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PEEPとは?|ICU・人工呼吸の新人向けに、現場目線でやさしく解説

はじめに

人工呼吸器の勉強を始めると
こんな壁にぶつかる人が多いと思います

  • PEEPってそもそも何?

  • 数字(PEEP 5、PEEP 8…)はどう見ればいいの?

  • FiO₂との違いがどうしても分からない

実は私も新人の頃はPEEPを
「ただの設定値」
として意味も分からないまま覚えていました

でも安心してください
最初にこれだけお伝えします

PEEPがピンとこないのは
あなたが勉強不足だからではありません

PEEPは「言葉の意味」だけを覚えても現場で使えない
「なぜそれをするのか」とセットで理解して初めて腑に落ちる
そういう性質の用語だからです

逆に言えば
ここさえつかめれば人工呼吸の考え方は
一気に整理しやすくなります

この記事では
人工呼吸管理に携わる病棟に配属されたばかりの新人さんに向けて
PEEPとは何か・なぜ必要か・現場でどう見ているか
をできるだけやさしい言葉で解説します。

読み終わるころには
先輩の「PEEP上げとこうか」が
ちゃんと意味のある一言として聞こえるようになっているはずです

PEEPとは?

むずかしい定義から入ると嫌になってしまうので
先に結論だけお伝えします

PEEPとは

息を吐き終わったあとも肺が完全にしぼまないように
少しだけ圧を残しておく設定

のことです

正式には
「呼気終末陽圧(Positive End-Expiratory Pressure)」の
頭文字をとった言葉ですが名前は今は覚えなくて大丈夫です

まずは

「肺を少し膨らませたままにしておく仕組み」

このイメージだけ持てれば十分です

💡 イメージ
しぼみかけた風船を完全にはしぼませず
いつでもふくらませられるように少しだけ空気を残しておくPEEPがやっているのはそれに近いことです

なぜPEEPが必要なの?

私たちの肺の中には
肺胞(はいほう)
という小さな空気の袋がたくさん集まっています

この肺胞は風船のような構造です
何も支えがなければ息を吐くたびに小さくしぼんでいきます

そして肺胞がしぼんで潰れてしまうと——

  • 肺胞がつぶれる

  • 酸素を取り込みにくくなる(=酸素化が悪くなる)

  • 呼吸の状態が悪化する

という流れにつながってしまいます

そこでPEEPの出番です
PEEPは

「肺胞を開いた状態のまま支えておくためのやさしい圧」

として働きます

肺胞が開いていれば酸素を取り込める面積が保たれる
だからPEEPは酸素化を助けてくれる仲間なのです

💡 ひとことで言うと
PEEPは「肺胞をペシャっと潰さないための支え」
この一言が今日いちばんの持ち帰りポイントです

新人がPEEPで混乱しやすい理由

PEEPがなかなか頭に入らないのにはちゃんとした理由があります
あなたの能力の問題ではありません

ここを知っておくだけで
不安はぐっと軽くなります

FiO₂と役割が似て見える

新人さんが最もつまずくのがこれです

PEEPもFiO₂も
「酸素化に関係するもの」
なので

「SpO₂が下がったときPEEPを上げるの? FiO₂を上げるの?」

という場面で頭が真っ白になります
役割が似て見えるぶん混同しやすいのは当然です
(使い分けは関連記事で深掘りできます)

数字だけ暗記してしまう

「PEEP 5」「PEEP 8」と数値だけ覚えてしまい
その数字が何を意味しているのか分からない

これもよくあるパターンです

数字はあくまで結果
大事なのは
「なぜその値にしているのか」
という理由のほうです

肺のイメージが持てない

PEEPは目に見えないので
頭の中の映像がないと理解しにくい用語です

「肺胞を風船としてイメージする」
これだけで理解のしやすさがまったく変わります

💡 つまり混乱はあなたの理解力の問題ではなく
「イメージ」と「理由」が省略されがちな構造の問題
です
原因が分かるとずいぶん楽になります

臨床の現場ではどこを見ている?

PEEPを設定したあと
現場では「PEEPの数字そのもの」を
ずっと見ているわけではありません

確認しているのは
PEEPを変えたことで患者さんの酸素化がどう変化したか
です

主にこんな指標を見ています

  • SpO₂:指先などで測る酸素の足り具合の目安

  • ABG(動脈血ガス):呼吸の状態を数字で確認する検査

  • P/F比:酸素化がどのくらい保たれているかを表す指標

💡 **現場イメージ**
朝SpO₂がなかなか上がらない患者さんを前に
先輩が画面を見ながら
「肺胞が潰れぎみだからPEEP少し上げて様子みよう」
とつぶやく

このとき頭の中で
「潰れた肺胞を圧で支えて広げようとしているんだな」と
絵が浮かんだらあなたはもうPEEPを理解し始めています

ポイントは
PEEPそのものより
「その結果、酸素化がよくなったか」を見る
こと

この視点を持てると一段階レベルアップです

なお
「設定の数字を自分で変えていいの?」
という不安もよく聞きますが
変更は医師の指示や病棟のルールに沿って行うものです

新人のうちは操作より
「先輩がなぜその設定にしているか」を理解すること
を目標にすれば大丈夫です

まずはここだけ覚えよう

たくさん書きましたが
今日のところはこの一言だけで十分です

PEEPとは

「肺胞がつぶれないように支えるやさしい圧」

そして

「肺を開いておくための設定」

この2つのイメージが持てれば最初の一歩はクリアです

最初から細かい計算や病態まで理解する必要はありません
少しずつ「点」が「線」になっていけば大丈夫です

関連記事

PEEPの理解は、周りのテーマとつなげると一気に深まります
順番に読み進めると現場で使える形で知識がつながっていきます

「次に何を読めばいいか」で迷ったら
酸素の濃さ編(FiO₂)に進むのがおすすめです
今日のPEEPとFiO₂の使い分けがそのまま深掘りできます

まとめ

PEEPは
人工呼吸管理でとても重要な設定です

ただし最初から細かい計算や病態まで理解する必要はありません

  • PEEPとは吐いたあとも肺胞を潰さないよう少しだけ圧を残す設定

  • 役割は酸素化を助けること

  • 現場ではPEEPを変えた結果で酸化がどう変わったかを見ている

  • 新人が混乱するのはFiO₂と似て見えイメージと理由が省略されがちだから——あなたのせいではない

まずは

「肺胞を開いておくためのやさしい圧」

というイメージを持つことから始めましょう

焦らず
一段ずつ
一緒に進みましょう

次に読むなら:順番で学べるnoteシリーズ

人工呼吸管理を「順番」で理解するために
現場経験をもとに整理したICU基礎思考シリーズをnoteで公開しています

PEEPのような一つひとつの言葉を
「目的→用語→使い分け」の流れで
一段ずつ無理なく深掘りできる構成です

  • 配属されたばかりでPEEPやFiO₂の使い分けに自信が持てない方

  • 教科書を読んでも現場と繋がらないと感じている方

  • 後輩に教える立場で伝え方の順番を整理したい方

そんな方にちょうど良い入口になればうれしいです

📖 note:【はじめに読む記事】ICU思考シリーズの歩き方

3ヶ月後のあなたが
「PEEPってこういうことだったんだ」
と笑って振り返れるように

——そう願って書いています


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