半額サンドイッチに救われた夜
スーパーの棚に、値引きシールの貼られた
サンドイッチが並んでいた。
40%引き。
私は少し立ち止まって、それを手に取った。
今日はこれでいい。
そう思った。
朝から、長い一日だった。
息子の行き渋り対応から始まって、
話を聞いて、朝ごはんを作って、送り出した。
一人になって窓の外の公園に目をやった。
その瞬間、
朝から張りつめていたものが一気にほどけた。
疲れがどっと押し出されてきた。
しばらく、何もできなかった。
少し気持ちを立て直して、仕事へ行った。
帰り道、ようやく少し前向きになりかけていた。
今日も終わった。
明日はもう少しうまくやれるかもしれない。
そんなことを思っていた。
帰宅したら、また始まった。
教科書がない。
あれがない。
これが困った。
ようやく気持ちを
整え始めていたところだったのに。
またそこへ引き戻されたような気がして、
私は玄関で立ったまま話を聞いていた。
もう疲れた。
今日はもう頑張れない。
モヤモヤした気持ちを何とか振り切りたくて、
ジムへ向かった。
身体を動かした。
怒りとか。
悲しさとか。
疲れとか。
そういうものを、
とりあえずカロリーに変えてきた。
帰りにスーパーへ寄った。
サンドイッチ売り場に値引きシールが並んでいた。
40%引き。
その瞬間、
「ああ、今日はこれでいいや」
と思った。
いつもの私なら、もう少しちゃんと考える。
野菜は足りているか。
タンパク質はどうか。
ご飯は炊いた方がいいか。
栄養バランスは大丈夫か。
でも、その日は違った。
今日はもういい。
今日は頑張らない。
そう思った。
サンドイッチをかごに入れた。
家に帰って、野菜スープだけ作った。
鍋から湯気が上がる。
それを見ながら、ふと思い出した。
そういえば昨日、
カルピスゼリーを仕込んでいた。
冷蔵庫を開ける。
ちゃんと固まっていた。
それで十分だと思った。
夕飯は、ほぼ無言で食べた。
野菜スープの湯気が、静かに立っていた。
食べ終わって、
カルピスゼリーを冷蔵庫から出した。
昨日の自分が仕込んでおいてくれた、
ただのゼリーだ。
でもその日は、なんだかありがたかった。
昨日の自分、よくやった。
それを食べながら、少しだけ肩の力が抜けた。
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