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週刊やわらか返信室 第11号「誰にも頼まれてはいません」

皆様、こんにちは。

今週も編集部では、
どうでもいいことに、
それなりの時間を使いました。

それでは、
今週号をお届けします。


今週のインタビュー No.8 
イーバ・ノクス

イーバ・ノクス

地球換算417歳。

地球から約40光年離れた惑星「ノイ・7」出身。

地球生活302年目。

本名は、地球人の発声器官では正確に発音できない。
来日後、自ら「イーバ・ノクス」と名乗るようになり、現在は周囲から「イーバさん」と呼ばれている。

身長186センチ。

淡い灰青色の肌と、大きな黒い瞳を持つ。
普段は濃紺か黒のスーツにネクタイ。
地球へ来た当初は衣服を必要としていなかったが、「着ていた方が話を聞いてもらえました」という理由で着るようになった。

現在は、都内の小さな輸入会社で経理を担当。
勤続十八年。
電卓を使わなくても計算できるが、同僚に気味悪がられたため、今は使っている。

これまで地球上で十二の名前を使った。
同じ場所に長く住み続けると年齢について説明する必要が出てくるため、何十年かに一度、住む場所と名前を変えている。
現在の「イーバ」は、十二代目。

地球の食事はほぼ問題なく食べられる。
好きなものは、焼き茄子と梨。
苦手なものは、熱いもの。
猫舌。
本人によれば、「これは母星でも少数派です」とのこと。

趣味

古い腕時計の収集。
現在、二十七本所有。

特技

一度見た星の位置を忘れないこと。
ただし、方向音痴。

編集部

本日はよろしくお願いします。

イーバ

よろしくお願いいたします。

編集部

地球生活、302年目だそうですね。

イーバ

はい。長くなりました。

編集部

もう地球には慣れましたか。

イーバ

生活には。

編集部

生活には?

イーバ

はい。ゴミの日も覚えました。

編集部

そこですか。

イーバ

最初は難しかったです。

燃えるものと燃えないものは、見れば分かると思っていました。

分かりませんでした。

編集部

302年の中で、地球はかなり変わりましたよね。

イーバ

変わりました。特に夜が明るくなりました。

編集部

母星と比べても?

イーバ

ノイ・7は、もっと暗いです。

夜に落とした物は、朝まで諦めます。

編集部

現在は会社員だそうですね。

イーバ

経理をしています。

編集部

宇宙から来て、経理ですか。

イーバ

安定しています。

編集部

そこは地球人と変わりませんね。

イーバ

社会保険もあります。

編集部

三百年以上暮らしていても、地球でいまだに苦手なものはありますか。

イーバ

夏です。

編集部

やはり、この暑さはイーバさんにとっても厳しいんですね。

イーバ

はい。

ノイ・7には、三十五度という気温がありません。

初めて経験した時は、何かの事故だと思いました。

編集部

今年もかなり暑いです。

イーバ

昨日、日傘を買いました。

編集部

使い心地はいかがですか。

イーバ

素晴らしいです。

もっと早く教えてほしかったです。

編集部

最後に、これから地球でやってみたいことはありますか。

イーバ

来年は、梅雨が明ける前に日傘を買いたいです。

編集部

もう一本ですか。

イーバ

はい。会社に置いておきます。

取材終了後、
イーバさんは日傘を忘れて帰りかけました。
編集部が呼び止めました。

一瞬だけ、漫画だった日

人生を振り返ると、ほんの数秒だけ、

漫画の一コマのようになってしまう瞬間があります。

そんな「あとから思い返すと漫画だった瞬間」を、記録する企画です。

校長先生、参戦の巻

今週の変な日本語

「念のため」

一度確認しました。

でも、

「念のため、もう一度」

と言われました。

二度目も確認しました。

すると、

「最後に念のため」が来ました。

もう、何のためだったかは分かりません。

編集部解釈

威風堂々(いふうどうどう)

古書院りひとの勝手に悩み相談室

質問

古書院先生、こんにちは。

高校二年生、男子です。

軽音楽部で、ピアニカを担当しています。

先生に相談があります。

僕は現在、

原菜乃華ちゃんとお付き合いした時に困らないよう、

いろいろ勉強したり、デートの練習をしたりしています。

頭の中では、

近所の公園からUSJまで、五回以上デートしました。

まだ手はつないでいませんが、何回もデートに付き合ってくれているので、かなり脈ありだと思っています。

ところが最近、困ったことがあります。

学校に転校してきた井上和さんが、僕に言い寄ってくるのです。

本命は原菜乃華ちゃんですが、

最近は井上さんも可愛く見えてきました。

古書院先生なら、こういう時どうしますか。

古書院

世間で言うと、

君はかなり気持ち悪い部類の青年ということになります。

しかしながら、

君のような年代は、

そのような妄想をしている方が、

健全でもあります。

物理学に、

三体問題

というものがあります。

二つの天体なら、

互いの動きを比較的きれいに計算できます。

ところが、三つになりますと、

途端に話が面倒になります。

それぞれが、

それぞれを引っ張るからです。

君。

原さん。

井上さん。

ちょうど三体です。

もっとも、

今のところ、お二人は君の周りを公転しておりません。

君だけが、かなり元気に回っております。

歴史にも、似たようなものがあります。

紀元前43年、

古代ローマでは、

オクタウィアヌス、

アントニウス、

レピドゥスによる、

第二回三頭政治が始まりました。

三人でローマを動かそうとしたわけですが、

最後まで仲良く三人で、という具合には参りませんでした。

レピドゥスは政治の中心から外れ、

やがてオクタウィアヌスとアントニウスも争います。

三人というものは、

政治の世界でも、なかなか難しいのであります。

もちろん、

君の恋愛とローマ帝国には、何の関係もありません。

君は、どちらを選ぶべきか悩んでおりますが、

物理学的に申しますと、

まだ三体問題は始まっておりません。

歴史的に申しますと、

同盟も成立しておりません。

そして現実的に申しますと、デートもまだ一度も始まっておりません。

ですから、

今は安心して、二人とも好きでいなさい。

それより私は、

軽音楽部で、なぜ君だけピアニカなのか。

そちらの方が、

少々気になっております。

編集部装丁

編集部が、 その本の余韻を勝手に表紙と帯にしました。

※当記事にはAmazonアソシエイトリンクを含みます。

📖『孤島の鬼』 江戸川乱歩

編集部帯

逃げ場のない島より怖かったのは、

人間の執念に、ちゃんと理由があったことでした。

編集部コメント

時代はずいぶん違うのに、最初の一ページでもうその世界にいます。

波の音も、海の香りもしてくる。

疲れた時に読むと、しばらく現実から離れることができて、栄養剤を一本飲むより効く気がします。

わかったふり選手権

今週の競技は、

コアコンピタンスです。

会議で、

「うちのコアコンピタンスって、結局どこなんでしょうね」

という話になりました。

何人かが、

ゆっくりうなずきました。

私もうなずきました。

すると、

「具体的には?」

と聞かれました。

全員、少しだけ黒目が大きくなりました。

今週の変な発明

「会釈角度計」

知っている人かどうか、

少し自信がない時に使います。

腕につけた会釈角度計を相手へ向けると、

「12度」

「18度」

「今回は不要」

と表示されます。

その通りに頭を下げれば、

ちょうどいい会釈になります。

性能はかなり正確です。

ただ、表示を見ている間に、

相手はだいたい通り過ぎます。

そのため、あまり売れていません。

一生使わない豆知識

タコの心臓は、 三つあります。

恋するたびに、大変です。

黒歴史保管庫

「筋斗雲は来なかった」

小学生の頃、

本気で筋斗雲を呼べると思っていました。

しかも、

結構な高学年まで。

人のいない山や川辺へ行って、

「筋斗雲〜!」

と叫んでいました。

一度も来ませんでした。

存在しないとは思わず、

自分の念力が足りないのだと思っていました。

今でも、少しだけそう思っています。

今週の一曲 
Daft Punk One More Time


One More Time

今週はこの曲でした。



やわらか返信室では、
現在は主に4つの企画を書いています。


もし気が向いたら

他の企画や自己紹介ものぞいてみてください。

どこかで、自分だけだと思っていたことに出会えるかもしれません。


📖人間関係の小さい温度差を観察する話


🌙生活の途中で思い出す、景色や気持ちの話


📮少し昔の相談員が現代の悩みに答える話


📰編集部がどうでもいいことを真面目に考える雑誌


編集部より

冷蔵庫のプリンに、フルネームで名前を書いている人がいます。
かなり強い意志を感じます。

やわらか返信室 編集部

編集後記

来週は、

編集部も夏休みです。

「増刊号にしますか」

「合併号は」

という話も出ましたが、

そこまでするほどではありませんでした。

ただの休刊です。

今週号はこの辺で。

また再来週、

どうでもいいことを観察してきます。


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