45【ジジとババと、みなさまと私】夜中の時計事件、第1弾🕛
はじまり、はじまり。

「ねぇ、聞いて。大変だったんだよ」
母の言葉から始まった。
父が家に帰ってきてから、母のやることが増えた。
ひとまず私がシミュレーションしながら、やり方を探っている。
夜ご飯は6時。
食後、父は入れ歯を外し、トイレを済ませて、自分の部屋で寝るまでゆるゆる過ごす。
母はご飯を食べて片付けをしたら、風呂に入り、2階で寝る前に夜用のポータブルトイレを父のベッドの横に移動させる。
父が夜中にトイレまで歩かなくても、用が足せるようにするためだ。
父がトイレに行く音で目が覚めるという母。
「今トイレ行ったなぁ、あ、出てきたなぁ」と、2階にいても気になるらしい。
少しでも母の負担を減らすために、そして父の安全のために用意したポータブルトイレで、事件は起こった。
母の話をまとめるとこうだ。

夜中のこと。
いつものようにカタカタ音がしたので、母はトイレに行っているのだろうと思ったそうだ。
しかし、いつもよりカタカタ言っている時間が長い。
なんかおかしいなぁと思って、母が2階から降りて行ったところ、ちょうど父がポータブルトイレの上から時計を手に降りたところだったらしい。
「何してるの!!!」
と、母に詰め寄られた父。もごもご言いながら、
「なんかなー、時計がなぁ。狂っとるだ」
よくよく聞くと、3分ぐらい遅かったらしい。
「そんなとこに乗ったら、トイレの蓋が割れて大変なことになる、高いのに!」
と、母は言ったそうだが、いやいや、違う。
もうちょっと母が早く二階から降りてきていたら、父はびっくりしてバランスを崩しポータブルトイレの上から落ちていたに違いない。
あーよかった。最善最善。
私がそう言ったら、母は「本当にそうだね」と、今気づいたように言った。
「そうなんだよ。
これ以上やれないぐらい、あなたはやっているよ。
でもさぁ、もしこれでジジに何かあったとしても、それはそれ。気にしなくても大丈夫。
それが、ジジの運命さ。
もうそれぐらいに考えて、あなたは寝てください。」
と、冷静な娘は母に言った。
そして、部屋の掛け時計はなくなった。
気になってもすぐ手に届く、プーさんの置き時計に変えた。
次の日。
母から聞いたやばいネタをチャッピーに投げ、イラストにしてもらったものを父に見せる。

夜中の時計事件を起こした時の絵を見せたら、父はびっくりして、口から漫画のように、唾を飛ばしながら言った。
「見てたのかー!」
「見てたよー。何でも見てるんだよ」
と私が言ったら、より慌てふためいている。
「もうやっちゃだめだよ」と言ったら、
「もう、なんもできんなぁ‥」
と言いましたとさ。

歩行器(コロコロ)を使っている父がどうやって上がったのか気になったので、本人に聞いてみた。
「あのなぁ、戸をなぁ持ちながら椅子に登ってな。
それでなー、時計を外してなぁ、直そうと思っただあ」
「落ちなくてよかったね。
でもさぁ、せっかく家に帰ってきたのに、骨でも折れたら大変だよ。
まぁ、やめとき」
「おー、もう、ババが時計をしまっただ」
そりゃそうだ。私でもしまえと言います。
時計の時間や数字にこだわりがある父の、時計事件第1弾終了。
第一弾というと、第二弾、第3弾があると言うことです。
今日も、ジジとババと、みなさまと私の一日。

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締め切り間近。
最後の見直し後、字数が増えました😆
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