時計ベルト作成に至るまでの長い過程(前回)

第2回:併用ベルト完成までの長い長い道のり(今回)

第3回:実用新案登録までの長い長い長い道のり(次回)


いいなと思ったら応援しよう!