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モーニング天国・土佐の朝ごはん|土佐國食遍路道中01

 「名古屋のモーニング文化」を知ったのは、南国土佐の地で過ごした学生時代に先輩が話題にしたから。けれど当時の自分の生活とはかけ離れた縁のないもので「ふうん、そんなハイカラな文化があるのね」と思ったくらい。「名古屋はモーニングが有名」と頭の片隅にメモ書きしただけで、そのまま時が流れて……

 それなのに、いつの間にかモーニングが大好きになっていたのです。
 お酒を飲まない身としては、粋な居酒屋や雰囲気の良いバーへ繰り出すよりも、一日の始まりをゆったりと楽しめる時空間を求めてしまうのはおそらく必然。

コメダ珈琲も好き

知る人ぞ知る土佐のモーニング文化

 奈良へ帰郷後も度々高知を訪問しています。その度に、現地の元同僚などと朝早くから出かける際は外で朝食(モーニング)を食べていました。いつも当たり前のように。それは元同僚の行きつけの店だったり、或いは地元情報により詳しい知人からの口コミを元に通ったり。そういえば学生時代にルームシェアしていた友人も、モーニングが好きだと言っていたような……
 (当時の私の感覚は「朝から外食なんて贅沢すぎる!」でした)

 そんな訳で、「高知もまた知る人ぞ知るモーニング文化が根付いた土地だ」ということに遅ればせながら気づいてしまったのです。

 高知を訪問する際、いつしかモーニングを食べたいからという理由で嬉々として夜行バスで向かい、より早朝オープンの店をも開拓するようになってゆきました。つまるところ、土佐のモーニング探訪は私のモーニング開拓史の黎明でもあったのです。

パンと味噌汁

 土佐のモーニングは名古屋モーニングと違って、普通に好きな組み合わせのセットメニューを選んで注文します。ただし珈琲を注文しても、オマケは付いてきません。

 特筆すべき「土佐のモーニング」の特徴の一つは、味噌汁が付いていること。主食がパンであっても、当たり前のように並置されています

「この味噌汁付きが高知のモーニングでね」(土佐弁)

 現地の友人もそのように言います。
 モーニングは各地にあれど、「味噌汁付きモーニング」はどうやら土佐のモーニングのアイデンティティの一つらしいのです。

パン屋に併設されたカフェのモーニング
(味噌汁付き、ミックスジュースの種類も豊富)

 ただし全てのモーニングに必ず味噌汁を付けるルールがある訳ではなく、「お、コレコレ」と内心で思うだけのこと。付いていないお店もあります。

喫茶店のおにぎりモーニング

 朝は「ご飯と味噌汁」で育った私は、ホテルの朝食、いわゆるコンチネンタルブレックファーストが苦手でした。

コンチネンタルブレックファースト|ヨーロッパ大陸風
パン(トースト、ロールパンなど)と飲み物(ミルク、珈琲、紅茶など)
※最近はフルーツが付くことも

アメリカンブレックファースト|アメリカ風
コンチネンタルブレックファースト + ホットミール
卵料理(オムレツ、目玉焼き、スクランブルエッグ、ゆで卵など)
肉料理(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)

 美味しくないんじゃない。もう少し水分が欲しい。
 温かい朝食だとホッとするし、ジュースではなく、食べ物に含まれた状態の水分を身体に入れたい。何より日本人にとって「ごはん(米)」はソウルフードなのだし。
 つまり朝から入魂したいってわけです。特に旅先では。

 そんな夢を叶えてくれるTHE和食朝ごはん。有るところには有りますよね? 和食モーニングファン、実は多いと思う。

喫茶店のおにぎりモーニング|高知のお米おいしい

 こちらは普段は喫茶店。この「おにぎりモーニング」以外のメニューはいずれもトーストで、味噌汁&トーストの組み合わせは「みそ汁モーニング」と表記されています。やっぱりね。

 つまり味噌汁もソウルフード

 こちらのお店はご夫婦で切り盛りされていて、最近お邪魔した際、レジ台に「○月○日は金婚式のためお休みさせていただきます」といったお知らせが小さく表示されていました。
 お会計の際に、一言だけ「おめでとうございます」とお伝えして外に出ましたところ、とっても清々しい一日が始まりました。

 これってファストフードじゃ得られない温かみだと思うのです。
 そしてモーニングと言いつつ、7時〜13時までの提供。

産直市の食堂ごはん

 モーニングを提供するお店は高知市内だけでなく実は郊外にも多く、より自由に、バラエティ豊かに展開されているように感じます。

 夜はさっさと寝て朝早くから動きたい私にとって、ゆっくり朝食を取ることができる早朝開店のお店は自分のリズムによく馴染みます。朝早くから外で人を見かけるのは、それだけ活気がある土地柄ということでしょう。

 高速のSAや道の駅で朝食をとる人も居ますよね。
 加えて産直の食堂もいいぞ、と言い添えておきたいのです。

小さな親子丼とお味噌汁(好きな小鉢を追加するスタイル)

 初めて「雑炊モーニング」に出会ったのは京都の百万遍あたりでした。
 その時ももちろん感動したけれど、高知にも当然のような顔をして存在します。きのこ雑炊で始める朝。加えて煮魚の小鉢チョイス。最高オブ最高。

きのこ雑炊と魚の煮付け小鉢

 良いな、と感じる一番のポイントは、観光客でごった返す場ではなく、地元の人たちが朝からのんびりと過ごしているところ。
 平日でもここで朝ごはんを食べている方が結構多いのです。

田園カフェの贅沢サラダ

 特に一次産業が盛んな高知県は、何を食べても美味しい。
 本当にこの土地で生きること自体が幸せではなかろうか、と思えるほど毎日が楽しい。食べているだけで。

 食材が上質、それはもう当然のこととして、何より食べる場を作る人が楽しんでいる。そういう作り手が好きだから、地元の人たちもその場に自然と集まって元気になる。高知はそういう土地柄だと感じます。

 そしてSNSよりも口コミの方が断然強力な情報媒体なのです。
 それこそがオーバーツーリズムにしない構造だと思います。

はちみつシナモントースト+パスタサラダ+オリジナルスムージー&ヨーグルト

モーニングプレート・オン・アート

 どう考えても作り手が楽しんでいる。
 そう感じるのはそれぞれに「工夫」が散りばめられているから。

 市内のとあるパスタ屋のモーニングでワッフルを頼んでみました。
 いやもう、オシャレだね〜。ミックスジュース大好き。
 スケッチが好きな方は、つい描きたくなってしまうのでは?

パスタカフェのワッフルモーニング
(ミックスジュースは定番、パスタも付いている)

 特筆すべきは朝ごはんを乗せたプレート、を乗せたトレー

 よく見てくださいまし。
 こちら、クレラー=ミュラー美術館所蔵のゴッホの『アルルの跳ね橋(ラングロワ橋)』(1888年)ではありませんか?

 クレラー=ミュラー美術館と言えば、『大ゴッホ展』で展示される、ゴッホの絵画の数々を所蔵するオランダの美術館ですね。(ゴッホはオランダ出身)

 流石の私も皿をのけてまで、トレーの写真を撮るなんてことはできませんでしたが、「いや、これはもうアレだろ?」とテンション爆上がりました。

チーズへのこだわりに定評がある

 パンと言えばチーズ!(高知だけにアンパンマンか!)

 チーズと言えばフランスやイタリアを思い浮かべますか?
 私の中でチーズといえば断然スイス!

 とある郊外で、スイス人の方をお迎えしたご家族が営むチーズ屋さん。
 そこで提供されるモーニングがまた格別で、何度も通いたくなります。
 とろけるチーズ! はみ出す美味しさ!

ちょこっと盛られた白米がまた可愛らしい

 店内ではスイスチーズも購入できたのだけど、残念ながら県外へお引越しされたそう。追いかけたい……。

喫茶店・カフェに留まらず……

 シンプルなお店もあれば、フルーツやゼリーなど豪華に乗ったモーニングも多い。嬉しいし、楽しい。(夜より朝食をしっかり食べたい派)

チーズトーストやクロックムッシュがあると、つい選んでしまう

 モーニングと言えば喫茶店のイメージが強いと思うのですが、土佐のモーニング提供店はかなり幅広い。

 日替わりや定食ランチが好きで良く利用するお店は、本当はお好み焼き屋ですが、モーニングも提供しています。メニューも多い。

 サンドイッチとおにぎりのハーフ&ハーフを選ぶと、やっぱり味噌汁が付いてきました。そして茶碗蒸しやお惣菜、コーヒーゼリーも付いている。
 ミックスジュースも頼めば、ほら、カオスの出来上がり。

 絵面だけを見ると、ホテルのビュッフェモーニングと見紛ってしまうほど。でもその食卓は鉄板の上なのです。

お好み焼き屋のサンドイッチとおにぎりのハーフ&ハーフモーニング
(味噌汁と茶碗蒸し付き)

人はそれをモーニングと呼ぶのか

 もうお腹いっぱいです。さようなら。

 そんな風にUターンしてしまった方がいるかもしれない中で、ここまで共に歩んでくださった方は同志!
 でも、土佐のモーニングを甘く見てはいけません。

 これもモーニングの風景、ある朝の一コマなのです。

住宅街にあるカフェのビーフシチュー・モーニング

 こちらのお店は昼には昼の、夜には夜のメニューがそれぞれ別にあって、このビーフシチューは歴としたモーニングのメニューなのです。
 ミックスジュースにするか激しく悩んだ末、アイスティーにしました。

 幾度となく高知へ足を運んでしまう。
 それは何度赴いても、新たな発見があるからです。

 余談ですが、後日、夕食の残りのビーフシチューで自宅モーニングをやってみました。(キャベツを適当にざく切りにしたせいで食べ応えが凄い)

昨日のシチュー、朝ゴパンのお供

 なぜお店のような風景にならないのでしょうね。

土佐のオープン・マインド

 ビジネス?
 そりゃあそうでしょうけれど、そういう空気をまるで感じない。

 そんな話は「ああ、そうですね」と受け流して、快く代金を払いたくなる。何より、遠方から来てもらわなくたって成立するような、地元の人が地元を大切にしているのがヒシヒシと伝わってくるのです。

 それでいて外に対して閉じていないのが凄い。
 坂本龍馬が見つめた大海原、空海が悟りを開いた時に見た拓けた空と海。
 南国・高知で過ごしていると、そのような雄大な環境を当たり前に感じながら生きている人間が形作った社会は、ゆったりとしたオープンな町になるのだな、と目の当たりにした気分になります。

高頻度で利用する行きつけのお店(ホットサンド好き)



 さて、こちらは情報商材でも観光案内でもありません。
 アマチュアの地誌研究誌なんです!(と言い張る)

 地元の方が「あ、これはあの店だ」と、知る人ぞ知ることで内心ニマニマしてくれるようなものを目指しております。
 そのためお店の情報は公開しておりませんので悪しからず。

お店を特定してしまう情報は心の内にそっと仕舞っておいてくださいませ

フルーツサンドのモーニングセットに味噌汁が付いていても、もう驚きませんよね?
もちろんパンケーキに味噌汁でも


掲載する写真は全て筆者本人が撮影したものです

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綺世界探訪|地誌と民俗を辿る いつもご覧くださり有難うございます。 いただいたチップはフィールドワークなどに充てさせていただきます。 でも記事への「スキ」が一番嬉しい。 匿名(アカウントなし)でも「スキ」を押すことができます。