すでに見た。②
人が動き始める気配とアナウンスで目が覚めた。
給油のため、アンカレッジ空港で一旦機内から降りるようだ。
窓の外には、針葉樹の森が広がっていた。
雪、いや、氷が木々を包み込んでいるようだった。
木々のフォルムが明らかに
日本のものとは違っていた。
ノルウェーの森だ。
もちろんノルウェーではないのだけれど。
『ノルウェーの森』冒頭。
僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。
というフレーズが頭に中に流れ込んだ。
ワタシは、22歳になったばかりだった。
村上春樹の上下巻 赤と緑の単行本、
それを手にした自分がなんだか
とても、かっこいいと錯覚していた。
ノルウェーの森がビートルズの曲名ということは
ずっと後に知る。
タイトルから想像した内容と
あまりに違いすぎて、最後まで読んだが
冒頭の印象しか残っていない。
登場ゲート内、分厚い大きなガラス。
ガラスの向こうは、飛行機の出発整備の風景が広がる。
巨大スクリーンの映画のように別の世界のように見えた。
太陽を受けてキラキラと輝く空気が重なっていた。
ダイヤモンドダスト。
体感していないのに空気が凍りついた
外気の感覚を共有する。
知ってる。この感覚。
時間になり、再び機内に戻る。
成田で買った本も読んでしまった。
村上龍の料理にまつわる短編集。
ウミガメのスープの話を
繰り返して読んで時間を潰した。
フランス パリ
シャルル・ド・ゴール。
フランス語のアナウンスに、
チューブの中のエスカレーター。
モードの国のフランスへようこそ。
2年弱、働いて、、、貯金して
恋焦がれた巴里に、、、。
やっと、、、到着した。
