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第19回:今の自分を「受け入れる」



早いもので、窓の外では桜が舞い散り、葉桜の緑が目立つ季節になりました。この穏やかな時期が過ぎれば、すぐにあの過酷な暑さと湿気の季節がやってきます。

近年の日本の夏は、もはや「異常」という言葉すら生ぬるいほどです。かつては爽やかだった春もいまや花粉症に占拠され、その後には長い梅雨が控えています。

私はこれまで、ジョギングやウォーキングで健康を保とうとしてきましたが、外で快適に動ける時期が年々短くなっていることを痛感しています。特に私のように、完全にフリーとなる休日が月に1〜2日しかない身にとっては、天候や花粉に左右される運動習慣は、継続が極めて難しいのが現実でした。

食事を減らしても体重は変わらず、体力だけがじわじわと削られていく。「将来のために何かしなければ」という焦りの中で辿り着いたのは、かつて青春を捧げた**「水泳」**でした。

なぜ私は30年もプールを避けてきたのか

大学時代、私は水泳部に所属していました。しかし、卒業してからの約30年間、プールにはほとんど近づきませんでした。そこには、自分でも無意識に蓋をしていた「心理的な壁」があったからです。

一つは、「自然へのこだわり」です。リフレッシュには屋外の緑と日光が不可欠だと思い込み、屋内のプールをどこか閉鎖的な場所に感じていました。 二つ目は、「部活時代の重すぎる記憶」。私にとって水泳は「楽しむもの」ではなく、吐き気がするほどの過酷な練習に耐える「苦行」でした。 そして何より大きかったのが、「衰えた自分を見たくない」というプライドです。かつて現役として何千メートルも泳いでいた自分にとって、溺れるように息を切らす今の姿を突きつけられるのが、何より怖かったのだと思います。

「歩行専用コース」で見つけた、懐かしい景色

しかし、背に腹は代えられません。スポーツ用品店で水着・ゴーグル・キャップがセットになったものを迷わず買い、30年ぶりに地元の公営プールの門を叩きました。

そこで私が最初に向かったのは、**「歩行専用コース」**でした。

現役時代の私にとって、そこは自分とは無縁の「別の世界」でした。泳げない人や、リハビリ中の高齢者が歩く場所。インターバルトレーニングの合間に横目で眺めるだけの、決して足を踏み入れることのない場所だと思っていました。

ところが、いざそのコースに入り、ゆっくりと水の抵抗を感じながら歩き出してみると、これが驚くほど心地よいのです。

屋内プールの景色というのは、どこも似通っているものです。しかし、水の中に身を沈め、ゆらめく水面越しに眺める天井や照明の具合は、かつて部活で過ごしたあのプールの景色と不思議なほど重なりました。

プールの底から水面を見上げたとき、ふとした瞬間に、かつてそこにいた仲間たちの顔や、共に汗を流した記憶が鮮明に蘇ってきました。当時はあんなに苦しかった練習の記憶も、今では穏やかな懐かしさとして私を包み込んでくれます。それは単なる運動以上の、予期せぬ精神的な癒やしの時間となりました。

合理性と「自己対話」の場

初回は「150m歩いて、50m泳ぐ」を8セット。2回目は「100m歩いて、50m泳ぐ」を14セット。 泳いだ距離だけを見れば、現役時代の1/2にも及びません。しかし、水の感触を確かめ、重力から解放されてプールサイドの景色を眺めていると、不思議と「情けなさ」はありませんでした。

むしろ、**「今の自分には、これがちょうどいいんだ」**と、衰えを素直に受け入れている自分に驚きました。かつての「最強の自分」と競うのをやめた瞬間、プールは苦行の場から、今の自分を見つめ直す最高の空間へと変わったのです。

屋内プールには言い訳の余地がありません。水温は管理され、紫外線も天候も関係ない。この圧倒的な合理性は、多忙な生活において、運動を「習慣化」するための最強の武器になります。

「かつてはあんなに泳げたのに」と嘆くのではなく、「今の体力で、いかに効率よく負荷をかけ、長く続けていくか」を考える。それは、私が実践している資産形成の考え方とも、深く共通する部分があります。

この「水の時間」を週に一度でも持てれば、それは80歳まで元気に働き、人生を楽しむための、最も利回りの良い「健康投資」になると確信しています。

次はもう少し、歩く距離を減らして泳ぐ距離を増やせるかもしれません。そんな小さな変化を楽しみながら、私は今日も仕事帰りに、あの3点セットをバッグに詰め込んでいます。


【あわせて読みたい:人生の後半戦を「自由」に生きるための具体策】

今回お話しした「幸せの優先順位」を守り、盤石な土台を築くためには、抽象的な理想論だけではなく、現実を支える「具体的な数字と戦略」が不可欠です。

私自身、二人の子供の大学費用という大きな支出を抱えながら、いかにして「70歳以降の安心感」を手に入れる道筋を立てたのか。そこには、特別な才能や強運ではなく、忙しい本業の傍らで誰にでも実践できる、徹底して「再現性」にこだわった仕組み作りがありました。

別記事では、私が約6年間の試行錯誤を経て辿り着いた、以下の実践的なノウハウをすべて公開しています。

  • 教育資金と資産形成を両立させる、独自のキャッシュフロー戦略

  • 本業を疎かにせず、最小限の労力で「4%ルール」を目指すポートフォリオの作り方

  • 50代からでも遅くない、将来の不安を「確信」に変えるためのステップ

「いつまでこの働き方を続けられるだろうか」という漠然とした不安を解消し、今の組織で誇りを持って打席に立ち続けるための、具体的なロードマップをまとめています。

本当の意味での「自由」と「心の安定」を手に入れ、人生の後半戦を自分らしくデザインしたい方は、ぜひこちらの詳細な解説も参考にしてください。


👉 [人生100年時代の「新・資産形成術」〜医師が実践する、キャリアと自由を両立するロードマップ〜]



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