「この人いい人なんだけど、返信はちょっと長い」
その人から返信が来ると、少しだけ身構える。
まだ読んでいないのに、「あとでちゃんと読もう」と思う。
通知に見えているのは二行だけ。
でも分かる。
これは長いやつだ。
嫌いな相手じゃない。
むしろ、すごくいい人だ。
何気なく話したことまで覚えていて、「あれ、その後どう?」と自然に聞いてくれる。
そういう人は少ない。
だから困る。
「土曜どうする?」
そう送っただけなのに、返ってくるのは予定だけじゃない。
待ち合わせの候補。
混みそうな時間。
別案。
こちらへの気づかい。
最後に「もちろん無理なら気にしないで」
読み終える頃には、こちらも何か大事な返事をしなければいけない気持ちになる。
ありがたい。
でも、ありがたさにも重さがある。
昔は、ただ丁寧な人なんだと思っていた。
今は少し違う。
長い返信を書く人は、説明好きというより、誤解を怖がる人なんじゃないか。
足りない一文で相手を困らせたくない。
冷たい人だと思われたくない。
その気持ちが、一文ずつ増えていく。
だから読む側も、急に姿勢がよくなる。
短く返したら悪いかな。
スタンプだけじゃ失礼かな。
そんなことを考え始める。
皮肉なものだ。
相手は返しやすいように書いてくれている。
こちらは、その丁寧さに追いつけなくなる。
善意だけで、少し渋滞する。
以前、「駅から近い?」と聞いたことがある。
返ってきたのは、距離だけじゃなかった。
近い改札。
歩きやすい道。
雨の日なら反対側がおすすめなこと。
最後に、「迷ったら電話して」
ありがたかった。
でも同時に、「ここまで考えさせてしまった」とも思った。
もちろん、向こうはそんなつもりじゃない。
勝手に気にしているのは私だ。
それでも、人は相手が使った時間まで想像してしまう。
だから、いい人なのに気軽に頼れない。
そんな少し変なことが起きる。
でも考えてみると、私も似たようなことをしている。
送る前に、一文足す。
読み返して、また一文消す。
それでも、まだ少し長い。
人の長文に身構えながら、自分も同じことを繰り返している。
笑えない。
最近は、長さより出口なんだと思うようになった。
相手が返しやすい終わり方になっているか。
そこで会話を止めても、変な気まずさが残らないか。
そのほうが、文字数よりずっと難しい。
だから今は、全部返そうとはしない。
「ありがとう」
「ちゃんと伝わったよ」
そのくらいで終える日が増えた。
そのほうが、相手も私も少し楽だから。
今日も通知が鳴る。
二行だけ読んで、少し笑う。
また、この人らしいな、と思う。
そして私も、ちゃんと伝わるくらいの言葉だけを返そうと思う。
今後も、
人間関係の中でふと立ち止まる空気を、少しずつ書いていこうと思います。
この話が少し気になった方へ
📮もし今の悩みを、 少し昔の相談員が読んだら。
📰今週も、 どうでもいいことを真面目に観察していました。
📖人間関係の小さい温度差を観察する話。
🌙生活の途中で、 少し引っかかった景色や気持ちの話。
・自己紹介
どこかで、自分だけだと思っていた気持ちに出会えるかもしれません。
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