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ポンコツでいられる場所をつくる人——ユニクル株式会社・高野さんのこと│インナーストーリーの宝石箱

「会ってくれませんか」と言ってしまった

ある日、ユニクルカードの交換会に参加した。実は、私はユニクル株式会社のインタビュアーとして関わらせてもらっていて、代表のトッティさん——高野さんとは、オンラインでは面識があった。でも、「私をつくる100人対話」のために対面でまとまった時間をお願いするのは、申し訳ない気がしていた。お忙しいのは分かっていたから。

その日の講演が終わったあと、交換会が始まった。登壇していた神宅さんに「お話を聴かせてもらえませんか」とダメ元で声をかけたら、あっけないほどすんなり受け入れてもらえた。他の方々にも声をかけると、みんな満面の笑みでOKだった。

では、トッティさんにも。そう思って、チャンスを見つけて声をかけてみた。

「もちろんです。ただ、息子の受験が終わってからでいいですか」

断られなかった。それどころか、「もちろん」と言ってくれた。受験が終わるのを待って、時間を調整して、ようやく対面でお会いできたのが今回だった。

声をかけたのは私のはずなのに、ほんとうに受け入れられたのは、私のほうだった。その感覚を、いまでもよく覚えている。

「3つ」で生きている人

横浜・42階の眺めのいいオフィスの一角で、改めてお話を聴かせてもらった。話すうちに、トッティさんの中には何人もの「トッティさん」がいることが見えてきた。

ひとりは、明るくて、人を惹きつけて、「行くぜ!」とチームを奮い立たせる人。もうひとりは、冷静に、ロジカルに、お客さんの課題を分析して詰めていく人。営業資料をつくっているときの彼は「かなり怖い」のだそうだ。

「どっちが本物ですか」と私は尋ねた。古い友人の中には「お前の基本は真面目なほうだ」と言う人もいれば、「いや、お前はふざけてるほうが基本で、無理してロジカルやってるだろ」と言う人もいるらしい。

トッティさんの答えは、こうだった。「どっちが本物とかないんですよ。両方かなと思う。両方楽しいし、無理もしてないし、今はそういう場面だよなと思って、じゃあって切り替えてる」。

そして、もうひとり。「できない自分も、ちゃんといるんですよね。本当にポンコツな部分も」。

明るい自分、ロジカルな自分、ポンコツな自分。トッティさんはこの「3つ」で自分が成り立っていると言った。

ポンコツを、手放さない

ここで誤解しないでほしいのだけれど、トッティさんは決して「ポンコツなだけの人」ではない。むしろ逆だ。

プラント会社のエンジニアとして世界を舞台にバリバリ働いていた人。MBAを取るために、定時で働いたあと片道一時間かけて夜の授業に通い、終電で帰ってまた朝出社する生活を、週4で何年も続けた人。電車の中でパソコンを開いてレポートを書きながら。「ただ明るいだけじゃダメで、なぜそうなのかをロジカルに押さえておかないと、ただのバカになっちゃう」——その裏付けを、自分の足で取りに行った人だ。

彼が心から尊敬する人として語ってくれたのが、前職時代の先輩・Mさんだった。普段は「俺はバカだからよ、お前たちやってくれよ」と任せている。周りは「Mさんを男にするために」と働いて盛り上げる。けれど、本当に困ったトラブルが起きると、ふいに出てきて、流暢な英語でお客さんをガンガン説得して、解決して、またスッと帰っていく。「どこがバカやねん、って思うんですよ。かっこよくないですか」。

そう語るトッティさん自身が、まさにその系譜の人だと、私は話しながら思っていた。本当はちゃんとできる。実力がある。だからこそ、凹みをわざわざ手放さないでいられる。

なのに彼は、自分の「ダメなところ」をいくらでも差し出してくる。

いまいちばん辛いのは情報セキュリティの対策で、苦手だから後回しにして、メンバーに「ユニクル潰す気ですか」と本気で怒られる。地元のバスケチームでは万年下手くそで、十数年、毎回怒られながら通い続けている。「なんで辞めないんですか」とまで言われるのに、辞めない。

「天狗になった人って、魅力がなくなるんですよ」と彼は言った。「だからちゃんと、ダメな自分も受け入れていかないと」。

これは、彼の会社のプロダクトの思想とまっすぐつながっている。ユニクルカードのスキルチャートは、五角形をわざと1個へこませてある。「全部MAXにしてって言う人もいるんですけど、そうすると全然可愛くないんですよ。凹みがあるから、人って可愛い」。

自分のプロダクトで言っていることを、彼は自分の生き方でそのままやっている。

ポンコツでいられる人が、集まってくる

おもしろいのは、トッティさんの周りには、同じように「ポンコツを出せる人」が集まっていることだ。

役員には本気で叱られる。「何やってんですか」と。それでも彼は、悪意でない言葉なら、きつくても受け入れると言う。「そんなことで言われたくらいでなくなるようなプライドじゃない」。

彼が「自慢の友達」と呼ぶ人たちも、みんなどこか突き抜けていて、人間として面白い。「バカができる人が、最強の人材だと思うんですよ」。ロジカルに仕事ができる、その上で、ふざけられる、抜けたところを見せられる。そういう人を、彼は心から信頼している。

凹みを見せ合える人たちが、彼のまわりには、自然と集まっている。いや——自然と、ではない。彼が、そういう場をつくっているのだ。

だから、私の挑戦も受け入れられた

ここまで書いて、私はようやく腑に落ちた。

あの日、無謀にも「会ってください」と言った私の挑戦が、あんなにすんなり通った理由。それは、トッティさんと、その周りの人たちが、「挑戦を受け入れる土壌」をすでに持っていたからだ。

ポンコツでいい。できないことがあっていい。やってみて、違ったらまた変えればいい。「正解なんてねえよ、お前が正解にするんだよ」——彼が学生たちに言っているこの言葉が、場の空気そのものになっている。

その土壌に迎え入れられて、私の「100人対話」は一気に動き出した。トッティさんを起点に、ここで知り合った方とそのご家族、合わせて6人もの方とお話しさせてもらうことができた。ひとつの出会いが、クラスターのように広がっていったのだ。


トッティさんが目指しているのは、一人ひとりが自己肯定感を持って、つながりの中で前に進んでいける場をつくること。その理想を、彼はいつも熱く語る。けれど、理想は誰でも語れる。大事なのは、それが本当に機能しているかどうかだ。

私は、その場に入れてもらった一人として、断言できる。トッティさんの理想は、ちゃんと動いていました。机上の話ではなく、現に、私という人間がその恩恵を受け取った。これは、彼の目指すものが現実に機能している、何よりの証拠だと思う。

「行くぜ」の人の、足元

最後に、ひとつ。

夕方5時の帰りのエレベーターで、「お帰りになるんですか」と聞いたら、トッティさんは「次は家のことをやって、夜はインタビューです」と言った。家のこと?と聞き返すと、会社員時代と比べて、いまは給料が8分の1になったのだと、さらりと教えてくれた。だから奥さんにも仕事を頑張ってもらっていて、自分も家のことは可能な範囲でやるようにしているんです。 まぁそれでも、僕以上に負担を奥さんにかけてしまっているので、本当に感謝しかないんですけどね、と。

42階から日本を変える夢を語る人が、その足で、ちゃんと生活を背負っている。ひとり社長として奮闘しながら、家族で一丸となっている。

「行くぜ!」の明るさも、ロジカルな鋭さも、後回しにして怒られるポンコツも、そして家庭を支える静かな顔も。ぜんぶ込みで、トッティさんという人なのだと思う。

トッティさん、本当にありがとうございました。あなたがつくった土壌のおかげで、私はここまで来られました。ユニクルカードを採用した会社さんにも、きっと同じことが起きています。


ユニクルカード交換会ってどんなの?とお感じですよね。こちらの神宅さんの記事もぜひご覧ください!

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「私をつくる100人対話」を完走したら起きたことをまとめました。
こちらも読んでいただけたら嬉しいです^^

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あらがき ゆきこ|インナーストーリーを探り当て、魅力を「手の内」に

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