「水曜日のダウンタウン」に学ぶ【01】 企画の本質。子ども会やイベントで試したい「当たり前」を切り離す発想
「当たり前」を疑う。
口で言うのは簡単ですが、実行するのはこれほど難しいことはありません。
先日、僕が一番好きな番組で、欠かさずチェックしている『水曜日のダウンタウン』を見ていて、そのことを痛烈に思い知らされました。
その説とは、「間違い探しの絵、2枚が離れた場所に貼ってあったら難易度倍増説」。
内容は極めてシンプルです。
本来、間違い探しというものは、2枚の絵が隣り合わせに並んでいるのが「当たり前」です。
しかし、この企画ではその2枚を200メートル離れた場所に設置しました。
「隣にある」という固定概念を捨てる
番組では、第二ステージが「水中」、第三ステージが「巨大迷路」と、バラエティらしい過酷なギミックが用意されていました。
もちろんそれも面白いのですが、僕が最も感銘を受けたのは、第一ステージの「ただ200メートル離れているだけ」という設定です。
この「物理的な距離」こそが、この説の凄さを一番わかりやすく体現していました。
たったこれだけのこと。
しかし、この「物理的な距離」が、単なるパズルを極上のエンターテインメントに変えていたのです。
2枚の絵を同時に見ることができない。
それだけで、人は「視覚による比較」ができなくなり、「短期記憶を頼りに移動する」という運動を強いられます。
• 記憶の不確かさへのもどかしさ
• 「さっき見たはずなのに!」という葛藤
• 200メートルを往復する身体的な負荷
これらが組み合わさることで、ただの間違い探しがドラマチックな挑戦へと変貌していました。
デザインに携わる身として、この「前提を疑い、要素を切り離す」発想には、思わず唸らされるものがありました。
「公園で子どもたちと」——企画を日常に落とし込む
番組内では、「ぜひ子どもと公園で」と勧めるも、あまりの過酷さに「嫌われる!」「おもしろいとはならない」「やることに明快な答えがない」といった否定的な意見もありましたが、僕は全く逆の感想を持ちました。
「これ、子どもが集まる会でやったら、絶対に盛り上がる!」
かつて子どもたちのために企画を考えていた経験から、このシンプリシティ(単純明快さ)こそがイベント成功の鍵だと確信したのです。
例えば、広い公園はもちろん、体育館や小さな集会所でも、このアイデアはすぐに形にできます。
明快な答えはいらない。
みんなで、ただ「走って、探して、忘れて、また走る」。
そのプロセスそのものが、子どもたちにとっては最高に純粋な遊びになるはずです。
場所と年齢に合わせた「距離のデザイン」
子どもたちの歩幅や記憶力に合わせて、絶妙な「負荷」をかけるのがポイントです。
• 3m〜5m(幼児・室内):
「ちょっと歩いて振り返る」だけの距離。でも、その数秒で記憶が消えるのが面白い。
• 15m〜30m(小学生・体育館):
体育館の端から端。本気で走ると「あれ?」と混乱し始める絶妙な距離。
• 50m〜100m(高学年・公園):
往復が立派な競技になる距離。記憶力と体力の限界に挑むガチンコ設定。
【運営のポイント】
• 低コスト: 2枚の大きな絵を用意するだけ。
• 高いゲーム性: 答えがわかった子が走って答えを発表し、先着で景品をもらう。
(もちろん参加者全員に参加賞も用意すれば、さらに満足度は高まります)
• 交流の種: 親子や友達同士でペアを組めば、自然とコミュニケーションが生まれる。
人が多くなり危なそうな場合は、絵を数枚用意したり、30分を3回に分けたりすれば、時間的にも全員参加が可能でしょう。
特別なセットがなくても、「距離をデザインする」だけで、最高の遊び場が作れるのです。
当たり前をデザインし直す
「2枚の絵は隣り合っているもの」という常識。それを疑い、切り離すだけで、新しい価値が生まれる。
これは、デザインやビジネスの現場でも全く同じことが言えるはずです。
セットだと思っているものをバラバラにしてみる。近くにあるべきものを遠ざけてみる。
僕の日常には、まだまだ「無意識の当たり前」が潜んでいます。
今回の「説」は、それを見つけ出し面白く形にするための大切な教訓を教えてくれました。
もし、今あなたの目の前にある「当たり前」を一つだけ切り離してみるとしたら、それは何でしょうか?
そこにはきっと、新しい企画の種が眠っているはずです。
さいごに
子どもが大きくなり、実際に企画する機会は少なくなりましたが、いつかチャンスがあればこの「200m間違い探し」を実現してみたいと思います。
クリエイティブな刺激をくれた番組に感謝です。
