[小説]僕は僕を信じて生きていた 中学生編episode 4
中学生編 episode 4
『夢は諦めなければ必ず叶う事だと知れ!大概の夢や物事が、目指す道を見失ったり諦めたりする事により遠ざかってしまうんだよ。逆を言えば、物心着いた頃の夢を諦めずに頑張っていれば一八歳で叶ったり五〇歳で叶ったり・・・。この例えは極端かもしれないけどな・・・。パチンコだったら負けてる分よりも出るまでやれば勝ちになったりな・・・』な~んて事を言ってたんだよね。でもさぁ、あながち間違えでもないでしょ・・・。例えは悪いけど、諦めずに目標達成まで頑張る事。いつもふざけたことばっかり言っている叔父さんがこの時は大真面目な顔して言ってたんだよ。例えがわるすぎて吹き出しちゃったけどね。大体そんな事はみんなわかってるしさぁ~。むしろ、諦めずに頑張る事が物凄く大変だと言う事を知ってるから諦める・・・?あれ、もしかして勘違いしてたかも・・・。要は、自分から逃げず自分の可能性を信じてやって行くってことかもなぁ~。え~~~、叔父さんはそんなカッコいい事言わないし、言えないはずなんだけどねぇ・・・」
「身にしみる・・・。君、ちょっと俺に教わってみない?俺達『BURAKUS`』の特別な曲で曲名は 『二〇一七〇二二八』 って言うんだけど・・・」
「えっ?」
その日からおっさんと猛練習の日々が続いた。
「いい加減おっさんって呼ぶのもどうかと思うんですが・・・。なんて呼べばいいですか?」
「なんだよ急にかしこまってさぁ~。今まで通りのおっさんでいいじゃん!」
「いや!先生に向かっておっさんなんておかしいですよぉ~」
「そっかぁ~・・・、まあ逆の立場で考えたら俺も同じ事を言うよなぁ・・・。
キョウイチって呼んでくれ。漢字は、強いに数字の一で強一。改めてよろしくな!」
「へぇ~、インパクト有る名前すっねぇ!」
今までの強一さんが少し元気になった様に見えた。ドラムに向かっている強一さんは輝きを放っていて、どんどんと強一さんの魅力に引かれていった。とにかく全身でリズムを刻んでいる様な?と言うか魂の叫び。叩き出すと、一切目はあけずに一心不乱に手足を動かす姿に圧倒される毎日だった。ふと思った。強一さんが今ここにいない様な感じにさせられ、なんだか別の空間で叩いている様に思えた。
猛特訓し始めたのは夏の事。あっという間に秋冬と時が流れて行き、冬は着込んで練習した。さすがに寒すぎて親には内緒で、強一さんを自宅に招いて静かに練習した。その後、『BURAKUS`』が日本中の大人達は誰でも知っているバンドだった事を知る事になるとは思いもよらなかった。
何だかムシャクシャし、佐藤と初めて入った隣町のゲームセンターでの事だった。店内に今までに聴いた事がない曲が大音量で流れていた。店長らしき人に聴いてみると、
「まぁ、今の若者は知らねぇよなぁ~・・・。BURAKUS`って言ってな、ひと昔前、彗星のごとく現れて一斉をふうびしたんだよ。その時代にはなかった斬新かつ新鮮な曲ばかり。面白い事に曲名は数字だけなんだよ。なんでも、曲が出来た時に浮かんだ数宇を並べていたんだってよ。当時の雑誌に書いてあったんだけどな、曲名は聞いてくれた人が当てはめてくれればいいって事だったんだよ。そんな事だから皆んな好き放題に曲名をつけていたんだけど流石にこれじゃあ~って、ファンクラブで曲名決め投票をやって決まってったんだ。なんせ全国の皆んなで考えただけあって、それはそれはいい曲名ばかりだったぜ!そうだ!当時の雑誌とって有るから見てみるか?実は俺かなりBURAKUS`にハマっていたんだよ!ちょっと待ってろ、今持って来てやるよ!お~い、良二!ちょっと出て来る。店、頼んだぜ!」
「わかりました!店長今日バイクですよね?くれぐれも、ここでエンジンかけないで下さいね!また商店街組合の会長からお灸すえられますよ!」
「あぁ?お前に言われなくても分かってるわ!良二!口がすぎるぞ、つつしめや!」
と、言いながら直ぐさまその場でエンジンをかけた。それはそれは、商店街中に響き渡る程の爆音に思わず飛び跳ねてしまった。
「BURAKUS`の事になると、昔の血が騒ぐみたいでいっつもあんな感じなんだよ・・・。本当、困った良一ですよ~」
「えっ!良一?店長は良一さん?まさか兄弟ですか?・・・」
「やっぱ~!そりゃぁそうだよな~名前聞けば分かるよなぁ~。そう、兄貴なんだぁ~。一〇歳も離れてるんだよ。まだまだ不良が抜けきれなくて困ってんだよ!あのうるさいバイクも兄貴が一七歳に初めて買ったやつで、暴走族もやり峠も走り何度となく事故をしたんだけど、乗り換える事なく自分でバイクの解体屋さんに足を運んで自分で直して今に到るんだよ。なんせ当時では珍しかった一三〇〇CCのバイク。部品も中々見つからなくて苦労してたよ。あそこまで愛着を沸かして大事に乗り続けている人も珍しいと思うなぁ~。まぁ、親父の教えもあったと思うんだけどね。まぁゲンコツオヤジで厳しかったよ。とにかく物を大事にする様に教えられて育ったんだ。良一のバイクも今は落ち着いて見えるけど、当時はド派手なカラーに訳の分からない物が沢山装着されていて、弟としては本当恥ずかしかったぜぇ~。俺と同じ年の奴らからは憧れていたんだけど、いざ兄貴となると微妙だったね。そんな話どうでもいっかぁ・・・。多分、あの調子だったら直ぐ戻ってくるよ。ちょっと待っててよ!」
と、良二さんはコインゲームのメダルをなんと一〇〇枚ずつ渡してくれた。以前から、得意としていたメダル落としゲームで良一さんが戻ってくるまで時間を潰した。ところが珍しく不調。ちょうどメダルが無くなろうとしていた時、ゲームセンターの中だと言うのに遠くの方から爆音が聞こえ良一さんが戻ってきた。
「おう!待たせたな。持ってきたぜBURAKUS`特集の音楽雑誌!まあ、四の五の言わね~でとりあえず見てみろよ!うぉ~~~!昔の血が騒ぐぜ!君達、今日は帰れないかも知れませんねぇ・・・。俺に火をつけてしまった。責任取ってもらうぜぇ~」
「いやいや~・・・。やめてあげなよ!可哀想に~、困ってるじゃんか!」
「いえ、大丈夫です!BURAKUS`の事を良く知りたいので色々と教えて下さい!なぁ、佐藤」
見ると佐藤は微妙な表情を浮かべていた。
「悪い!今日は大事な用事があるから帰るよぉ~。良一さん、せっかくのお誘いすみませんです。またの機会を楽しみにしています」
「おう!お前佐藤って言うのか。ハッキリと断るお前も気に入ったぜ!いつでも来いよ。BURAKUS`の色々な話聞かせてやるよ!」
佐藤は見るからに後ろ髪を引かれる様に帰って行ってしまった。なんとなく視線を感じお店の一番奥トイレ脇に視線をずらすと、赤い髪の人や金髪の人達が僕の事をじーっと睨みつけていた。どこかで逢っている様な気がしたけれど、あまり目があったままだと、『何見てんだよ!』などと喧嘩の引き金になりかねないと思い目をそらした。改めて店内を見渡すと様々な髪の色に服装も個性的な人がほとんどで皆々様に見られていた事に初めて気が付いた。
「気にすんな、多分BURAKUS`って言葉に反応したんだな!彼奴らも俺の影響でBURAKUS`のトリコになったからな」
自分なりにも、強一さんの事は尊敬していた。が、想像を遥かに超える凄い人だった事に気付かされた。強一さんとの出逢い、しかもドラムまで教えてくれているなんて、以前爺ちゃんが言っていた事を思い出した。
一、 全ての出逢いを
大切にしろ
一、 一秒前の行動が
その後の全てを
変えていく事と知れ
雑誌に目を通すと、BURAKUS`の結成から解散までの事が事細かく書いてあった。
「おぉ!そう言えばこれも持って来てやったぜ。これは貴重だぜ!たった一回のライブでしかやらなかった幻の曲を録音したカセットテープ。レコーダー持ち込むのにかなり試行錯誤したんだぜぇ~・・・。当時もレコーダー持ち込むのはダメな事だったけどよぉ~、今じゃ本当犯罪だよな!反省してるよ・・・。本当いい曲だぜ!聞いて見るか?」
幻の曲 二〇一七〇二二八
Extremely, endlessly from before
The program started
The sun rises, the sun sets
The sun rises and wakes up
The sun sets and closes her eyes
For example, if the sun did not climb
When will the eye wake up?
When the sun does not set, when do you close your eyes
I wonder?
Life is maintained as time passes
Always, there is a limit to life
People, trees, creatures
If there is no limit
spirit
The spirit dwells in everything
This world
Yes, even the place that is said to be the universe
This star, that star, a furiously distant star
Life is born
Life is over
The spirit remains
Its spirit, every spirit
Ask for whereabouts with no rush
It continues to spread
And I will stay and end
Its iteration
As long as life continues
There is no limit to the spread of the universe
The moment I took it, the moment I became a life
It becomes a new spirit ...
When that life has ended, look for new places, to keep living
If there is a previous memory
I can go back to this place
No, if there were memories
Its spirit will be gone
It may be better to have no memory, etc.
Because I want to keep living ...
After all, what is spirit
After all, what is the spirit that lives in life
I can not understand without trying
To the other side
二〇一六〇九二〇
彼は言う
お金なんて、お金なんてものは上を見たら切りがないと
彼は言う
どれだけ儲けたいかなんて、ある程度の所で見切らないと切りがないと
それは正しい!それは間違えない!
それでも、もっともっと欲しいんです
それでも、まだまだ欲しいんです
切りがなく沢山のお金が欲しいのです
お金で人は救われるって聞きました
お金で人が助けられるって聞いたんです
だから、天井もなくお金を稼ぐんです
だから、とめどもなくお金を稼ぐんです
でもね、本当は知っています本当は知っています
お金だけじゃ人は救えないし助けられない事を
お金だけじゃ人は救えないし助けられない事を
僕にはお金がありません
僕にはお金はありません
今はお金がありません
今持っているのは、皆んなと同じ優しい気持ち!
今持っているのは、皆んなと同じ思いやりの気持ち!
優しい気持ちと、思いやりの気持ち
今の所、それだけしかないんです
今の所、これだけあれば大丈夫ですか?
今の所、思いやりの気持ちしかありません大丈夫ですか?
それだけでは人々は救えません!
やっぱりお金がないと人々は~~~!
END
「さっ、最後の曲、もう一度聴かせてもらってもいいですか?」
「ほぉ~、いい選曲するな!いいぜリピートだ!」
僕は自然と手足が動き出してしまった。
「おい!お前、なんで叩けるんだよ?初めて聞いたんだろ・・・」
「えっ、なんとなくです!」
「この曲はスコアすらねぇ~んだぜ。なんとなくで叩ける訳ねぇ~だろうが!教えろ!誰に教わった」
僕は『BURAKUS`』のドラム、強一さんに教わっているんです!』だなんて言い出せなかった。こんな熱狂的なファンの方々に言おうものなら何が起こるか心配になったからだった。強一さんに教わっているからといって、簡単に自慢すべき事ではないと感覚的に分かった事が救いだった。
「すみません・・・。本当になんとなくです。適当に叩いたらたまたまあっちゃったんです・・・」
「たまたまだなんてありえねぇ~んだけどな・・・。で、何お前ドラムやってんの?」
「はい!まだ始めたばかりなんです。さっきいた奴は佐藤って言うんですけど、一緒にバンドやろうと思って今練習中なんです!」
「ほぉ~・・・。佐藤のパートは?」
「佐藤はボーカルなんですけど!どんな練習してるか謎なんですよ・・・」
「ま~よ、金がかから無いボーカルの練習方法って言ったら枕に顔を埋めて思いっきり歌う事と腹式呼吸だな!そりゃ~よ、金があればボイストレーニングとかもあるけどな。まぁ、中学生でボイトレに通ってる奴なんて聞いた事がねぇ~けどな!そんじゃ~よ、後二人ギターとベースだな。どうやって探すんだ?」
などと話をしていると、さっきトイレ脇から睨んでいた人達が寄って来て、
「お前、その傷どうしたの?」
「小学生の時に、度胸試しでバスケットゴールの上から飛び降りて、あごを強打しちゃってパックリ割れちゃったんだ・・・」
「どこの小学校だったの?」
「隣町の〇〇小だったけど。何か?」
「・・・」
「・・・」
赤い髪の人金髪の人は顔を見合わせ、目で会話している様だった。
「何針縫った?」
「七針、しかも何故か麻酔なし!ありえ無いですよね~。めちゃくちゃ痛かったんです。多分一生忘れられ無い痛みですね!本当に一生忘れ無い!あぁ~、思い出したらムカついて来ちゃった。あっ、すみません・・・」
「・・・」
「・・・」
「なんだ!慎二も遠藤も黙りこくってよ~。お前ら知り合いか?」
すると長髪の彼が、
「ちょっとちょっと~、もしかして竜士じゃない?」
「えっ!なんで名前知ってるんですか?」
「知ってるも何も・・・覚えて無いの?俺だよ俺、シゲだよシゲ!」
今まではまともに顔も見ずに話していた。まさかと思いマジマジと見てみると、なんと小学生の同級生。しかも、よりに寄って赤髪が慎二、金髪が遠藤、長髪はシゲだった。もう会う事は無いと思っていた。もう決して会いたく無いと思っていた。まさかBURAKUS`がきっけかで再開するなんて・・・。強一さんと出逢ってなかったら、この最悪の再開もなかったはずと後悔している自分が居たけれど、あの時の悔しさ悲しみを押し殺し強引に気持ちを切り替えた。
「え~~~・・・。ひっ、久しぶりだね!まさかこんな所で会うなんてね~。本当ビックリ!。あっ!さっき言ってた事は気にし無いでね。本気じゃないからさぁ~」
僕は嘘をついてしまった。
「おい!なんだお前、こんな所ってどう言う事よ!」
僕は大男の良一さんに襟首を掴まれ、天井に頭がつく程に持ち上げられてしまった。すると赤髪の慎二が、
「すみません・・・。本当すみません!こいつ同級生なんですよ!」
「なんだ慎二、俺にはそんな事関係ね~だろうが!あぁ?お前ら三人もこいつと同類か!」
「すみません!同類?なんとでも言って下さい!とにかく、こいつには貸しが有るんです!本当、勘弁してやって下さい!お願いします」
持ち上げられ、息苦しくもうつむくと、なっなんとあのガキ大将慎二が土下座している。そんな慎二を目の当たりにした遠藤とシゲは口を揃えて信じられない一言を口にした。
「親友なんです!本当、勘弁してあげて下さい!この通りです」
なんと、遠藤とシゲも土下座していた。持ち上がられたまま数分が経った時、綺麗な女性がブツブツ言いながら入って来た。
「あ~~~、本当ここ久しぶりだわ~。あ~ここもあそこも、変わってないわ~。あら、取り込み中だったかしら?」
すると良一さんが、
「あっ、ともみさん!お久しぶりです」
ようやく、降ろしてもらえた。綺麗な女性に目を向けるとなんとそこには、凛花ちゃんのお母さん、ともみさんがいた。
「あれ、君は仁(ジン)の先輩じゃない?いつだったか仁(ジン)を担いで送って行ったでしょ~。
それはそうと、どうしたの良一怒らせて~・・・」
「すみません!僕が良一さんのお店をこんな所なんて言ってしまって・・・。決してそう言う意味で言った訳ではないんですけど」
「はぁ?良一、そんなくだらない事で怒ってんの?お前も相変わらず成長しないわねぇ~。いつまで経ってもガキのままで、私としても本当恥ずかしいわ~・・・。
ごめんね~。竜士君だったっけ?私に免じて許してあげて!」
「そんな!とんでもありません・・・。僕の方が悪いんです!良一さん、本当にすみませんでした」
「おう!もういいよ。ついカッとなっちまった。俺も反省するわ~・・・。しかしよ~、竜士って言ったっけ、お前良い友達持ってるな!大事にしろよ!金じゃ買えないからな!その位分かってるよな!」
小学生の頃イジメられていた事もあり物凄く複雑な気持ちだった。
「はい!もちろんです。一生の友達と思っています!」
「俺に向かって来るなんて、お前らも良い根性してるな!同じ中学校なのか?」
すると慎二が、
「実は小学校の時、同じクラスだったんです。良一さんの所で再開するとは思いもしませんでした」
「何?あなた達、小学時代の同級生なの~。しかも、ここで再開なんて・・・。ぞくに言う腐れ縁てやつね!本当、良一の店は、なんだか知らないけど出逢い再開の場所なのよ~。ここで出逢って結婚した子もいるくらいよ!たかがゲームセンターでよ?本当驚かされるわ~」
「ちょっと、ともみさんまでその言い方ひどいじゃないですか~」
「何!良一、私に逆らう気?上等じゃん!私もまだまだ若いわよ!昔の様に蹴り入れてあげるわ!旦那にも言うよ。覚悟しな!」
「いやいや、そう言うつもりで言ってませんよ~。旦那様の方に言うのだけは勘弁してください!」
「何言ってんの!竜士君の話と同じじゃない」
「ですから、そんなつもりじゃ・・・、・・・」
「しかも旦那だけにはだなんて、私の蹴りはくらっても大丈夫って事ね!」
良一さんは、ともみさんに何も言えなくなってしまった。すると良二さんが、
「とっともみさん、お久し振りです!」
「あら、良二じゃない!帰って来てたんだ~。言ってよ!心配してたんだから~・・・。イギリスだったっけ?どうだったの、手応えあった?」
「いや~~~、全くとは言えませんが九九パーセントダメでした。改めて世界のぶ厚い壁、途轍もない広さを感じさせられましたよ・・・」
「でしょ~。全国音楽甲子園で優勝したくらいで、世界に通用するなんて思い違いにもはなはだしいわよ!でもさ~、九九パーセントダメだったって?それじゃあ残りの一パーセントの意味って?」
「それがですね~、向こうの日本語学校に通ってる娘に色々とお世話してもらっていたんですけど、その娘だけ、本当その娘だけが俺達の曲を褒めてくれたんですよ~。その娘がこんな事を言ってくれたんです!
『ファンは私だけじゃダメですか?』いや~・・・、本当考えさせられました。俺たちは何の為に音楽やっているんだろう?でも答えは直ぐ出ました。聴いてくれる人が一人しかいない?いえ、一人だけでも聴いてくれる人がいればそれで良かったんです。改めて初心に帰る事が出来ました。お世話してくれた娘は、マリアちゃんって言うんですけど心から感謝してます。『Beat Fearless's』、新たな活動の始まりです!その前に少し休暇と思いましてここに顔出しました。自分にとって一番落ち着く所ですし、じいちゃんとの思い出が沢山詰まった最高の空間です。そしたら、ともみさんに会えるなんて思いもよりませんでした。これも決まってた事、運命ってやつなんですかね~・・・」
「そうよね~、特に良二はここで育った様なものだからね~・・・。お爺様も相当な不良だったけど、本当心がとっても暖かいって言うか、本当の男って言うか・・・。この先もお爺様の様な人とは出逢わないと思ってるわ!」
意外。大男の不良、良一さんが肩を震わせて泣いていた。
「良一、良二の両親は若くして交通事故で亡くなってしまってね~。その後お爺様が一人でここまで育て上げたのよ・・・。近所でのあだ名はパワフル爺さんだったわよね~・・・。そんなお爺様も一昨年亡くなってしまってね~・・・。しかも、バイク事故で・・・。ここをの後を良一が継いでるのよ。私も中学生の時は散々お世話になってね~」
ともみさんも当時の事を思い出した様でうっすらと涙を浮かべていた。
「すみません!なんかしんみりしちゃいましたね・・・。良一!『BURAKUS`』の話を聞かせてあげるんじゃなかったけ?」
「おっ、おう!悪りーな・・・。すっかり思い出に浸っちまった。仕切り直しだ!でな、そこには書かれてないけど解散のきっかけになったのは、ドラムの強一さんって人が失踪してしまった事でよ~。今でも鮮明に覚えているぜ。ツワー最終日アンコールの幕が開いた時、何と!全く知らない奴がドラムの前に立っていたんだよ。そんでもって、ボーカルの猟一さんがこんな事を言い出したんだ。『ドラムの強一が体調不良で急遽病院に行く事になりました。最後の曲でこんな形になってしまってメンバー全員大変申し訳なく思っています。強一の分まで精一杯やりますので聴いて下さい!NO END SPIRIT WAR』(終わる事のない精神戦争)
これがまた最高の曲なんだ!ファンクラブの投票でもダントツの一位だったんだぜ~!
「是非!聴かせて頂けないでしょうか?」
「お前、本当にBURAKUS`の事知らねーんだな!この曲も幻の曲に匹敵する程いい曲。上手く表現できね~けど、心が洗われる様な・・・、明日への活力になるって言うか・・・。
まぁ、とりあえず聴いてみ!」
まだ17時だと言うのに何と良一さんが店内マイクを取り、
「本日もご来店頂き誠にありがとうございます!当店はもう暫くで閉店の時間となります!明日のご来店もお待ち致しております!聴いて下さい!
『NO END SPIRIT WAR』」
