8【ジジとババと、みなさまと私】ジジの顔が、子ども、に見えた日
入院できる病院を紹介され、私たちはすぐに病院へ向かった。
口から出る言葉は「よかった、よかった」ばかりだった。
父も母も、ほっとした表情をしている。私も同じだった。
入院先の病院で再検査と診察を受け、担当医の先生から話を聞いた。痛みの原因は別にあったらしく、治療とリハビリを始めるとのことだった。
良い先生に巡り会えた。
父の「痛みを取ってほしい」という願いは、叶ったことになる。
「ありがとうございます」
思わず、そう口にしていた。
空いていたのは個室だけだった。思いがけず、静かな一人部屋。父はベッドに横になり、ようやく落ち着いた様子を見せた。
母と私はいったん家に戻り、必要なものを取ってくることにした。
「じゃあ、一度帰るね。またすぐ来るからね」
そう声をかけたとき、父はふっと不安そうな顔をした。
さっきまでの安堵とは違う、険しい表情。
その顔が、少し気になった。
どこかで見たことのある顔だと思った。
こども園で、子どもが初めてお母さんやお父さんと離れるときの、あの表情に少し似ていた。
今思う。
どうして、あの顔があんなに気になったのか。
あの瞬間、父と私の立場が、少しだけ入れ替わったような気がしたからかもしれない。
これまで私は、
「うるせぇ」と上から言われる側だった。
何かあれば、「うるせぇ」。
けれどあの日、
不安そうにこちらを見る父は、どこか小さく見えた。
もちろん、私は「うるせぇ」なんて言わないけど。
今のところ、私はできた娘だ。
今日も、
ジジとババと、みなさまと私の一日。
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