顔を隠したのは、私ではなくAI|ある完璧主義者のアイコン誕生秘話|完璧主義×AI|制作ログ⑯
私は商業出版を目指してnoteを始めようと決めた。
発信内容は、その時点ですでに頭の中にあった。
まずアカウントを作り、そのあとでアイコンやヘッダー画像などの細部を考えるつもりだった。
順番としては、普通。特筆すべきことはない。
そのはず、だった。
ただ、ここで一つ、想定外のことがあった。
実を言うと、アカウントはすでに存在していた。
いつ作ったのか、記憶にない。
あの時の私が何を思っていたのかは知らないが、とにかくnoteのアカウントだけは作ってあった。 私は普段、アカウントは作るが、発信者ではなく専ら傍観者だ。
自分で自分に驚いた。 昔のミーハーな自分が恥ずかしい。
それを忘れて驚いた今の自分は、もっと恥ずかしい。
よく言えば、忘却という時を超えた自作自演。
実際は、個人情報を入力したのを放置しただけ。
事実だけを並べると、こうなる。
発信内容を決めるより先に、アカウントがあった。
アカウントがあったことを知って、その後にアイコンを作った。
訂正する。
特筆すべきことは、あった。
そう、アイコンだ。
これまでに、アイコンについて聞いてくれた人が2人いる。2人である。
少ないと思うかもしれないが、アイコンについてわざわざ本人に尋ねるという行為には、それなりの熱量が必要だ。
心の中で「何だろう、あの顔」と思った人まで含めれば、もう少しいるかもしれない。
私のアイコンは、顔の大部分をピンク色のパズルで覆っている。
眉毛も鼻も口もない。見えているのは、目と耳と髪の毛だけだ。
いかにも、何か深い意味がありそうである。
「複雑に入り組んだ内面を、パズルで表現しました」
「他人に見せる顔と、本当の自分との境界を――」
「素顔を見せない現代人の象徴」
AIに解説を頼めば、もっともらしい背景をつけて、壮大な心理学の話にまで広げてくる可能性がある。
しかし、実際は違う。
AIが、脳パズルをどうしても顔にかぶせてきたからである。
アイコンを作り始めたこの時点で、AIを使い始めてまだ約1か月半だった。 これは、自分の理想のアイコンをAIで作ろうとして、予想外のものを気に入ってしまった、ゆるい制作ログである。
最近、このキャラクターのデザインを見直す機会があった。
そこで、この顔が生まれるまでを振り返ってみたくなった。
資料を作るつもりが、アイコンの原型まで作っていた
noteのアカウントがすでにあるとも知らず、私は最初に投稿する記事をいくつか考えていた。
内容が固まると、まずCanvaで「完璧主義4タイプ+混合型」の資料を作った。資料の中で使うためにAIで生成したのが、ピンク色の脳をジグソーパズルで表現した画像だった。

方眼紙の上に、ピンク色の脳パズルがある。
私はその画像がすっかり気に入ってしまった。
同時並行で、自分の特徴を反映した人物アイコンも作っていた。
黒髪のボブ、眼鏡、グレーのパーカー。 実物より多少親しみやすく生成されている点を除けば、方向性としては自分に近い。
そこで考えた。
この人物に、脳パズルを持たせればよいのではないか。
私はただの思いつきを、気軽にAIへ伝えた。
しかし、脳パズルがここまで頑固だとは、AIを使い始めたばかりの私には知る由もなかった。
持たせたい私 VS かぶせたいAI
私はAIに、脳パズルを顔の斜め下あたりに持たせるよう指示した。
ところが、AIは脳パズルを顔にかぶせてきた。

違う。
顔の近くではある。
指定した位置から大きく外れているとも言い切れない。
しかし、私が求めているのはそこではない。
もう一度、「顔の斜め右下」と、位置を具体的に指定した。
なのにまた、かぶせてきた。
私は持たせようとし、AIはかぶせようとする。
それならせめて、目が見えるようにしてほしいと頼んだ。
今度は片目だけ見えた。

両目が見えるように頼むと、パズルの穴から両目がのぞくようになった。
目が見えるようにはなった。私の指示も守っている。
だが、そういうことではない。

人間同士なら、そろそろ声のトーンに険が混じる頃である。
しかし相手はAIなので、何度も文章で修正を頼むしかない。
「両目が自然に見えるようにしてください」
「脳パズルは顔に密着させないでください」
「手で持っている状態にしてください」
こちらは丁寧に伝えているのに、生成される画像の中では着々と顔面の占拠が進んでいった。
突然変異した顔が、なぜか一番しっくりきてしまった
完璧主義の理想を追求する執念がMAXになった。
トライ&エラーを続けているうちに、脳パズルの形が崩れ始めた。
もはや、最初のお気に入りだった脳の形ではない。
もう何度目のやり直しだろうか。
期待感が薄れ、創作から単純作業になりそうな雰囲気を感じ始めたその時。
申し訳程度に脳らしさを残した、いびつなパズルが、顔一面を覆っている。
まるでこちらの指示に、AIが反旗を翻したかのようだ。
隙間なく、ピッタリと張り付いている。
窒息しそうである。

違う。
違う。
そうじゃない!
そっちがその気なら、こちらも絶対に思い通りに完成させてやると
鼻息が荒くなった、クリスマスイブイブの夜。
ついに、小さな奇跡が起こる。
ピンク色のパズルは、相変わらず顔の輪郭に沿って広がっている。
脳らしさが突然薄れ、代わりに、顔を覆うお面のようなデザインになっていた。
今までのように、パズルの穴から偶然目がのぞいているだけのデザインではなくなった。目をきれいに見せるために、そこだけ急にデザインのクオリティーが高くなっていた。
デザインの知識がない私には、そんな指示はできない。
私は画像を見て思った。
何これ。いいじゃん。やればできるじゃん!

普通の人物に脳パズルを持たせる。 私が思いついたのは、そこまでだった。
不毛な攻防の末に生まれたその顔は、悔しいけれど、私の案よりずっとデザイン性が高い。
しかも、妙に意味深である。
顔を隠したいわけではない。何かを偽っているつもりもない。
ただ、見る人が思わず深読みしてしまうような余白があった。
「なぜ顔を隠しているんだろう」 「パズルは何を表しているんだろう」
そう思うかもしれないし、単に「ちょっと怖い」と思う人もいるだろう。
何に見えるかは、見た人に任せればいい。
最後に、パズルを持つ手も加えた。手で持っていれば、いつか動かして顔を見せるかもしれない。そんな期待があった。
私は、「AIが予想外なものを作ったけど、意外にいい」と思って採用した。
人間とは、AIが考えるほど一貫性はない生き物である。
深い意味を込めたものより、予想外にできたものを気に入ることもある。
むしろ、私の場合はそっちの方が多い気もする。
しかも私は完璧主義について発信しているのに、肝心の顔は偶然で決めた。
人生は案外、その程度の整合性で進んでいる。
あれこれ試して、結局もとの背景色がいちばんだった
キャラクターが決まると、次は背景色が気になった。
美的センスに自信のない私は、AIに相談しながら、最後は自分の直感を頼りに背景色を比較した。
明るい色、落ち着いた色、少し違うピンク。 いろいろと試した。

色には人に与える印象があり、キャラクターとの相性があり、SNSの小さな丸いアイコンになったときの見え方が違うはずだ。
おそらく、きちんと学んだ人なら理論的に説明できるのだろう。
私はそれができない。
「こっちの方が、なんとなくいい」 それだけを頼りに検討を続けた。
そして最終的に、最初の背景色へ戻った。
悪くない一周だった。
他を見たからこそ、最初がよかったと確認できたのだ。
完璧主義者は、こうして安心を買うために一周する。
流行りに乗ったら、アイコンが3Dフィギュアになった
noteへの投稿を始めて、半月が経過した頃。
アイコンなどを3Dフィギュア化する投稿が流行っていた。
私もやってみた。箱付の立体的な3Dフィギュアのキャラクターができた。
気に入った。そして即、noteのヘッダー画像の素材に採用した。

初めて3Dフィギュアのヘッダー画像を作った後の、あの感動は今もよく覚えている。
両手でピースをさせる。 ハートを作らせる。
三人並べて、ぶりっこをさせる。
深夜のテンションで、ゴルゴ松本さんの「命」のポーズをさせようと格闘したこともある。
なぜそこまでしたのかは、深夜だったからとしか説明できない。
しかも、その格闘の過程をXに投稿した。
急にAIが機嫌を損ねたのか、指示通りに生成されない。
— 瑞馬かおり|完璧主義×AI“動かす”設計 (@mizumakaori) January 12, 2026
完璧主義の私とAIの深夜の真剣勝負!
Whiskで3Dキャラに難ポーズをさせたい⁈#完璧主義 #夜遊び #意地 #AI #暴走 #3Dキャラクター #Whisk #生成AI pic.twitter.com/5I8kmnnxRZ
(実際の投稿:試行錯誤②、完成&格闘履歴)
深夜に作ったものを、深夜のうちに世間へ出してはいけない。
人は朝になると理性を取り戻すが、投稿は残る。
現在は、noteでスキやフォローをしてもらったときに表示される画像にも、当時作ったものを使っている。 いつの間にか、SNSに置くただのアイコンではなくなっていた。

記事を書くたび、今度はどんな世界で、何をさせようかと考える。
ここまでくると、もうアイコンではない。立派なキャラクターである。
PCや携帯の壁紙にも使用している。気に入っているにもほどがある。
SUZURIで自分用の部屋着にするTシャツとパーカー、ステッカーなどを作ろうとしている。 デザインは考えては寝かせての無限ループ状態だ。
自分用なのだから気楽に作ればいいはずだが、納得するまでは注文できそうにない。
顔だけで十分だったのに、服まで固定してしまった
実は一つだけ、少し後悔していることがある。
服装まで固定してしまったことだ。
このキャラクターは、いつもグレーの長袖パーカーを着ている。
夏でも長袖である。しかも下に白Tシャツまで着ている。
ちなみに、最初にグレーのパーカーを着せたことに深い意味はない。
単純に私の好みである。
漫画やアニメのキャラクターは、季節を問わず同じ服を着ている。
年齢も変わらない。それでいいと思っていた。
しかし、記事ごとにさまざまな場所へ連れていくうちに、服装や髪形はもっと自由でもよかったのではないかと思うようになった。
そもそも、顔面がピンク色のパズルで覆われている。
個性としては、もう十分である。
おそらく、これを問題だと思っているのも私だけだ。 読者は、真夏にヘッダー画像を見ても「この人、暑そう」とまでは考えていないだろう。
それでも本人は気になる。
今後はグレーのパーカーを基本形として残しつつ、記事の内容や季節に合わせて、服装や髪形を緩く変えてみたいと思っている。
キャラクター設定を守るというより、キャラクターと一緒に遊ぶ方向へ進みたい。
おっと・・・

他人には同じ顔、本人には修正案件
ずっと、目の周りのデザインが気になっていた。
おそらくこれも私以外は、誰も気づいていない。
しかし、作った本人だけは分かる。
最初の突然変異で生まれた目元のデザインは、目をきれいに見せる独特な形をしている。 当時のAIでは、その目元のデザインまで精密に再現した3Dフィギュアのキャラクターを生成できなかった。目の周りが単なる穴になったり、形が曖昧になったりする。
少し前に、キャラクターデザインというものを知った。

正面、横、後ろ、斜めと、元の特徴をある程度安定して再現できるデザイン資料を作った。 安定した画像を生成できる確率が格段に上がった。
そして最近、目元をアイコンと同じデザインにアップデートした。
私の説明力は相変わらずだが、あれからAIの画像生成技術は進歩した。
今なら話が通じるかもしれない。
頼れるものには、頼っておきたい。
そう思ってもう一度頼んでみると、案外とあっさり応えてくれた。
私が気にしていた目元のデザインをかなり精巧に再現してくれている。

そして、新しいキャラクターデザインを作ったことで、
過去記事のヘッダー画像を作り直したい欲が、noteを開くたびに顔を出す。
これも、たぶん完璧主義の仕業である。
この無表情な顔は、まだ育っている
AIは時々、このキャラクターに口や鼻や眉毛を勝手につけ足す。
笑ったり、驚いたり、表情豊かな姿を作る。
そういう画像を見ると、表情がある方が便利だったかもしれないと思う。
うれしい記事なら笑わせられる。 困った記事なら眉をひそめられる。
今の顔には、そもそも表情を作るためのパーツがほとんどない。
それでも、元の無表情な姿を見ると、やはりこれがいいと思ってしまう。
最初から深い意味を込めて設計したキャラクターではない。
AIが指示どおりに作らなかったことで、あの顔が生まれ、偶然知った流行によって3Dフィギュアになり、記事を書くたびに少しずつ育ってきた。
そして、何か大きな……
いや、重大な出来事があれば、この顔も表情解禁となるかもしれない。
たとえば、創作大賞を受賞したときや、商業出版が決まったときとか。
それまでは、この無表情なパズル顔と一緒に、記事を書いていく。

今さらだけど、最初はかけていたメガネ、いつ消えたんだろう。
ま、いっか。
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note記事をもとにした深堀Podcastです。
「動ける完璧主義ラジオ|未完成の取扱説明書」も配信しています。
現在は、過去記事をもとにした回を順次作成・配信中です。

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