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第23回:投資を始めたら「日々の生活」から50万円の余剰が生まれた


これまでの連載で、55歳からの資産形成において「新NISA」という合理的なシステムが最適解であるとお話ししてきました。しかし、投資を始めて得られる本当の恩恵は、証券口座の数字が増えることだけではありません。実は、「日々の生活に対する姿勢」が根本から変わることにこそ、真の価値があると感じています。

私が本格的に資産形成に向き合い始めたのは、コロナ禍の時期でした。外出が制限され、当たり前だった「飲み会」や「移動」がなくなったことが、自分をゼロベースで見直す絶好の機会となったのです。

1. 「いかに投資に回すか」への意識改革

投資を自分事として捉え始めると、意識は「いかに給与を上げるか」から**「いかに投資に回せる余剰資金を作るか」**へとシフトします。その結果、私の生活は具体的に次のように変わりました。

  • 飲み会の「質」を再定義する 以前は仕事上の付き合いで行っていた会食を極力減らし、惰性の飲み会を整理しました。その代わり、大切な人との会にはしっかりとお金を使う。この「選択と集中」により、支出は減っても満足度は劇的に上がりました。

  • 車通勤の「20分」を未来への資金に変える 以前は少しでも移動時間を減らそうと、当たり前のように有料道路を使用していました。しかし今は、家を20分早く出て一般道を利用することを継続しています。往復1,000円以上の節約ですが、年間で見ればこれだけで20万円ほどの差になります。

  • 固定費の「自動化」を完了させる 楽天モバイルへの変更やカード支払いの集約など、一度設定すれば効果が永続する仕組みを作りました。これで年間12万円ほどの節約が「自動的」に続いています。

  • 生活必需品は「ふるさと納税」で賄う 水、トイレットペーパー、お米など、以前は当たり前に買っていた日用品の多くをふるさと納税で賄っています。

これらをすべて合わせると、年間で約50万円もの節約になります。

2. 「100%自分でコントロールできる」という強み

仕事で年間50万円の給与を上げるためには、資格を取得して昇格したり、残業時間を増やしたりといった多大な努力が必要です。しかし、それらは共に自分の貴重な時間と体力を削る行為であり、何より「組織の評価」という、自分ではコントロールできない要素に左右されます。また、今の時代、残業を増やすこと自体が難しいケースも多いでしょう。

一方、生活を変えることは、今自分が「やる」と決めさえすれば、必ず、そして確実に実現できます。

当たり前だと思っていた生活習慣を少しずつ変えることで、これだけの余裕が生まれます。

3. 習慣を変えることで生まれる「余裕」

この50万円を旅行などに使って今を楽しむのも一つの選択ですが、その一部でも投資に回すことで、未来の生活にはさらに大きな余裕が生まれます。

50万円をそのまま貯蓄して5年経つと、250万円(※元本ベース)の差になります。さらにこれを年利6%で運用すると、約300万円になります。

もしこれが10年、20年続いたとしたら……。その違いは、言葉にするまでもなく、未来の自分への大きな贈り物になることは間違いありません。

一度生活が変わってしまうと、不思議なことに、その後は特に「節約している」という我慢の感覚はなくなります。むしろ、自分の手で人生を効率化しているという心地よい充足感すら覚えるようになります。

4. 物欲や見栄からの解放

でも、もしかしたらこれは、私が今の年齢になって、さまざまな物欲や見栄から解放されているからこそ、生活を変えることのハードルが低かったのかもしれません。

振り返れば、私も若い頃は、仕事上の付き合いや、今考えれば単なる「見栄」のための出費がもっと多かったと思います。年齢とともに少しずつ価値観が変わり、他人と比べる必要がなくなったからこそ、今の合理的な選択ができていることは否定できません。

人にはそれぞれのライフステージがあり、守るべきプライドもあります。ですから、無理に私の真似をする必要はありません。ただ、年齢や状況の変化とともに、それぞれのペースで「自分にとって本当に大切なもの」を見極め、少しずつ価値観をアップデートしていければ良いのだと思います。

重要なのは、この過程で**「自分にとって何が必要で、何が無駄だったか」**を判断する軸が明確になることです。この思考は不思議と仕事にも展開できるようになります。何が本質で、何が切り捨てるべき無駄か。投資を通じて培った視点は、プロフェッショナルとしての判断力をも研ぎ澄ましてくれました。

そして、この考え方の変化は、単なる資産形成だけでなく**「仕事」についても大きな影響を及ぼします**。

未来の生活に少しずつ余裕が持てる見通しが立つと、必然的に自分の**「働き方」**にも目が向くようになるのです。「生活のためにとにかく稼がなければならない」という切迫感から解放されると、自分が本来やりたかった医療や、組織の中での役割を冷静に見つめ直すことができるようになります。

5. 未来をデザインする「心の余裕」

生活を見直して生まれた余剰資金を、現在の消費だけで終わらせず、未来のために積み立てていく。そうすることで、これまでの「余裕のない生活」から、**「自分の力で未来を設計している感覚」**へと意識が変わります。

投資を始める。それは単なるマネーゲームではなく、自分の生活を整え、未来への希望を具体化し、今の働き方をより豊かなものにするための、最も知的な営みなのです。

その一歩が、単なる資産形成を超えた、自分らしい「自由な生き方」への入り口になるのです。


次回は、生活が整ったことで起きた、私の「仕事に対する考え方」の変化について詳しくお話しします。







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