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【はじめに読む記事】ICU基礎思考シリーズの歩き方

「この血ガスどう思う?」

医師からそう聞かれた

血液ガスの結果は手元にある
数値は読める
pHが低いことも分かる
PaCO₂が高いことも分かる

なのに言葉が出てこない

頭の中でいろんなことが同時にぐるぐる回っている
呼吸性? 代謝性? AGは? 代償は? 混合性……?

3秒、5秒、10秒——

考えるが答えが出ない

そのとき
隣にいた先輩が口を開いた

「pHが7.25でアシデミアです
PaCO₂が55で呼吸性アシドーシスがあります
HCO₃⁻はこの患者さんのベースラインを考えると低いので
代謝性アシドーシスの合併を考えます
AGは補正しても上昇していないのでAG正常型です」

同じ血液ガスを見て
同じ数値を読んで
30秒で整理して答えている

あなたと何が違うのか

知識量ではありません
計算力でもありません
経験年数でもありません

「何をどの順番で見るか」を知っているかどうか

ただそれだけの差です

「順番」がないと臨床で止まる

止まる場面は血液ガスだけではありません

人工呼吸器のモード選択で止まる
SpO₂が下がったときに何から手をつけるか分からない
離脱のタイミングが読めない

すべてに共通するのは
「全部を同時に考えようとしている」 ということです

パソコンで大量のアプリを同時に起動したらフリーズするのと同じです
人間の脳は並列処理が苦手にできています

逆に
臨床で迷わない人は「全部を同時に」なんて考えていません

一つずつ
順番に片づけています

一つ目の判断が終わったら次へ
それが終わったらまた次へ

この「順番」を持っているかどうかが
止まる人と進める人の決定的な違いです

そしてこの順番は教科書には書いていません

教科書に載っているのは「分類」と「計算式」と「設定値」

知識のパーツは揃っています
でも「どの順番で使うか」が書かれていません

だからパーツだけ持っている人が
現場で迷う

ICU思考シリーズは
その「順番」を体系化したシリーズです

ICU基礎思考シリーズとは

血液ガスから始まり、酸素化、人工呼吸器のモード、患者観察、そして離脱までーー

ICU基礎思考シリーズは
人工呼吸療法を断片ではなく構造で理解するためのシリーズです

シリーズは大きく 3つのフェーズ に分かれています

| 血液ガス編 | 6ステップで血ガスを読む | Vol.1-①②③ |
| 酸素化編 | 低酸素の原因を構造で理解する | Vol.2・Vol.2.5 |
| 人工呼吸 実践編 | モードから離脱まで順番で整理する | Vol.3〜Vol.5 |

すべてに共通する考え方は一つです

「知識を増やす」のではなく「知識を使う順番を整理する」

── 血液ガス編(Vol.1-①②③)

6ステップ——血液ガスの背骨

血液ガス編の全3巻を通して身につくのは
たった6つのステップです

① pH → 方向を決める

② PaCO₂ → 呼吸で説明できるか

③ 代謝性へ切り替える

④ AGで分ける

⑤ Δでズレを見る

⑥ 代償の確認

この6つをこの順番で実行する
それだけで遭遇する血液ガスのほぼすべてに対応できます

この6つを
正しい順番で
正しい判断基準で
迷わず実行する
ためには
それぞれのステップの
「なぜそうするのか」を理解している必要があります

「このステップで何を確認して結果がこうならこっちへ進む」
——その判断の地図を頭の中に持っていること

それが30秒で答えられる人と
沈黙してしまう人の差です

血液ガス編は
この6ステップの地図を3巻かけて一つずつ組み上げていきます

Vol.1-①:呼吸性を"3行"で即断する

📖 テーマ:ステップ①②——pH と PaCO₂ だけで呼吸性を判断する

遭遇する血液ガスの大半は
まず「呼吸性かどうか」を判断するところから始まります

ここで教えるのが**"3行思考"**です

pH → PaCO₂ → 換気量

この3つを順番に見るだけで呼吸性の判断は完結します
AGも代償もこの段階では一切考えません

こんな人に:
・血液ガスを見ると頭が真っ白になる
・「呼吸性アシドーシスです」と即答する自信がない
・どこから手をつけていいか分からない

読んだ後のあなた:
血液ガスを見た瞬間
3秒でpHとPaCO₂の関係を読み取り
「呼吸性かそうでないか」を即断できる

Vol.1-①を読む

Vol.1-②:代謝性を"順番"で整理する

📖 テーマ:ステップ③④⑤——AG と Δ で代謝性を分解する

Vol.1-①で「呼吸性では説明できない」と判断できたら
次は代謝性の整理です

ここで多くの人が止まります
HCO₃⁻を最初に見て、AGを計算して、補正をかけて
……頭の中がぐちゃぐちゃになる

Vol.1-②では
**「いつ、何のために、どの数値を使うか」**
を一つずつ順番に整理します
AGは「式」ではなく「問い」として使う
Δは「計算」ではなく「ズレを見る道具」として使う

こんな人に:
・「代謝性アシドーシスです」までは言えるが、その先が出てこない
・AGの式は知っているが、結果をどう解釈するか分からない
・補正(Δ)を計算しても「で、どうなの?」と止まる

読んだ後のあなた:
AG上昇型か正常型かを即座に分類しΔで混合性の有無まで判断できる
「pHが低くてPaCO₂が正常なので代謝性です
AGが上昇しているので上昇型です」
——こう言えるようになる

Vol.1-②を読む

Vol.1-③:混合性を崩さず整理する最終章

📖 テーマ:ステップ⑥——代償チェックで混合性を確認する

代謝性の整理ができても最後にもう一つ壁があります
「混合性」です

代償と混合性の区別
Winterの公式
三重酸塩基異常

ここで多くの人が
「……もういいや、混合性アシドーシスって書いておこう」
と思考を放棄します

Vol.1-③では
混合性を
**「見つけにいく」のではなく
「単純で説明しにいった結果、破綻する場所として見つける」**
という考え方で整理します

こんな人に:
・「代償」と「混合性」の区別が曖昧
・Winterの公式を聞いたことはあるが使ったことがない
・「とりあえず混合性」と書いてしまうことがある

読んだ後のあなた:
6ステップの最後のピースが埋まる
どんな血液ガスが出てきても
「順番通りに確認していけば、答えにたどり着ける」
という確信を持てるようになる

Vol.1-③を読む

この3巻で何が変わるのか

Vol.1-①を読むとー呼吸性を即断できるようになる

Vol.1-②を読むとー代謝性を整理して説明できるようになる

Vol.1-③を読むとー混合性で止まらなくなる

3巻すべてを読み終えたとき
あなたの手元には6ステップの完全な判断フローがあります

次に血液ガスの結果を渡されたとき
もう止まらないで答えられるようになります

── 酸素化編(Vol.2・Vol.2.5)

血液ガスが読めるようになったら
次は「酸素化」です

SpO₂が下がった
FiO₂を上げた
それでも上がらない——

こういう場面で止まる原因は
低酸素の原因を「濃度不足」と「肺胞虚脱」に分けて考えていないことにあります

酸素化編では
この2つの原因を構造的に理解し
「FiO₂を上げるのか、PEEPを上げるのか」
を順番で判断できるようにします

Vol.2|酸素化思考

📖 テーマ:低酸素は「濃度不足」か「肺胞虚脱」か

SpO₂低下の原因をまず2つに分類します
FiO₂で解決する問題なのか
肺胞の構造的な問題なのか
この分岐が見えるだけで酸素化への対応は劇的に整理されます

こんな人に:
・SpO₂が下がるとまずFiO₂を上げてしまう
・「酸素化が悪い」の原因を構造で説明できない
・P/F比は計算できるが、その先の判断が出てこない

Vol.2を読む

Vol.2.5|PEEPと酸素化

📖 テーマ:FiO₂ではなく「肺胞構造」で酸素化を作る

Vol.2で「肺胞虚脱が原因」と分かったとき
次に使うのがPEEPです
PEEPをただ「上げる」のではなく
何のためにどこに効かせるのかを構造で理解します

こんな人に:
・PEEPの数値は知っているが「なぜその値か」を説明できない
・リクルートメントの意味がぼんやりしている
・FiO₂を下げたいのにPEEPとの関係が整理できない

Vol.2.5を読む

── 人工呼吸 実践編(Vol.3〜Vol.5)

血液ガスが読めて酸素化の判断ができる
ここから先は人工呼吸器そのものと向き合うフェーズです

モードの選択、気道環境の管理、患者観察、そして離脱——

人工呼吸を「設定」で考えるのではなく
「患者 → 呼吸 → 機械」の順番で考える
この考え方をVol.3からVol.5で一つずつ組み上げていきます

Vol.3|モード構造理解

📖 テーマ:モードは「名前」ではなく「何を保証しているか」

A/C、SIMV、PSV——
モードの名前は知っていても
「なぜこのモードを選ぶのか」を説明できない人は多いです
Vol.3では
モードを**「何を保証してくれる換気か」**という視点で整理します。
名前を覚えるのではなく構造で理解します

こんな人に:
・モードの名前は覚えたが、使い分けの基準が分からない
・「A/CとSIMVの違いは?」と聞かれて詰まる
・モード変更の指示が出ても、その意図が読めない

Vol.3を読む

Vol.3.5|加温加湿

📖 テーマ:肺だけでなく「気道環境」も人工呼吸の一部

人工呼吸の管理は肺だけではありません
気道の加温・加湿が不十分なら分泌物の粘稠度が上がり
チューブ閉塞や無気肺のリスクが高まります
見落とされやすいが呼吸管理の土台となるテーマです

こんな人に:
・加温加湿器の設定を「前の人と同じ」にしている
・人工鼻との使い分け基準が曖昧
・痰が固くなる原因を気道環境から考えたことがない

Vol.3.5を読む

Vol.4|人工呼吸患者の診方

📖 テーマ:画面より先に「患者」を見る

モニターの数値やグラフィックに目が行きがちですが
最初に見るべきは患者です
胸郭の動き、呼吸パターン、表情——
Vol.4では
ベッドサイドで何をどの順番で観察するかを整理します

こんな人に:
・人工呼吸器の画面ばかり見てしまう
・患者を見ても「何を見ればいいか」が分からない
・アラームが鳴ったとき、まず機械を見に行ってしまう

Vol.4を読む

Vol.5|人工呼吸の離脱

📖 テーマ:「余力」と「気道」で判断する

人工呼吸からの離脱は
「SBTをやるかどうか」だけの問題ではありません
患者の呼吸予備力と気道の状態——
この2軸で離脱の判断を整理します

こんな人に:
・離脱の判断基準がSBTの成功/失敗だけになっている
・「まだ早い」と言われるが、その根拠が分からない
・抜管後の再挿管リスクをどう評価するか迷う

Vol.5を読む

このシリーズで、何が変わるのか

血液ガス編(Vol.1-①〜③)を読むと
血液ガスを30秒で整理できるようになります

酸素化編(Vol.2〜2.5)を読むと
SpO₂低下に対して「何をすべきか」を構造で判断できるようになります

人工呼吸 実践編(Vol.3〜5)を読むと
人工呼吸管理を「患者 → 呼吸 → 機械」の順番で考えられるようになります

シリーズすべてを読み終えたとき
あなたの手元には人工呼吸療法の判断フローがあります

「知識が増えた」のではなく
「知識を使う順番が整理された」
その感覚を実感できるはずです

どこから始めるか

迷うなら
Vol.1-①からで大丈夫です

血液ガスの基礎が整理されていないと
酸素化や人工呼吸の理解も曖昧になります
まず血液ガスの6ステップを固めてから
Vol.2以降へ進むのがおすすめです

すでに「呼吸性は分かる」という人は
Vol.1-②から入っても問題ありません

ただし
Vol.1-③は必ずVol.1-①②を読んでから進んでほしいです
③は①②の思考法を前提として書いています

| Vol.1-① | 呼吸性の即断(3行思考) | pH → PaCO₂ → 換気 |
| Vol.1-② | 代謝性の整理(AG・Δ) | AG分類 → Δ → 混合性の手がかり |
| Vol.1-③ | 混合性の確認(代償チェック) | Winter → 代償 → 三重異常 |
| Vol.2 | 酸素化思考 | 濃度不足 vs 肺胞虚脱 |
| Vol.2.5 | PEEPと酸素化 | 肺胞構造で酸素化を作る |
| Vol.3 | モード構造理解 | 何を保証しているか |
| Vol.3.5 | 加温加湿 | 気道環境も人工呼吸の一部 |
| Vol.4 | 人工呼吸患者の診方 | 画面より先に患者を見る |
| Vol.5 | 人工呼吸の離脱 | 余力と気道で判断する |

Vol.1-①から始める

著者について

loosebeat7
臨床工学技士

臨床工学技士として25年以上
人工呼吸療法を中心に臨床業務に携わってきました

「ICU基礎思考」シリーズは
人工呼吸療法を中心にしたシリーズです
25年間で出会った無数の「止まる若手」と
自分自身がかつて同じように止まっていた経験から
教科書には載っていない"思考の順番"を体系化しました

ここでいうICUとは
「Intensive Clinical Understanding」
**"臨床を深く理解する"**
という意味で使っています

この記事は無料です
ICU思考シリーズの全体像を掴むためのガイドとしてお使いください

まずは Vol.1-① から → 記事を読む

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