10日ぶりの独りでない食卓、近所の人情に救われた夜
独身で兄弟もおらず、親戚も遠方に住む私にとって、近所の方々は非常に心強い存在です。
4月7日、認知症の父が入院しました。それ以来、58歳の私は急に静まり返った家の中で、言いようのない寂しさを抱えて過ごしてきました。
昨日のことです。病院で父との面会を終え、買い物を済ませて帰宅すると、玄関先に見覚えのないオムツの包みが置かれていました。
「一体どなたが届けてくれたのだろう……」と戸惑っていた私に、声をかけてくださったのが、日頃から親しくしている70代のご主人でした。
「お父様が退院されたら使うでしょうから」
使わなくなったからと、そっと届けてくださったそのお気遣いに驚き、恐縮していると、さらに「うちに夕食を食べにおいで」と、奥様との食卓に温かく招いてくださったのです。
食卓に並んでいたのは、春の香りが広がる山菜の天ぷら。それを肴に焼酎をいただきながら語らううちに、独りで張り詰めていた心がゆっくりと解けていくのを感じました。お二人が飼っている猫の愛らしい仕草や温もりにも、知らず知らずのうちに強張っていた心が解きほぐされていきました。
「一人で抱え込まないで。困ったことがあったら、いつでも相談してね」
人生の先輩でもあるご夫婦のその言葉が、どれほど救いになり、胸を熱くさせたことか。介護という孤独になりがちな道を、近くでそっと気にかけてくれる誰かがすぐそばにいる。その事実に、心からの感謝でいっぱいになりました。
今朝は少しばかり二日酔いですが、父が入院して以来、ようやく泥のようにぐっすりと眠ることができました。
若い頃は、近所付き合いを「少し面倒なもの」と感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、年齢を重ね、生活環境が変化するほど、こうした身近な支えの有り難みは増していくものです。
いざという時に相談できるご近所さんとの繋がりを育んでいくこと。それは、独りで介護に向き合う私にとって、何物にも代えがたい「安心の柱」になるのだと、昨晩の温かな余韻の中で改めて強く実感しています。
限界家族日記の目次はこちら
自己紹介
私が現在書き進めている小説はこちら。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは明るい未来を創造する活動費として大切に使用致します。