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いま、突然の京都 壱

「じゃ、時間もあるし、楽しんでみっか」
 そんな軽い気持ちで観光をするつもりだったが、圧倒的な街の魅力に私は完全に首ったけになった。
 それだけではない。
 この地に対しての想いが強くなった。

 京都という街に。

 私が過去、京都に来たのは中学校の修学旅行。
 それ以来、興味があったものの、足を運ぶことはなかった。
 だが、今になって悔やまれる。
「なぜ、もっと早くこの地をじっくりと味わう時間をとらなかったのか」と。

 今回、仕事が思った以上に早く終ったので、京都まで足を延ばし、つかの間の休息とともに、「取材なんかができたらいいな~」なんていう、ちょっと浅はかな、はじまりだった。

 だが、私は「京都」という街に魅了されてしまった。
 
 歴史、独自の文化、過去と現在の調和、そして、未来に向けた街づくり。
 私たちがイメージしている以上に、この街は懐が深く、しっかりとした方向性を持っていることを今回の訪京で感じた。 

 あるオッサンが、京都の街を30年ぶりに楽しんだ記録。
 正直、興味がないと思ったら閉じてもらって構いません。
 
 ですが、この記事を読んで、あなたが少しでも「京都」に興味をもってもらえたら幸いです。

 では、はじめていきましょう!!


その一つひとつは願いか、悲しみか【伏見稲荷】

 京都駅で新幹線を降り、まず最初に向かったのは、伏見稲荷。
 千本鳥居で有名なこの場所には、どうしても来たかった。

 決して「映え」を欲しがり、来訪したわけではない。
 千本(幾本)の鳥居が連なるさまを一度でいいので、見てみたかった。
 各種のSNSでその風景を見ていたが、今生のうちにこの目で見ておきたかった。
 もしかしたら中学校の修学旅行の際に、訪れていたかもしれないが、私の記憶の中にはまったく残っていない。
 
 そんなポンコツさ加減MAXの私が、ミーハー気分全開で京都に到着するなり伏見稲荷を一目散に目指した。

 あ。
 実はね。
 伏見稲荷に到着した際に、切符を落としていたことに気がついて、改札から出るのに一悶着あったのは、内緒ね・・・(ポンコツ加減がバレる・・・)。

 気を取り直して、本殿に向かう。
 
 あ。
 その前に、荷物が結構かさばるので、コインロッカーに押し込む。
 もう少し軽装で来ればよかったと思うけど、周りを見れば、同じような人ばかり。
「意外と、みんな計画性無く、行動しているんだな……」
 と、一人ほくそ笑む。
(いや、お前が一番、計画性がないだろ……)

 大きな鳥居をくぐり、階段を上る。
 そこには、目に痛いほどの朱で彩られた門があった。
 両脇を狛犬の代わりに、狐が睨みを聞かせているのが印象的。
 
 いつもであれば、チャラっとした気分の私も背筋が「しゃん」とした。 

伏見稲荷 楼門入口

 山門(楼門)を抜けると、順路に従って、歩みを進める。
 インバウンドなどの観光客が多いのではと思っていたが、そこまでではない。
 
 いいタイミングでこれたのではないかと、今回の来訪計画が成功したことを自ら噛みしめる。
「ぐっふっふ……。人も少なくて、よかった……」
 そんな、独り言も、次に訪れた千本鳥居の雰囲気にのまれてしまうことを私はまだ、知らない……。

伏見稲荷 舞殿

 「朱」と「人の想い」が目に、身体に襲い掛かってくる。
 そんな印象を受けた。
 
 中学生の私がこの地を訪れていたら、そんな印象を抱かなかっただろう。
 それだけ、感性に乏しかった私が大人になり、多くのことを感じられるようになったのは、文章を書くものとしての意識を持てたからか。

 噂には聞いていたが、ここまでとは思わなかった。
 どこまでも続く、鳥居。
 「映え」スポットであるのだが、私にはここが、少し悲しく見えた。

続く千本鳥居

 まるで「朱」のトンネルのようにつづく千本鳥居は、私を「次の世界」に誘うように思える一方、なんだか悲しさを孕んでいた。

 これらの鳥居1本1本は、企業や個人の出資などで作られている。
 そこには、「企業成長」や「願い」が込められている。
 その想いすべてが叶うものではないかもしれない。
 だが、次々と鳥居は立てられ続けていく。
 企業や人の想いを背負い、建てられた一つひとつの鳥居は、「その想いの成約を背負わされている」ように私には見えた。

 「映える」と、若干、ミーハー気分で(いや、決してそんなことはない)、来訪した自分の気持ちが凪いでいった。

 人の想いを受け、ただ佇むしかできないこの千本鳥居に私は、ちょっと悲しみを感じた。

***

 千本鳥居を抜けると食事処が軒を連ねる。
 正直、小説の中だけの冗談だと思っていたが、あるものが実在しているのに目を奪われる。

 スズメの丸焼きだ。

 某小説の中で、このスズメを食べる描写が出てくるのだが、正直、冗談だと思っていた。

 ですが……、
「ガチであるやん!!」
 ウズラとスズメが、名物として並べられているのには、衝撃を受けた……。

 自らの学の浅さを恥じると共に、新しい知見を得た……。
(写真は、取り忘れてしまったので、お借りしています……)

スズメの丸焼き(写真はお借りしています)

 そんなある意味、トラウマレベルの事実を知った私は、その足であるお店へ向かう。
 京都の伏見稲荷には知り合いがお店を出している。

 いつかお邪魔をしようと思っていたので、この機を逃してはいかと思っていた。

 使い慣れない地図アプリを頼りにお店に向かう。
 意外と、スズメが売られていたお店から遠くなかったことが、なんとな~く私の心を静めてくれた。

***

 店はどちらかと言えば、日本人に向けた作りと言うより、海外からの人向けに作られているように感じた。

「セットにスル? ソレとも、タンピンね?」
 どうせだったら、英語で話しかけてもらいたい。
 一応、私、それなりに英語、話せるんよ?

 そんな言葉を喉下のギリギリで止め、笑顔で、
「セットで。それとハイボールもお願いします!」
 と、返した私を是非とも褒めてもらいたい。

 異文化コミュニケーションも卒なくこなす、私、シゴデキじゃね?
 と思っていると、同行者から、冷たい目を向けられた。

 いや……。
 わかっていますって……。
 休みなんだから、昼からお酒飲ませてくださいよ……。

 そして、テーブルに運ばれてきたのがこちら。

ドラゴンバーガー with ハイボール

 かぶりつくと、溢れる肉汁。
 暴力的で、動物的な脂が、喉をコロコロと転がっていく。
 それをハイボールで流し込む。
 食肉という凶暴な行為を、炭酸が浄化してくれるのが心地よい。

 多分、混ぜ物を少なくし、牛肉割合を多くしているのだろう。
 これであれば、海外の人でも納得だ。
 あっという間に、平らげ、最後にハイボールを流し込む。

 しっかりと栄養とアルコールを補給し、ここまで歩いてきた疲れも吹っ飛んだ。

「うっし! 次に行くよ!」
 私は鞄をとり、会計に向かう。

 同行者が「チッ」と舌打ちしたような気がした。

雅な街の、街づくり。え? ここにあるの? 【京都市役所】【本能寺】

 伏見稲荷を満喫した私は、ゆるっと宿泊地に向かう。
 やっぱ、腰をしっかりと落ち着けたほうが、観光も楽しめるよね。

 チェックインの時間よりもちょっくら早かったので、クロークに荷物を預け、市中巡りへGO!!
 気持ちも身体も軽くなったので、色々と回っていきます~。

 って。
 ホテルを出ると、目の前にあったのが、京都市役所。
 思った以上の重厚な雰囲気に、ちょっと戸惑ってしまった。

 近代ヨーロッパを思わせるような近代建築。
 京都という街であるにも関わらず、モダンな雰囲気を感じさせるのは、スパイスが効いていて、なんとも言えない。

 市役所の建物であることに、若干の違和感があるが、そういえば、神奈川県庁や横浜市役所もこういった感じだったなぁと思い返すと、なんだか、笑えてくる。

 役所の近代建築ブームが数十年前にあったのかと、ちょっくらニヤニヤとしながら当時の官僚が同じような美的感覚を持っていたのかと、妄想に耽る。

京都市役所

「って、ちょっと待てよ!!」
 月9で有名な、某 〇村拓哉のような一言が出てしまった。

 それくらいに私としては意味がわからなかった。
 歴史的な重要な場所が、街中に「あたりまえ」のようにある。

 そうだ。
 ここは京都だ。
 取り乱したはいけない。
 関東でぬくぬくと生きてきた私の常識が、通じないのはわかっている。

 だが……、それは突然に現れ、私の心を揺さぶった。


 歴史的な建造物や場所が、近代的な街と融合するこの街に私は、心を持っていかれた。
 それが……、「本能寺」(移転先)だ。

 観光用に復元されているのであろうが、それは突然に私の目の前に現れた。

 いや。
 そこに昔からあったんだろうけどね。

 街中の一角に「ずん」と佇むそれは、なんとなく重い雰囲気を持っていた。
 歴史的にも大きな分水嶺となったその場所は、当たり前のように、そこにあった。
 当然のように私は静かに拝謁をした。

本能寺

 こんなにも、当たり前のように、歴史的な場所が存在していることに少しの驚愕を覚える。
 そんな街なのだ。
 この京都という場所は。

 ふと、目を横に向けると、焼け落ちてしまった当時の本能寺にあったという、樹木、石造りが目に留まる。
 これらを信長が見ていたかもしれない。

 そんなことを思うと、少しだけ、私の大好きな人に近づけたような気がした。 

当時の本能寺にあったとされる遺物たち

 すごいよね。
 何度も言うようだけど、街中に歴史的な場所がある。

 今回、京都を訪れて3時間余りで、こんなにも驚き、知的に刺激をされた。

 こんな京都をもっと紹介したい。
 作家として活動をして、少しばかりか知識を蓄積したオッサンが、京都を訪れ、その素晴らしさを体感した。
 
 私のような「ほぼ、京都初心者」でもめっちゃ楽しめたので、あなたも絶対に楽しめると思う。

 あ。
 今回のレポートは第1回目。
 
 この後、3部から、4部で京都の魅力をご紹介していきます。
 よかったら、続けて読んでいただけますと嬉しいです。


 では、今日はこのあたりで。
 
 あなたには白く輝く明るい場所にいて欲しい。

 白明でした~。

(つづく)

 第二話はこちらから。

 第三話はこちらから。

 第四話(最終回)はこちらから。


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