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危機言語フィールドワーカー向け:手持ちの談話データを簡単に音声付きWebページに変えるツール

このツールについて

InTEx (Interactive Text Gallery Generator for field linguists)は、フィールドワーカーが話者から収集した自然談話を、インターリニア形式の例文で表示して例文ごとに音声も聞ける綺麗なHTMLファイルにできるようにするツールである。まずは、デモ動画を見ていただきたい。

動画中で紹介しているツール類へのリンク(SearchGlossZenodoURL

このツールで作成したデモのHTMLファイルはこれである


談話の全体音声だけでなく、文ごとにクリックすると文単位の音声も聞けるし、グロスをクリックすると、SearchGloss経由でグロスの和訳も出せる。

これは、私がリポジトリ(zenodo推奨)にアップロードした談話データセットから、その音声とテクストデータの情報(リンクURL)を読み込んで作成した簡易版のウェブギャラリーである。リポジトリにアップしたデータは談話の音声ファイルやテキストファイルなどの生データであって、見やすさや一般的な機能性は考慮されない(詳しくはこのコラム参照)。ここで紹介するツールは、このリポジトリのデータから、データURLを通して情報を引っ張ってきて、一般向けに見やすく、使いやすくしたウェブギャラリーを作るためのものである。授業でのデモンストレーション、地域コミュニティの教材など、幅広い用途がある。


用意するもの

手元に用意するのは、リポジトリ(zenodo)にアップロードした談話データ一式である。例えば、デモ版で見た談話ギャラリーは、以下のzenodoデータセットをもとにしている。

Text data (with sound file) of Irabu Ryukyuan (Japonic, Miyako)_5
|-- 生データ(録音データ)
 |-- text_tamamiga.wav(未分割全体ファイル
 |-- 001_sentence (最初の文の音声ファイル)
 |--(中略)
  |-- 054_sentence(最終文、第50番目の音声ファイル)
|-- 注釈データ
  |-- text_tamamiga.pdf
  |--text_tamamiga.txt 

これらのうち、InTExに読み込むのは、txt形式の例文データ(インターリニアグロス形式)、個々の例文の音声リンクURL(後述)、そして未分割の(オリジナルの)音声リンクURLである。InTExトップ画面でこれらの情報を入力する。HTMLファイルのページタイトルやサブタイトルもここで決める(デモ版では、タマミガというタイトルと伊良部長浜方言というサブタイトルにしているが、話者の名前を入れたり、有用なURLリンクを入れたりその他色々工夫できるだろう)。さらに、扉画像として写真などのpngファイルもアップできる(なくても良い)。

これらを入力して「ファイルを処理」ボタンを押すと、以下のような画面に切り替わる。タイトル背景画像付きの出来上がりのギャラリー画面である。このページの時点で、クリックすれば音声も聞けるようになっている。タイトルとサブタイトルのフォントの大きさも調整できる。

この生成されたギャラリーページをHTMLファイルとしてダウンロードする。すでに述べたように、このシステムはzenodoに別途アップしている音声データを読み込む仕組みなので、音声ファイル自体を読み込んだりすることがない。

あとは、ダウンロードしたHTMLファイルを自分のサーバーに置いて公開すれば良い。なお、自分でサーバーに置くのは手間とお金がかかり、ハードルが高い可能性もある。その場合はこのコラムの「HTMLファイルをどこに置くか」を参照してほしい。Github pagesの利用法が解説されている。

注意点

このツールを利用する際で特に注意すべきは、例文のtxt形式のファイルと、例文音声のリンクURLである。

例文のtxtファイル

デモ版の元になったtxt形式(これを参考に、( )で通し番号をつけ、その番号は、zenodoにアップする文単位の音声ファイルの番号(001_text,
002_textなど)と一致させる。必ず、以下のように、例文番号に1行使う。

(1)
nkjaan=ca.
昔=HS
昔々のことだとさ。

4段方式の場合も同じ。

(1)
nkjaanca.
nkjaan=ca
昔=HS
昔々のことだとさ。

2段方式も同じ。

(1)
nkjaanca.
昔々のことだとさ。

私はELANのeafファイルから自動でtxt形式に切り出す方法をとっているので、ELANを使っている人は以下の手順に従えば良い。他の人は、txt形式が私のものと同じ構造になっているようにしてほしい。

以下のプロセスの動画解説はこちらから

まず、リポジトリに載せたい談話データのeafファイルと元音声ファイル(図1の1, 2番)を用意する。次にこれらを、音声・テクスト分割ツール(eaftox)に流し込み、音声ファイルと注釈付き例文データ(インターリニアグロス例文)として整える。すると、文単位で区切られ、かつeafファイルで注釈した内容を例文提示フォーマットに整えたテキストファイルおよびLaTeXのgb4eスタイルに整えたtexファイル(図1の3番)が生成される。texファイルはpdfにしておく。さらに、上記の文ごとに切られた音声ファイルも自動生成される(4番)。

これら3, 4番のデータと、さらに元の音声ファイル(2番)を、データセットしてzenodoにアップロードする。その解説動画はこちらから。

例文音声ファイルへのリンク

InTExの下の方に、ZenodoレコードURLから自動取得という青字の部分がある。ここに、Zenodoレコード全体のURLを入れれば、自動で個別音声URLを識別し、InTExで生成するHTMLファイル内部の例文それぞれに音声リンクを作ってくれる。万が一、この自動読み取りがうまくいかない場合、Zenodoレコードにある個々の音声リンクURLをコピペする必要があるが、それは手間なので、ここで、Zenodoレコードを入力すればリストを一括コピペできるから活用してほしい。

InTExの音声リンクURL読み込み法

このように、InTExは音声ファイルをzenodoから読み込むことを前提にしている。APIの制限などで、Google spreadsheetやGoogle drive、Dropboxのリンクを読み込むことは想定していないし、ローカルフォルダにHTMLファイルを置いて、パスを用いてローカル環境にある音声ファイルを読み込む、みたいなことも想定していない(その仕様を変更したい場合は、ソースコードを書き換えてほしい)。コラム「消滅危機言語の記録保存:基礎編」でも書いたように、この種の談話Webページはあくまで「リポジトリに談話データを安全に置いてある」状態からの応用編・発展編であるべきで、そうであれば、zenodoに全ての元データを置いていることを前提にしたい。

おわりに

InTExを利用して談話ギャラリーを作成し、それを公開する場合は、必ず以下のように引用してほしい。

Shimoji, Michinori (2025) InTEx: an interactive text gallery generator for field linguists. 10.5281/zenodo.16732543


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