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[小説]僕は僕を信じて生きていた 中学生編episode 2

中学生編 episode 2

 佐藤とある日の放課後買い物に隣町へ行った時の事、イカツイ服装で頭の色も変えた仁志先輩達を見かけた。声をかけようとしたがすぐお店に入ってしまった。どんなお店に行ってるんだと思い後を後を追うと、
ライブハウスmugenn
 えっどういう事?佐藤と目を見合わせた。
「確かにここに入ったよな~」
「いや竜士!間違えなくここだよ。先輩達まさかバンドやってるんじゃない?」
僕達はどう言うことか気になってしょうがなく道端で先輩達を待つ事にした。
 一時間ほどで先輩達が出て来た。開口一番、仁志先輩が
「あれ!お前なんでここにおるん?んっ?あいつから聞いたのか?」
「あいつって誰ですか?」
僕達は薄々感づいていたが言えるはずもなかった。
「ん~~~、まぁいいけど何処の誰にも内緒にしておいてくれな!今度ライブ招待するさかい」
 まさか的中!バンドをやってるようだ。二週間ほど経った金曜日、仁志先輩が昼休みにチケット二枚を渡しに来てくれた時の事だった。
「三バンドでやるさかい、是非見に来てな!お前らマジでビックリするぜ~」
 チケットに目を通すと明日の日付。ライブハウスmugenn 一九:〇〇~となっていた。四〇分前に着くと、既に行列が出来ていて年齢層が幅広い事にビックリ。三、四歳位の子供を連れて来ている人もいた。
 一八:四五入場開始、会場に入ってこれまたビックリかなり広い会場、おそらく二〇〇人位は入るような所だった。なんの前振りもなく、演奏が始まりみんなノリノリで驚かされた。
「あれ、あの人三年じゃない?あの人も見たことある!え~!全員見たことあるでしょ!全員サッカー部じゃん!」
「竜士、落ち着けよ!興奮しすぎ~」
何故か佐藤は冷静だった。
 なんと一一曲目は、校歌斉唱と言う曲。これが又かなりいい感じで、校歌をロックバージョンした様な曲だった。二バンド目も一一曲目は校歌斉唱!やっぱり見た事あるサッカー部の人だった。
「間違えない、みんなサッカー部だよ!ほらほら~、ほらあの人も、あれ?あの人も!」
「竜士は本当しつこいな~!落ち着けって言ってんじゃんか・・・」
 テンションが上がりっぱなしで、あっという間に最後のバンドになった。
「ほな行くでー!盛り上がってやあ!」
 女性の声。煙の中目を凝らして見と。なななんとボーカルが梨花子先輩!てっきり仁志先輩がボーカルだと思っていたらドラムだった。
「毎度毎度たくさん来てくれて、ほんまににありがとう~な!最後まで楽しんで行ってや~!」
 言葉遣いがいつもと違う・・・関西弁?
「毎度毎度の一曲目は、①青い地球をそのままに!今日もやるよ!のってけてっててってって~~~!」
②レールをねじ曲げろ③スタートライン④四月四日⑤ダブルベット⑥うちの係長⑦学年のマドンナ⑧イメージアップ⑨妄想構想計画図⑩奈落の底の底⑪校歌斉唱(ロックバージョン)感激の連続だった。客席の皆んなが、アンコールをかけ始めた時だった。梨花子先輩が、マイクをそっとヒトシ先輩に渡した。
「ここmugennのルールでは年齢的に出演は禁止されているんですけど、今から出る二人は最初で最後として出させていただく事になりました。正直、一緒に楽器を合わせた事は殆どありません。俺達も楽しみです! みんなも応援してや~!ちびっこの二人で~す」
 恐らく、小学生高学年。何と、パーカッション(男の子)マラカス(女の子)
かなりの場数をこなしている様な、堂々としたパフォーマンスに息を飲んだ。異色のセッション。これがまた更なる空間を届けてくれ、何とも言い難い気持ちにさせられ感動し佐藤と僕は自然と涙が出て来てしまった。
⑫アンコールの先⑬公務員に一言
「二人に盛大な拍手をお願いしま~す!」
会場に惜しみない拍手の嵐が吹き荒れた。
「次で最後の曲になります!今までの曲はオリジナルだったんですけど、この曲だけはコーピーさせてもらってます。俺も初めて聴いた時は鳥肌が立ちっぱなしで、この曲を聴いてバンドをやりたいって思ったんです!スコアも出てない曲で、俺たちながら本当によくここまで仕上がったなって思ってます。聴いて下さい!◎幻の二〇一七〇二二八」
 なんと、最初っからドラムソロ。先輩達のライブはほとんどの曲がオリジナルで、すごくカッコよく鳥肌が立ちっ放しやっぱり一番盛り上がるのは何故か校歌斉唱ロックバージョンだった。僕達は後から聞いて納得した。mugennのオーナーや、来ていた人ほとんどが卒業生だったらしい。
 それからも佐藤と二人でライブに通うようになり、どんどん先輩達に引き寄せられていった。後から聞くと、学校に行く時は黒く染めているらしい。もう、格好良すぎ。いつか先輩達の様になりたいと思い佐藤に問いかけた。
「なあ佐藤、僕達もバンドやろうよ!僕ドラムがやりたい!」
「えっ!俺でいいの?」 
「佐藤、お前ボーカル決定!後二人、ギターとベースだな!」
 恥ずかしい話、サッカーよりのめり込んで行くのが自分でも手に取るようにわかった。
 朝六時に校庭に行くと、既に走り込みが始まっていた。
「おはようございます!」
「お!来たんか」
「一緒に練習やらせて頂いてもいいですか?」
「当たり前やないか」
 走り込みが終わるとミニゲームする事に、三年生11人+一年生五人=一六人÷二=八対八あみだくじにてメンバー決定。
「おっ!竜士、一緒やないか」
なんと!仁志先輩と同じチーム。
「よっ、よろしくお願い致します!」
「竜士、ほな行くでーしっかり着いてこいや!」」
 ライブの時と同じ掛け声に全身鳥肌、華麗なドリブルで七人抜き去りミドルシュート。惜しくも外してしまった。やっぱり、物凄いシュートを目の当たりにし、やっぱりとことん朝練やっていたんだと思わされた。何事にも一生懸命にやっている先輩達が物凄く生き生きし凄く格好良かった。先輩達の生き生きとしていた姿が後に大きな意味をなす事ととなる事とは思いもよらなかった。
 でも何故仁志先輩と、梨花子さんは関西弁なんだろうと首を傾げていた。その疑問は後々あきらとなる。
 あれだけ走っていたのに全然ついていけない、焦れば焦るほど空回りしミスの連続、全く歯が立たない。まだまだ、一生懸命さが足りないのか?いや、そんな事はない。はず?ただ先輩達より劣っていたのは確かだった。そんなある日の事珍しく放課後の練習に仁志先輩達が顔を出した。
「おい、二年Aチーム!今すぐアホのBチーム読んでこい!」
 暫くすると、物凄くけだるそうに現れた。
「へ~・・・、先輩方珍しいですね~何か用ですかぁ?」
何と仁志先輩はあの二年の恐ろしい方達を無言で殴り始めた。
「いってーな!いきなり何するんですか!」
「あぁ?自分達の胸に聞いてみろ!」
 その後も殴打の連続。すると仁志先輩の右腕の龍一さんが止めに入った。
「おいおい!仁志~~~その位にしておけよ。こいつらもう限界だよ! お前!梨花子にも言われたろ」
 二年のBチーム全員、ボロ雑巾が赤く染まった様だった。実は、仁志先輩は転校する前の学校で派手に喧嘩し鑑別所に入っていた事があったらしい。大阪ワーストナンバーワン中学校。なんと梨花子さんも一緒。ヒトシ先輩と梨花子さんは幼少の頃からの腐れ縁で、しかも父親の職場が一緒。転勤も一緒でここに来たらしい。ここまで一緒だと、家族同然だな!と言っていた。梨花子さんも家族の様に心配していたんだろう。正直、梨花子先輩とずっと一緒なんて物凄く羨ましかった。
 そんな先輩達も卒業してしまい、これからはあの方々の時代だと思うと、不安でしょうがなかった。が、しかしとんでもないことが起こった。何と!入学式を邪魔しに来たあの方々を、新入生の一人が全員ボコボコにぶっ飛ばしてしまった。いつか見た光景そのものだった。まさかと思い問いかけると、まさかのまさか予感が的中!仁志先輩の弟。その後の学校生活は一変した。ところが、一年生の時は日の当たる教室だったのに、何故か二年生になっても一階。しかも一番端っこ。他のクラスは二階に上がり変わらず燦々と陽の光を浴びられる。ところがそこには一日中陽の光なんか入ってこない。そんな環境を保護者も心配し、保護者カンパで電球だけは一番ワット数が高いのを付けていた。
 あの一年生は確か仁(ジン)って呼ばれていた。奴は、女の子を引き連れサッカー部に入部してくれた。
四月現在三年生=AチームとBチーム=二二名、俺達二年生=一六名、一年生=二一名(うち四名女子)総勢四八名+四名マネージャー。ある日の事、教頭先生が校庭にやってきて、
「顧問の先生が新婚旅行で一ヶ月の休暇にはいりました。戻るまでの間、部長に一任するとの事です。早速ですが、私の恒例のあみだくじで今年度の部長を決めたいと思います。あみだくじは私のお手製です!そこには細かい線が無数に引かれ、しかもワープ付き?謎にはみ出した線も書かれていた」
なんと二日間、二日間に及ぶあみだくじの結果。
「一年生の彼に(仁志先輩の弟、仁)に決定しました。一言お願いします」
 その場には当然の事ながら三年のあの方々いないかった。
「え~、とりあえず敷地二五周でしたっけ?あっ、すみませんでした。一年間よろしくお願いいたします。がっ、頑張って行きましょう!」
すると、僕達二年の皆んなが、
「仁お前もな!」
「仁お前だよ!」
「仁お前に言われたくねーよ!」
「お前緊張してんな、笑わせんなよ、さすが仁志先輩の弟だな!」
「あっ、ありがとうございやす」
 簡単に二五周なんて言いやがって、早速お手並み拝見。やっぱり、厳しかったのか一年生はヘロヘロになって来たみたいだった。
「先輩は常に有言実行だったぞ~。はい、残り一五周!」
と、皆んながあおる。二〇周目で一年生二二名脱落した。残ったのは、
先輩の弟仁。仁の右腕の弦、何とマネージャー。何なんだあの娘は! しかも、三人の中ではトップ。最後の一周で抜かされたが二位でゴール。みんな大絶賛!一位は右腕の弦だった。仁(ジン)は物凄く悔しそうでマネージャーの子にむかって、
「何だよ凛花! 本気出さなくてもいいじゃんか~」
 凛花ちゃんって言うんだ。仁と本当に仲が良く羨ましく見えた。本気出さなくてもってどう言う事と聞いてみると、
「凛花は六年の時、長距離走で全日本大会で四位だったんですよ。僕も応援に行ったんですけど、めちゃくちゃセクシーでしたよ!」
「おっお前、どこ見て応援してたんだよ!」
「いやいやそれは全て、全てですよ~・・・。それはそうですよ! 保育園から一緒だったんで」
「えっ! まさか、梨花子先輩の妹?」
「そうですよ~!知らなかったんですか?よく似てますよねーでも、凛花の方が気性が荒いんですよ」
「そんなの知るわけねだろ!紹介されてねーんだからよ!しかも、梨花子先輩より荒いってどんだけだよ」
「いや! 本当に根性ハンパじゃないっす。時期に本性表しますよ。今は完全に演じてますね。楽しみにしていて下さい」
 何故、陸上部ではなくマネージャーなんだ?そこまで頑張っていたのなら、普通は続けるはず。全く理解出来ずにいた。そんな時、凛花ちゃんと話す機会があった。早速疑問をぶつけると、
「その前に、仁から聞いたと思いますが梨花子の妹の凛花です。身長一五八㎝・スリーサイズは八七・六三・八九・五〇㎏です。よろしくお願いいたします」
「いやいや、そこまで聞いてないよ!」
「いえ、竜士先輩!興味有りそうな顔してましたよ」
 恥ずかしながら図星で、返す言葉もなく赤面。
「そうじゃなくて、聞きたいのは何故陸上部ではなく、マネージャーなのかなって事なんだけど」
「たっ、単純に陸上に飽きたんです。本当ですよ!」
「それだけの運動神経だったら、他の部活でも活躍できるのは間違えないでしょ~」
「・・・言っちゃおっかな~・・・仁(ジン)も薄々気が付いていると思うんですけど、好きなんです、凄く好きになっちゃたんです!とにかく一緒に居たいと思っていたら、サッカー部に入るって言うから、じゃあマネージャーをやろう!たったそれだけの理由です。きゃ~!恥ずかしい・・・。先輩、何を言わせるんですか~」
 速攻、三六名撃沈。(一一名論外)それはそれは梨花子先輩より容姿端麗で、入部した時点んで、みんな心を奪われてしまっていた。そんな事、確認なんて出来る訳ない。でも、確実にそうだった。やたら優しくしていたり、重そうな物を持っていたら、直ぐさま駆けつけ大丈夫などと思ってしまった。みんなが気を使っていたから、本当に自分含め分かりやすかったはずだ。ところが、仁だけは全くの正反対で凛花ちゃんを使いまくり。ボール拾って来い!やら、コートライン引いて来い!などなど・・・。僕達はと言うと、情けないけど凛花ちゃんのサポートしていた。
 そうであれば仕方ない!僕一名進路変更、三五名未だ真実を知らず。残る三名も綺麗な娘たちだ。何故僕は同じ学年でも綺麗な娘は沢山いるのに、何故マネージャー狙い?おそらく試合中に、応援されていると勘違い出来るから?僕は自分自身が分からなくなってしまった。
 そんなある日の事だった。仁が、
「竜士先輩、大変申し訳ございません!ぶっ部長を変えて頂きたいのですが・・・」
「なんでだよ! 全会一致で決まった事だろ」
「そうだよケツ割るのか」
「適任だぜ」
「実は、兄貴にめちゃくちゃ怒られたんです。『お前ら部長をあみだくじで決めるなんてふざけるにも程がある!しかも、寄りによって全会一致でお前?ふざけるな!頭に立つ人間は、しかるべき人がやるべきで、鼻くそにもなれないお前が出来る訳ねーだろうが!調子に乗るのもいい加減にしろ。顔貸せや!』
その後、外に引きずり出され痣が目立たない所をボコボコにやられたんですよ~。
見て下さいよ~!背中、太もも、とにかく隠れる所全て痣だらけ、めちゃくちゃ久しぶりに怒らせてしまいました。兄貴が起こるとヤバイのはご存知ですよね?と、言う事で、大変申し訳ありませんが辞退させて頂きたいと思います」
 皆んなが仁のあざを見て絶句した。
「ここまでやられて良く登校する気になるなー」
「こんなんで休むと更にやられますよ、一切血は出てないんですから」
「そう言う問題か?」
「はい、そう言う問題です」
「分かった、改めて話し合おう!悪かったなこんな思いをさせて、俺達も、深く反省するよ」
「ごめんな、本当にごめん・・・」
 翌日、早速ミーティングをした結果、部長は佐藤に決定した。こんな事だったらあみだくじなどせずに真剣に考えておけば良かったと皆んな思ったはずだ。あれだけお世話になった仁志先輩に大変申し訳なく思った。今後ライブに行けなくなるかもしれないと思うと辛くなって今後のストレス解消はどうすればいいのかと不安になるばかりだった。
「すみません、一言言わせて頂いてもいいでしょうか」
 と、無口な仁の右腕の弦(ゲン)が重たい口をひらいた。
「仁の今までを先輩方に評価して頂いてもいいですか?一年で部長なんてありえない話を簡単に受け止め、日々のプレッシャーにも決してめげずに頑張ってきたんです。付き合いが長いので、辛そうな顔を見せなければ見せないほど、俺が辛くなりました。ほんの少しの時間でしたけど、こいつ、本当に頑張ってたんです。むしろ兄貴にぶっ飛ばされて安心したと思います。
なあ仁!ちゃんと聞いてんのかよ? お前図星だろ」
 仁は何も言わずに、ただ曇り空を眺めているだけだった。
「おい!コラ! シャキッとせいや、お前、ちんちんあるんかい。柄にもなく空なんか見上げやがってよーなんだその面は」
 仁に罵声を浴びせたのは何と凛花ちゃんだった。仁に向かって行くと、蹴りをもろ顔面にヒット。皆んなが息も飲み込めない程一瞬の事だった。
 仁(ジン)の言葉が脳裏をよぎる。あの会話が現実となった瞬間だった。これが凛花ちゃんの本性?目をこすって見たけど仁(ジン)は倒れたまま。仁が言っていたのは本当だった。いや、皆んなイメージ以上の本性にマジでドン引きした。凛花ちゃんには申し訳ないけど、僕の進路変更は正解だったと思ってしまった。仁はこの先もずーっと凛花ちゃんと一緒だと思うと心底大変だろうなと少し同情心がうまれた。


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