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今日は夫の【凸凹なところ】に恋をした。― パリまで5時間、助手席で見えたこと。― |2026.07.15

はじめに

このエッセイは、

国際結婚と、海外生活と、マルチリンガル育児の中で、

私が日々つまずきながら、

「わたしらしく生きる」ための実験の記録です。

「毎日、夫に恋する生活を。」

2026年の元旦に、そう決めて、

「今日の夫の好きなところ」を、

一つだけ、言葉にしています。

それだけで、同じ一日が、

少し違って見えることがあります。

完璧な妻でも、理想的な母でもありません。

それでも、結婚と子育てを通して、

女性として、妻として、母として、人として、

成長していきたいなと。

今日もこの記録が、

誰かの生活の中の、

小さな呼吸になりますように。


最後の朝

7月15日。

別荘を発って、

マミーのいるパリへ戻る日です。

午前中は、荷造り。

そのあいだ、

おじいちゃんたちと息子が、

最後の時間を過ごしていました。

お義父さんが趣味で集めている指人形や、

今回の滞在のために

買っておいてくれた本やおもちゃで、

一緒に遊んで。

夫も、その隣にいました。

父親になった自分と、

自分の父親が、

並んで、一人の子どもを見ている。

祖父、父、息子。

3世代が、

床の上で、

同じおもちゃを囲んでいる。

私はその輪を、

少し離れたところから

眺めていました。

次に会えるのは、来年の夏。

来年もまた、

ここで一緒に過ごせますように。

その祈りを、

たぶん全員が、

口には出さずに持っていました。

去年、

余命の話が出た人です。

「また来年」という言葉が、

当たり前じゃないことを、

この家族はみんな、知っている。

だからこの、

なんでもない床の上の時間が、

きらきらして見えました。

パートナーさんの、言葉

出発のとき、

お義父さんのパートナーさんが、

声をかけてくれました。

とても楽しい時間だった、と。

本当の孫みたいに

息子と接してくれて、ありがとう。

私がそう言うと、

彼女は、こう返してくれました。

そういう役回りにさせてくれたのは、

あなたたちのおかげだよ、と。

去年は、

お義父さんの余命宣告のあとで、

半分くらいに痩せてしまった義父の

看病をしながらの滞在でした。

あのときのことを、

お互いに思い出しながら。

今年また、

新しい思い出を作れたことに感謝しながら、

私たちは別荘をあとにしました。

同じ場所で、

去年は看病を、

今年は思い出を。

一年で、

こんなに景色が変わるんだな、と思いました。

5〜6時間の運転

私は、運転ができません。

だから、

パリまでの5〜6時間の道のりを、

夫が一人で運転してくれました。

ベトナムでは、

夫も車をまったく運転をしません。

移動はバイクかタクシーだから。

その人が、

フランスに来ると、

家族全員を乗せて、

長距離を、安全運転で運んでくれる。

同じ人なのに、

国が変わると、

できることまで変わる。

国際結婚をしていると、

こういう「もう一つの顔」に、

ときどき出会います。

木陰の、サンドイッチ

途中、

サービスエリアで休憩しました。

こちらのサービスエリアは、

トイレと駐車場があって、

たいてい、ピクニック用の

ベンチと机がある。

お店は、あったりなかったり。

公園には木がたくさん生えていて、夏でも涼しく過ごせる。

場所によっては

子ども用の遊具もついています。

お昼は、

お義父さんが仕込んでくれた

バゲットのサンドイッチと、

ボトルに入れたコーヒー。

フランスは物価が高いので、

外食は特別な機会、という家庭が多い。

だから、

いろんな親族を回る私たちには、

出発のときに、

ホストしてくれた家族が、

その土地のチーズやサラミを

たっぷり挟んだサンドイッチを

持たせてくれるのが、定番。

木陰のベンチで、

そのサンドイッチを食べました。

パンの端から、

はみ出したサラミをつまみながら、

ああ、これがフランスの移動だな、なんて。

高速道路の途中に、

こんなに緑があって、

こんなにゆっくり食べる国も、

なかなかない。

今はまだ、この国に住む勇気はないけれど、

子育てには素晴らしい環境だなと。

助手席で、見えてきたこと

帰りの道は、

取り止めのない会話をしたり、

ラジオを聞いたり、

二人の思い出の曲や、

フランスの夏っぽい音楽を流したり。

助手席に座りながら、

今回のことを、

ゆっくり考えていました。

お義父さんのところに来て、

いろんなことが見えた気がします。

なぜ、夫が今の夫なのか。

なぜ、そういう人生の選択をしてきたのか。

そのルーツがどこにあって、

なぜ19歳で、海外に出たのか。

強みも、弱みも、

こういう家庭で育って、

こういう人を父親のモデルにしてきたんだな、と。

そう思ったら、

今までの言い争いや喧嘩が、

なぜあんなふうになったのかまで、

すっと入ってきた気がしました。

歪みを、好きになったはずだった

そして、車の中で、

ひとつ、大きく腑に落ちたことがあります。

私も、

けっこう変わり者です。

そして夫は、

その変わり者の私が、

「この人はめちゃくちゃ変わってるな」

と思うくらい、変わっている。

私は、

そういうところが愛おしくて、

パチッとハマった感じがして、

この人と結婚して、家族になりました。

だとしたら、

その人に「全部」を求めるのは、

おかしなことなんだろうな、と。

少し出っ張っている、

その飛び抜けたところを

好きになったのに、

その反対側の、

引っ込んだところに、

当たり前や常識を求める。

それは、そもそも無理がある。

7月に入ってから、

私はずっと、

夫の「足りないところ」を

数えていた気がします。

でも本当は、

その凸凹ごと、

私はこの人を選んだんでした。

出っ張りだけもらって、

引っ込みは直してほしい、

なんて、都合がよすぎる。

もちろん、

家族として、親としての

バランスは必要です。

その調整は、

これからもずっと続いていく。

でも、

彼の凸凹を直そうとするより、

その凸凹ごと選んだんだった、と

思い出したら、

すっと、肩の力が抜けました。

結婚は、ただの過程だった

結婚する前は、

結婚すれば、それで家族になれる、

と思っていました。

でも今は、

結婚って、

ただの入り口でしかないな、と思います。

こうして、

話し合いや、

いろんな経験と思い出を積み重ねながら、

少しずつ、

本当の家族になっていく。

7月に、あれだけぶつかったことも、

たぶん、その過程の一部なのかな・・・なんて。

助手席から、

流れていくフランスの景色を見ながら、

そんなことを考えていました。

後部座席では、

息子が、チャイルドシートで

すやすや眠っていました。

揺れるとすぐ寝てしまうのは、

私の子どもの頃と、同じです。

凸凹なパパと、

凸凹なママの、

その間で、

小さく丸くなって眠っている。

おかえり、を待っていた人

マミーの家に着いたのは、

夕方の17時ごろでした。

私たちの帰りを、

待ち遠しくしていたマミーが、

窓から、こちらをそわそわしながら見ていました。

車が着くと、

そそくさと迎えに出てきてくれた。

アペロをして、

ディナーを食べて。

明日からは、

マミーと4人で、3泊4日の旅行に出ます。

これも、

夫が全部手配してくれたもの。

だから今日は、

早めに休むことにしました。

今日の夫の好きなところ

【凸凹なところ】

別荘からパリまで、

5〜6時間の道のりを、

夫が一人で運転してくれました。

私は運転ができないから、

助手席で、

流れていく景色を見ていた。

お義父さんの家で、

いろんなことが見えました。

なぜ、この人が今のこの人なのか。

強みも、弱みも、

どこから来ているのか。

そうしたら、

7月にあれだけぶつかったことも、

すっと腑に落ちました。

私も、けっこう変わり者です。

そして夫は、

その私が「変わってる」と思うくらい、

もっと変わっている。

その凸凹に、

パチッとハマった気がして、

私はこの人と家族になりました。

だとしたら、

その人に「全部」を求めるのは、

おかしなことなんです。

出っ張ったところを好きになったのに、

引っ込んだところに

常識を求めるのは、無理がある。

彼の凸凹を直そうとするより、

その凸凹ごと選んだんだった、と

思い出したら、

肩の力が、すっと抜けました。

今日の夫の好きなところは、

【凸凹なところ】


▼ 「今度は、引いてくれたこと」昨日の話はこちらに。

今日は夫の【今度は、引いてくれたこと】に恋をした。

▼ お義父さんが、どんな人かはこちらに。

余命数ヶ月から1年。義父は今朝も走りに出かけた。

▼ このシリーズを最初から読む。

毎日、夫に恋する生活を。|Day 1〜

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