【50代の運動】 「2時間ウォーキング」で体と心を整える [第65回]
前回の記事では、ドーパミンの魔力に惑わされず、すぐに結果が出ないことを長期にわたって積み重ねていくことの本質についてお話ししました。
このノイズから距離を置くという姿勢は、机の上の作業や投資のスタイルだけでなく、身体を動かす日常の習慣においても共通する重要なアプローチになります。今週は、私実践しているウォーキングについて、その効果を言語化してみたいと思います。
最近の私は、機会を見つけては水泳かウォーキングのどちらかを行うようにしており、特にウォーキングに運動以上の効果があると感じています。そして、可能であれば2時間を目標に歩くようにしています。
ウォーキングのメリット
以前は、運動といえば1時間ほどのジョギングを定期的に行なっており、ハーフマラソンには2回挑戦しています。しかし、明確な目標を設定すると今度はタイムが気になって自分を追い込んでしまい、楽しめなくなってしまうので、最近は凝り固まった体をほぐし、リラックスするための運動をするように方向性を変えました。
水泳も、ゆっくりリラックスして泳げれば良いのですが、以前のようにスタミナがないので、だんだん疲れてくるとリラックス、という感じではなくなってしまいます。
その点、ウォーキングは、リラックスをしながら頭の整理を行うための「空白作り」ができ、同時に副産物としてカロリーも消費できます。さらに、ジョギングのように過度な疲労が残らないので、その後の時間も眠くならず有意義に過ごすことができます。
身体に過度な負荷をかけすぎず、それでいて頭の整理に繋がるこの方法は、私たち50代の運動としても非常に理にかなっているのではないかと感じています。
時間について
私はこれまで運動をする時、1時間程度を目安に設定していました。しかし、ウォーキングについて私が試行錯誤した結果としては、1時間ではなく「2時間」という枠組みが非常に良い効果をもたらすという結論に至りました。
早歩き」がもたらす視野の狭窄
歩き始めは脳内に様々な思考が溢れてきて、いつの間にか早歩きになってしまいます。以前も記事にしましたが、ゆっくり歩くということは、思いのほか難しいものなのです。
早歩きになってしまうと、脳の興奮と連動して視野が狭くなります。せっかく外の景色の中を歩いているのに、気がつくと周囲を見ることなく、ただ足元の一点だけを見つめながら歩いている自分に気づきます。これでは当初の目的から外れてしまいます。
この、日常の慣性による早歩きをリセットするために必要なのが、2時間という絶対的な時間枠です。
2時間という時間がもたらす脳内の変化
実際に歩いてみると、時間の経過につれて頭の中の状態が明確に変化していくことが分かります。
最初の1時間 日々の生活や仕事のなかで感じたことが、とりとめもなく次から次へと頭の中に浮かんできます。この時は、「考え事をしながら歩いている状態」で、周囲の環境にほとんど意識が行きません。脳がまだ日常の延長線上にあり、思考の自動運転が止まらない時間帯です。これがいつものパターンです。そして、通勤時間や仕事中に歩いている時もこのような状態だと思います。
1時間を過ぎた頃 1時間を超えると、一通りの雑念が出尽くします。そこでようやく、少しずつ周囲の景色に目を向けたり、自然の音を聞いたりする余裕が生まれてきます。自分が周囲の環境の中に存在している、という感覚を短い時間ながら感じられるようになります。それでもまだ、思考が浮かんでは消える段階です。
1時間30分を超えた頃 1時間半を超えたあたりから、見えるものや、聞こえる音、そして自分の呼吸に意識を向けられる時間が明らかに長くなります。この段階を迎えて初めて、意識的にゆっくり歩くというコントロールが可能になります。 そして不思議なことに、この静かな状態のなかで、これまで考えたことがなかったような新しい気づきが頭に浮かんでくることがあるのです。これこそが、私の求めるものです。
「瞑想」の難しさと、ウォーキングの優位性
多くのビジネスマンは、朝活として瞑想などを行うことで、このような頭のクリアな効果を期待するのだと思います。私も実際にやってみたことがありますが、たとえ10分でもじっと座って意識的に頭を空にし、自分の呼吸だけに集中するというのは、実はなかなか難しいことです。また、それを毎日継続するのも容易ではありません。
その点、2時間ウォーキングは、毎日継続する必要もなく、それでいて毎回何かしらの有用な気づきが得られています。自分の感覚としては、高い頻度で瞑想に期待される効果が得られると実感しています。
仮にその日に新しい気づきが何も浮かばなかったとしても、「しっかりと運動ができた」という明確な達成感は残るため、それだけで十分に満足感につながるという点です。義務感に縛られず、どちらの結果に転んでも自分にとってプラスになる仕組みになっています。
ちなみに、私のペースで2時間歩くと(最後の30分は意識的にゆっくり歩いています)、距離は10km、消費カロリーは500kcalを超えるので、それなりに良い運動になっていると思います。
最後に
現代の社会では、あらゆる物事の効率を高めて短時間で済ませることが正義とされがちです。しかし、人間の脳の仕組みにおいて、頭と心に空白を作り、思考をリセットするためには、ノイズを物理的に遮断する一定以上の時間が必要だと思います。
私の体験では、1時間では不十分で、2時間では効果を感じる事ができました。
目先の効率や数値目標に縛られず、あえて十分な時間を投資する。そうして得られたクリアな状態こそが、再び次の日常や仕事にていねいに向き合うための、何よりのエネルギーになるのだと思います。
もし、同じような効果や変化を感じている方がいらっしゃいましたら、コメントをいただけると嬉しいです。
