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お金の心配を「エビデンス」で克服し、キャリアの自由を手に入れる [第7回]

私はこれまでに紹介した方法を実践することで、毎月の負担額を41万円から17万円に減らし、さらに合計の支払額も300万円以上減らす事ができました。

その結果、大学病院でのキャリアを諦めることなく、大きな負担の増加もないまま住宅ローンと私立医学部の学費を支払い続けています。そして、敗れはしましたが、教授選という大きな壁にも、生活の不安に怯えることなく全力で挑むことができました。まだ完済までの期間は長いですが、充実した人生を送れていると思っています。

大学でのキャリアの目的地は、教授になる、最先端の臨床を行う、留学する、研究で新治療を開発する、教育で後進を育てるなど、人によって違います。でも、お金の心配を克服し、大学に長く在籍することができれば、その目的を達成する確率は確実に上がるのです。

また、投資そのものの目的も、私は仕事は好きなのでFIREして仕事を辞める事を目指している訳ではありません。大きな負担の増加を避けながらできるだけ長く充実した仕事を続け、家族と幸せな老後を過ごしたいと考えています。

その目的のために、この方法は適していると考えています。

前回お示ししたシミュレーションを可能にしているのは、この手法が持つ以下の3つの本質的なメリットに集約されます。

1)1つの職場で継続して働く事の「信用」を最強のレバレッジに変えられる

1つの職場に長期で継続して勤務している、ということは大きな信用につながります。これにより、年利 2.0% 前後という低金利で数千万円の借入が可能です。自分の現金を減らさず、銀行の金利という「コスト」を払うことで、大きな運用原資を市場に残し続ける事が可能となります。
これはどの職業にも当てはまります。

2)新たな学習コストが不要(タイパの良さ)

大学病院で多忙を極める私たちにとって、本業以外の学習時間は貴重です。不動産投資のような物件管理の知識や、個別株分析のようなリサーチは必要ありません。これまで既に行ってきた「インデックス積立」を継続するだけ。投資に脳のリソースを割かれないため、技術の研鑽や教育に全エネルギーを注げます。

3)16年という長期戦による、圧倒的な低リスク化

投資において「時間」はリスクを中和する最大の要素です。返済期間が16年にわたるため、意図せずとも「暴落を乗り越えて回復を待てる」長期投資の期間が確保されます。また、私が利用したローンは、在学中の6年間は「利息のみ」の支払いで済むため、資金ショートの確率が極めて低いのも特徴です。


届かない「合理性」:友人との対話で気づいたこと

でも、一度お酒の席でこの方法を友人たちに話したところ、なんだか怪しい投資をしているのではないか、というような怪訝な顔をされて、あまりしっかりした会話になりませんでした。そこで分かったのは、以下のことです。

1)そもそも投資を開始するハードルは思った以上に高い。新NISAすら始めていない医師は意外に多い。

2)ローンという「借金」へのイメージが悪く、レバレッジを効かせて投資益を得る考えを理解するのは容易ではない。

3)普段から医療データに接しているはずの医師であっても、お金のことになると暴落や為替変動のリスクへの恐怖から、実践できる人は少ない。(損失回避バイアスの影響は大きい。)

確かに、将来のことを100%予想できるわけではなく、今の方法に間違いがないとは言い切れません。

しかし、「S&P500を15年以上保有すると、プラスの収益になる確率は95%である」というデータは、過去に何度もあった暴落を含む長期のデータを検証した上で得られた強固なエビデンスです。

このエビデンスは米国のデータを元にしているので、為替変動の影響を受けることは避けられませんが、学費返済の負担を軽減するという最大の本質が変わることはありません。

でも、頭では理解できても、切実な悩みとしてこの問題を抱えていない人にとってみれば、安易にお金が入ってくるような怪しい話に聞こえてしまうのは仕方のない事なのかもしれません。なので、これは友人達にとっては「刺さらない」内容だったのだと思います。

でも、私と同じような状況で困っている人は少なくないと思います。もしそのような人に自分の経験を届ける事ができれば、その人の人生を変える事ができるかもしれない、そしてその人が世の中をもっと良くしてくれるかもしれない、と思ったのがこの記事を書こうと思ったきっかけです。

自由への処方箋:呪縛からの解放

私たちは、医学と同様に、金融についてもエビデンスに基づきリスクを受け入れ、将来の見通しを立てることができれば、これまでずっと付き纏っていたお金についての心配を大幅に減らすことができます。あとは、その見通しから外れそうな兆候がないかをチェックしていれば良いのです。

100%の保証はないけれど、恐らく大学を辞めても家族が路頭に迷うことなく、息子たちに医学部も辞めさせなくて大丈夫だろう、という状況になると、人生に大きな変化が生じます。

これまで足枷になっていた、**「息子を医学部に行かせるなら、稼ぐために大学病院は辞めなくてはならない。そして大学に残るなら不本意な業務も我慢してし続けなければならない」**という呪縛から解放され、多くの選択肢を持てるようになります。それを感じたとき、私は本当の自由に近づいた気がしました。

もし大学でのキャリアに限界を感じたら、その時に辞めれば良いのです。でもそれは「お金のために不本意ながら去る」のではなく、自分の信じた道を進んだ結果としての選択です。

この「自由」を得た事が、私にとって最も重要な事でした。


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