見出し画像

いま、突然の京都 弐

 仕事が早々と終わってしまったために、はじまった京都観光。
 いつも通り計画性なんてまったくない私は、京都の街をあてどなく歩いては、日本の伝統と、新しさが共存する雰囲気に心を奪われていた。

「早く来ればよかった」
 そんな使い古されたフレーズを口には出したくなかったが、感嘆のため息と、ともに出てくるのは、この言葉しかなかった。

 それにしても、散策すればするほど、さまざまなものに目が惹かれる。
 こんなにも人の心を奪うこの街に、私はすでに虜になっていた。

 今回の記事は、前回の続き。
 よかったら前回の記事と合わせて読んでもらえると嬉しいです。

「オッサンの旅行レポなんて、ちょっと……」
 と、思われる方は、閉じていただいてもOKです。
 
 オッサンの感性全開の記事になっておりますので、よかったら読んでもらえると嬉しいです。


景観を損なわせない奥ゆかしさ。【三井のリパーク】【Manhattan Portage】

「え……!? マジで!? そんなこと、あるの?」
 街歩きをしていて、一番驚いたのは街の色彩の統一。
 伝統的な街並みのイメージを壊さないよう、ギラギラとした色調を街中に配置しないように工夫されていると、同行者から聞いた。

 何を言っているのだか、イメージしにくいって?
 具体的には、これよ。

三井のリパーク
Manhattan Portage

 「三井のリパーク」と言えば、日本全国に展開するコインパーキング。
 イメージカラーである黄色と緑色で、その存在を主張する。
 また、「Manhattan Portage」は赤色と白色で描かれたマンハッタンの街をイメージしている。

 だが、見ていただいたとおり、シックな黒色、茶色、白色のみで看板や店舗がデザインされているのだ。

 この2社だけでない。
 写真を撮り忘れてしまったのだが、「マクドナルド」「ドトール・コーヒー」「モス・バーガー」「AEON」など、全国各地で見られるお店の看板や店舗が、見事にシックなデザインでまとめられているのだ。

「街のイメージを壊さない」
 これを京都という街に進出した企業も、意識している。
 それが、自社のブランドイメージを下げてしまう可能性があるとしても。

 街を自治体、企業、そこに住む人たち皆で守り、作り上げていく。
 そんな「熱い結束力」のようなものを私は、街並みから感じた。

***

 って、歩いていると、ある石碑に目が留まる。

本能寺跡

 って、マジで!?
 こんなビル街のど真ん中にあるんかい!!
 と、突っ込みたくなってしまう。

 前話では、本能寺(移転先)を厳かな気持ちで拝謁したというのに、ここには石碑があるのみ。
 まさにこれが、京都。
 街の中に歴史的な遺物や寺社が、突然現れる。

 ぐぬぬ……。
 気を抜いておったわ……。

「京の台所」の活気に圧倒される。【錦市場商店街】

 今日も街並みを歩みながら、
「おっ!? 人が多くあっちに向かっているぞ」
 と、思いなんとな~く、ついていってみる。
 その先には、「活気」と「粋」が溢れていた。

 足を踏み入れたのは「京の台所」といわれる「錦市場商店街」。
 国内外の観光客だけでなく、地域の人も多く活用していると後から知った。
 何よりも、その熱量がすごい。
 どのお店も試食ができるだけでなく、店頭で購入したものを店内で食事ができる。

 あ。
 あまりの人の多さに、写真を撮り忘れてしまったので、「錦市場商店街HP」から借用をしております。

 いや~。
 すごい活気だった!
 老若男女問わず、何かしらを食べながら商店街を練り歩く。
 人が多くてぎゅうぎゅうにも関わらず、食べ物を誰かにぶつけてしまうこともないのは、この街の「粋」なのか、来訪者の配慮なのか、はたまた、軒を連ねる店主たちの計らいか。

 私もこの活気にあてられお祭り気分で、ぷらぷらとさせてもらった。

 店頭に並ぶ食材も豊富。
 ってか、「こんなものもあるの!?」と目を疑うものもあった。
 海鮮、天ぷら、卵焼き、乾物、漬物、お菓子に茶器……。
 まさに、「京の台所」の名前は、伊達でないと感じた。

錦市場 錦市場HPより

 私は、鱧の天ぷらと、とんぺー焼き、卵焼きが気になったので、美味しくいただきました。
 もちろん……。
 ビールもしっかりと飲みましたぜ……(同行者の目線は痛かったけど)。

歴史的な場所であり、その建築物としての造形にため息。【二条城】

 ほろ酔い気分で「錦市場商店街」を抜け、次に向かったのが日本の大きな転換点となった場所。
 
 「二条城」
 
 第15代将軍徳川義信が、これまでの徳川幕府主導の政治形態から、明治政府主体へとの、号を発した「大政奉還」がなされた。
 歴史の知識があまりない私でも知っている、大イベントが行われた場所だ。

「なんだか、すごそう!」
 という、またしてもミーハー根性丸出しの私は、スキップしながら向かったことは言うまでも無い。
(後からわかったのだが、私が中学生の頃にも訪れていたらしい……) 


「すっげ……!! 豪奢!!」
 まず、口をついて出てきた言葉だ。
 入り口からして装飾のレベルが違う。
 これまで歩いてきた京都の街並みの「奥ゆかしさ」とは、真逆の豪華さが、正面の「唐門」にはあった。

 あ。
 写真撮影が禁止だったので、京都市が発行している印刷物の写真をスマホで撮影して使わせていただいています。
(画質が悪かったら、ごめんちゃい……)

唐門 京都市発行印刷物より

 「金色」と、目を張るような鮮やかな彩が散りばめられた門は、ベースの色が黒色であることによって、その散在感を増している。
 江戸幕府が築いてきた財力、そして、その支配力の強さがここからも感じられる。
 
 もうね。
 ず~っと、あたま上を見上げては、「すげ~」って、言いまくってたよ。
 語彙力が小学生並みになっていた私を同行者は、ニヤニヤ見ていたんだけどね。

 「二の丸御殿」を拝観するとまた驚く。
 襖や欄間、天井の細部に装飾や、力強い絵画など、見ているこちらを飽きさせないだけでなく、少しだけリッチな気持ちにさせてくれる意匠が施されている。

 そんな中でも特に「すっげ~!」って思ったのが、歩いていると、床が「キュッキュッ」って、鳴ること。
 これね、「鴬(うぐいす)張り」って言うらしいんだけど、床の構造でこの音が出せるんだって。

 侵入者がどんなに忍び足をしても、自身の体重で「この音」が発されてしまう。
 これをアラームや警報が無い時代に、「木と目かすがいと釘」だけで、作ったのだから、ぶったまげる。
 すっごいことを昔の建築士の人たちは考えたものだ、と思うと同時に、現代を生きる私たちは、AIやシステム、電気といったものに頼りきってしまい、創造力が失われてしまっているのではないかと、ちょっとだけ反省した。
 まあ、私が反省をすることでは、ないのかもしれんが。

鴬張り 京都市発行印刷物より

 そうして、一番奥までくると大広間が現れる。
 パンフレットの写真では「でん」と、松を基調とした豪華で奥行きのある部屋が示されているが、現地では「大政奉還」を模した人形が配置されていた。
 その演出に心の中でグッとせり上がってくるものがある。
 250年以上続いた徳川幕府。
 日本を戦いの無い世界へと、導いた政権を退く最後の決断をした徳川慶喜はどんな想いであったのだろうかと。

「ほほぅ……。このような形で『大政奉還』は、なされたのか……」
 そう、感慨にふけっていると、同行者がいう。

「そんな人形、見ていても何にもならん。次、いきますよ」
 私の歴史への感傷に浸る時間を返して欲しい……。

大広間 京都市発行印刷物より

夜の街並みは、また別もの【京都三条の街並み】

 一日目の観光(?)、取材(?)を終えて、鴨川沿いのホテルにチェックイン。
 お腹も減ってきたので、食事ができるところをスマホで調べる。

 どうやらお店が集まっている地域が近くにあるとのことらしいので、最低限の手荷物をもって、GO!!
 鴨川に沿うようにその街並みがあるらしい。

 マジでエモすぎる!!

 古くから続く街並みであるにも関わらず、清潔で、しかもどこか怪しさが漂う。
 和食、割烹、ステーキ、ラーメン、イタリアン、フレンチ、中華……。
 バラエティ豊かな店が、まるで江戸時代の長屋のように連なるその様は、私の心を弾ませた。

京都三条の街並み

 さらに……だ。
 いくつかの店の作りが、いや、店への導線がまた、艶っぽい。

 翌日の朝の写真なのだが、見て欲しい。

店への導線

 店と店の間の小道の先に、店の入り口や暖簾があるのだ。
 これは、後から知ることになるのだが、「鴨川」の脇に構える店の中では、一部のものしか手に入れられない場所なのだそうだ。

 マジで、京都、夜も奥深い!!

***

 あちらこちらと、目移りするも、どうにか夕食の席を決めることができた。
 鴨川と、三条駅を目の前にした席は、夜であっても絶景といえるものだった。

鴨川を見ながら夕食を

 今日一日で多くの場所を巡り、その歩数は約2万歩。
 自らの肉体と、感情が揺さぶられた自分をリセットするためにも、美味しご飯とお酒をいただきたい。
 そんな私の気持ちに呼応するように現れたお店に、フラフラと私は吸い込まれてしまった。

 そこで出されたお料理が、まあ、絶品。
 そりゃあ、お酒もすすみますわ。

先だし
お刺身
鰆の西京漬け
フグのから揚げ
ステーキを京野菜と

 この後に、お鍋とご飯、そして、デザートがあったのだから、満腹にならない訳がない。
 そして、お酒も美味しい。

 一つひとつの料理のクオリティが高く、お酒が今日一日の疲れを癒してくれる。
 お店のサービスや、配慮も一流だった。
 一つひとつの所作がきれいな給仕さんが、しっかりとついてくれる。

 そして、驚いたのが、「他のお客さんの声が聞こえない」こと。
 この店に、他のお客さんがいなかったわけではない。
 店の構造、私たちを案内する導線、さらには、客同士が会わないような誘導。
 そんな洗練された、京都の「奥ゆかしさ」をここでも感じるとは、私は思ってもいなかった。

 やっぱ、すごいな。
 京都。

 解放されたような、満たされたような、そんな充実感を私は抱いていた。
 
 
 宿泊先に戻ると同時にベッドに倒れ込み、爆睡していたことは言うまでもない。

 同行者には、
「飲み過ぎです。大人なので、しゃんとしてください」
 と、お小言は言われたが、気づかないふりをした。 

***

 こんな京都をもっと紹介したい。
 作家として活動をして、少しばかりか知識を蓄積したオッサンが、京都を訪れ、その素晴らしさを体感した。
 
 私のような「ほぼ、京都初心者」でもめっちゃ楽しめたので、あなたも絶対に楽しめると思う。

 あ。
 今回のレポートは第2回目。
(1日目、終了)

 この後、3部から、4部でも京都の魅力をご紹介していきます。
 よかったら、続けて読んでいただけますと嬉しいです。


 では、今日はこのあたりで。
 
 あなたには白く輝く明るい場所にいて欲しい。

 白明でした~。

(つづく)

 第一話は、こちらから。

 第三話は、こちらから。

 第四話(最終回)は、こちらから。


いいなと思ったら応援しよう!