『リボーン~最後のヒーロー~』最終回の疑問を完全解説 未来を知ることは人を幸せにするのか?
毎週火曜日、楽しみに観ていた高橋一生さん主演の連続ドラマ『リボーン~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)が、ついに昨日、最終回を迎えてしまいました。
一体どんな結末を迎えるんだろうと、私がずっと気になっていたポイントは次の3点です。
① あかり商店街の運命
新興IT企業「NEOXIS」の創業社長・根尾光誠から銀行買収のため、立ち退きを迫られた「あかり商店街」。野本英人として転生した光誠が暮らしているこの下町商店街は、立ち退きを免れてハッピーエンドになるのか。
② 突き落とした犯人の正体
光誠を神社の階段から突き落とした犯人は一体誰だったのか。
③「命の代償」の行方
英人に転生した光誠が商店街を救えたとしたら、入院した時に読んだSF小説の言葉――「未来を変えたものはいずれ代償を支払う。その代償は命である」の通りに、彼の命は失われてしまうのか。
では、答え合わせを、順番にしていきましょう。
① 「あかり商店街」は助かるのか ⇒ 助かった!
「NEOXIS」元社長・光誠の指名を受ける形で、創業メンバーの友野達樹が新社長に就任。同社が所有していたスーパーの跡地は、無事にあかり商店街へと譲られることになりました。
友野は優しく純粋な青年です。光誠が創業時に掲げていた「FOR THE PEOPLE(人々のために)」という理念を誰よりも大切にしており、その理想を叶えるべく、陰ながらずっと商店街の救済に尽力していました。
彼の社長就任によって、その悲願がようやく達成されたのです。
友野という新たなリーダーを得たことで、利己的な買収に走っていた「NEOXIS」も、きっと正しく「リボーン(再生)」できるでしょう。
② 根尾光誠を神社の階段から突き落とした犯人は誰なのか ⇒ 犯人はいなかった
光誠は自ら階段から落ちたのです。つまり自殺を図ったということです。
誰かに突き落とされる姿は、彼の思い込みが見せた幻想でした。
自殺をしたくなるほど追い詰められたのは、願いが叶って成功するほど仲間たちが去り、世間からは非難を浴びて、孤立感を深めていったからでした。
一方、英人に転生した光誠は、友野が犯人だと思い込み、光誠を階段から突き落とすのを阻止しようと現場である都内の神社へと駆けつけました。
友野を疑ったのは、英人の妹の英梨から、交際相手である友野が光誠に失望し、情緒不安定になっていたと聞いたからでした。
現場の境内では、社長の光誠と友野が対面しているところでした。
光誠から冷たくあしらわれた友野が、階段に足をかけようとした光誠に近づき、その肩をつかもうと手を伸ばします。その瞬間に、英人に転生した光誠が体当たりで友野を止めたのです。
そこで初めて2人の光誠は対面したのですが、光誠から明かされたのは、衝撃の真実でした。
なんと、光誠と英人は、互いに入れ替わって転生していたのです。
IT社長の光誠(中身は英人)が、英人に転生した光誠が愛していた池谷更紗に好意を抱いていた理由も、ここで腑に落ちます。
彼女は、英人の幼馴染であり、英人がかつてプロポーズした恋人だったからです。
自分が英人だと把握していた彼が、本物の光誠に会うのを避けていた理由は、「僕という存在があなたに取って代わられるのが怖かった」からでした。
しがないクリーニング屋の倅である自分に対し、本物の光誠は一代で事業を急成長させた経営の天才です。
おまけに、未来を知っているという武器をもっています。実際にその強みをフル活用し、NEOXISで成果をあげていました。
彼をつぶさなければ、いつ自分のポジションが奪われるかわかりません。だからこそ、彼は英人に転生した光誠を苦しめることにこだわったのです。
転生したことで元の姿に戻れなくなった二人は、この世界で生き抜くために、入れ替わった相手の人間になりきるしか術がありませんでした。
しかし、その演技を続けているうちに、この人生にこそ生きる意味があると思うようになります。
英人に転生した光誠はあかり商店街の人々を幸せにすることが生きがいになり、光誠に転生した英人は業界で天下をとることに生きる意味を見出したのです。
これが「立場によって人は変わる」ということなのでしょう。
当然、英人に転生した光誠には、自分に転生した英人の気持ちが手に取るようにわかります。
「小さな犠牲があっても、自分が動いてビジネスを成功させることで、より多くの人を救うことができる」という英人が抱いた価値観は、かつての自分が信じていた価値観そのものでした。
それゆえに、その価値観は「根尾光誠を生きたキミと僕にしか分からないことだ」と共感できたのです。
しかし、そんな価値観を抱いてしまったせいで、光誠に転生した英人は、自分の故郷である「あかり商店街」を犠牲にすることにも、痛みを感じなくなっていました。
もちろん常人は、そんな冷酷な価値観に共感できません。
そのため、信頼していた部下から愛想をつかされ、世間からは非難され、唯一の理解者であったAIからも相手にされなくなりました。
その絶望的な孤独感に耐えられなくなり、疲れ果て、彼は生きる気力を失ってしまったのです。
あかり商店街の人々の温かさにふれ、人の情けがわかる人間に変わった(現在の)光誠には、過去の自分の思い違いがよく分かります。
だからこそ、それが自殺の動機になったのだと理解でき、「誰かに突き落とされた」というのはただの思い込みで、かつての自分は発作的に自ら階段を転落することを選んだのだと気がつくことができたのです。
③ 野本英人に転生した根尾光誠は、SF小説の言葉通りに、歴史を変えた罪で亡くなったのか ⇒ 亡くなった
SF小説の言葉は、所詮本の中の話に過ぎなかったとホッとしたのも束の間、商店街の面々が以前のように野本家に集まって賑やかに宴会をしている次の場面には、彼の姿はありませんでした。
どうしたのかと思っていると、更紗が仏壇に話しかけるシーンで、英人の母の遺影の隣に並ぶ彼の遺影が映し出されました。
あかり商店街の人々は、その遺影を見つめ、番組のタイトルの通り、彼があかり商店街のヒーローであったと感謝するのでした。
でも彼は自分を犠牲にするだけの、悲劇のヒーローではありませんでした。
最後に彼が登場するシーンでは、更紗と川沿いを歩いた後、彼女の隣に座り、幸福感に満ちた表情を浮かべていたからです。
さらに、二人の愛の結晶である子供も残すことができました。人生最高の幸せに包まれて、天国へ旅立ったのですから、ハッピーエンドといえるのでしょう。
細かいことを言えば、都合の良すぎるところや疑問に思う点も多々あります。でも、とても見ごたえのあるドラマでした。
このドラマで考えさせられたことは、未来を知っていることは大きな武器にはなるが、人生を幸福にするものではないということです。
本に例えれば、未来を知っているということは、本のあらすじを知っているのと同じになります。それでは、本を読む感動はありません。
未来は分からないから不安ですが、同時にドキドキワクワクもするのです。
また、人生は自分の思い描いていた通りに進むことはありません。自分の思い通りに進むとしたら、むしろ個人の都合で歴史を歪めることになってしまいます。
予想通りにいかず、その場ごとに、自分が最善だと思う道を選択する。そしてまた思いもしない展開になる。その想像を超えることにこそ、小説を初めて読むような楽しみがあるのではないでしょうか。
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