レロイ・サネへの期待、そして失望
アイドル、レロイ・サネ

2015年にドイツ・ブンデスリーガにのめり込んだ私にとって、レロイ・サネはアイドルだった。FCシャルケ04時代にUEFAチャンピオンズリーグでレアル・マドリードCF相手に決めた一撃、ペップ・グアルディオラとともに渡ったマンチェスター・シティFCでの輝き、すべてに魅了された。当時、ラ・リーガを観ていなかった私には、リオネル・メッシよりもサネがスターだった。
とくに2017/18シーズンにマンチェスター・シティでみせたプレーは圧巻だった。ダヴィド・シルバとの連携、相手選手4人を翻弄したニューカッスル・ユナイテッドFC戦のドリブル、アンフィールドで決めた得点など、すべての活躍がサネの才能の大きさを物語っていた。2018年のW杯に出場するサッカードイツ代表にサネが招集されないことが決まったときには、ヨアヒム・レーヴ監督の判断を理解できなかった。
FCバイエルン・ミュンヘンへの移籍

語弊を恐れずにいえば、サネの才能を潰し、キャリアの歯車を崩したのはレーヴだっただろう。実際、2018年を境にサネのキャリアは不安定さを帯びるようになった。絶対的な主力だった前季に反し、2018/19シーズンのサネはマンチェスター・シティで定位置を失った。2019年にはFCバイエルン・ミュンヘンへの移籍が内定。しかしプレシーズンに大怪我を負い、移籍は白紙となる。
怪我が完治した2020年、欧州王者に輝いたバイエルンへ移籍したサネは、古巣FCシャルケ04との開幕戦で活躍。しかし、シーズンが進むにつれてハンジ・フリック監督の信頼を失い、控えに降格した。ユリアン・ナーゲルスマンが監督に就任した2021/22シーズンには、同監督の指導もあってトップ下としての新境地を開拓。徐々に安定したプレーを披露し、ドイツ代表にも召集された。
レロイ・サネの問題点

しかし、サネが随所でみせる負の側面は解消されなかった。集中力を欠いたプレー、パスカットやバックパスのミス、無理なドリブルを仕掛けての被カウンターは、高い守備ラインを敷くバイエルンやドイツ代表にとって致命的な「穴」だった。とくにドリブル面の限界は、大きな問題だ。サネは決してカットインが得意な選手ではない。
もちろんスピードに乗った仕掛けでカットインへと持ち込むことができればチャンスだ。しかし、サネはアリエン・ロッベンやマイケル・オリーセがみせるようなキレや柔軟性はなく、一度カットインすると切り返すことができない。縦に突破しての右足という選択肢がないため、相手はカットインだけ警戒していれば守れてしまうのだ。
実際、試合を見ているとサネを右サイドで起用することがあまり効果的でないことは一目瞭然だ。となるとサネは左サイドで起用すべきかという議論になる。たしかにサネは左サイドで起用した方が実際にはいいプレーをする。しかし、サネはクロスを得意とする選手というわけではなく、縦に突破してからの選択肢が少ない。守備意識は批判されているほど低くはないが、成長の余地があるように感じる。
マックス・エバールはサネとの契約延長にむけて準備を進めているという。ここまでのリーグ戦で9ゴール4アシストを記録していることを考えれば当然だ。しかし彼への期待は下がる一方だ。試合中にベンチでみせた首脳陣を批判するような可能な行為は目に余る。正直、サネがチームにもたらすのは、プラスな面よりもマイナスな面の方が多い。何が起こるにせよ、クラブは重要な判断を下していかなければいけない。
この文章を書いている途中、レロイ・ザネのガラタサライへの移籍が発表されました。折角、途中まで書いていたので公開し、ザネへの餞別とします。本当に残念です。さようなら。
