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大人になって気づいたこと。

小さい頃は、
「知らない方が幸せなこともある。」
そう言われても、よく分からなかった。

むしろ逆だった。

たくさん知った方がいい。
たくさん学んだ方がいい。
たくさん経験した方がいい。

その方が人生は豊かになるし、幸せになれる。
そう思ったし、疑うことはなかった。

知らないことは損をすることだと思っていたし、
知識が増えることは、
ただのプラスだと思っていた。

でも、少しずつ大人に近づくにつれて気づいた。

知ることは、
必ずしも幸せになることではない。

世の中には
知らなくてもよかったことがたくさんある。

大人のずるさ。
誰かを利用する人がいること。
頑張っても報われないことがあること。

そんなことを知るたびに、
少しずつ世界の見え方が変わっていった。

子どもの頃はもっと単純だった。

好きな人は好き。
嫌な人は嫌。

楽しいことは楽しい。
悲しいことは悲しい。

何かがあると、
そのどっちかの感情だけで頭の中が埋まる。

なのに今は違う。

何かが起こっても、
白黒で判断できないことばっかり。

自分でも気づかないうちに、
いろんなことを考えるようになった。

知らなかった頃には戻れない。

一度知ってしまったことは、
なかったことにはできないから。

そして時々思う。

「何も考えていなかったあの頃が、
一番幸せだったのかもしれない。」

と。

もちろん、
大人だからできることもある。
見える景色もある。
自由もある。

それでも、

夕方まで友達と遊んで、
お腹が空いたら帰って、
明日のことなんて考えずに
眠っていたあの日々を思い出すと、
少しだけ羨ましくなる。

あの頃の私は、

人にどう思われるかより、
何をしたいかを考えていた。

失敗するかどうかより、
やってみたいかどうかを大事にしていた。

将来への不安も、
人間関係の複雑さも知らなかった。

知らなかったからこそ、
心は軽かった。

知ることは大切だ。

何も知らないままでは、
自分を守れないこともある。

騙されることもある。
傷つくこともある。
だから知識は必要だと思う。

ただ、

知ることには重さがある。

知れば知るほど、
考えることが増える。

考えることが増えるほど、
悩みも増える。
それはきっと避けられない。

だからこそ、
「知らない方が幸せなこともある。」
という言葉は、

知ることを否定しているんじゃないと思う。

きっと、

知らなくていいことまで背負わなくていい。

という意味なんだと思う。

誰かの悪意。
ネットの争い。
遠くで起きた誰かの言葉。

本当は
気にしなくてもいいことまで
抱え込んでしまう時代だから。

全部を知ろうとしなくていい。
全部を理解しようとしなくていい。

知らないまま通り過ぎることも、
自分を守るためには必要なんだと思う。

大人になるにつれて、
たくさんのことを知った。
そのおかげで強くなれた部分もある。

でも同時に、

知らなかった頃の無邪気さや、
純粋さを少しずつ置いてきてしまった気もする。

だから時々は、
難しいことを考えるのをやめてみたい。

明日の不安も。
誰かの評価も。
将来の心配も。

ほんの少しだけ横に置いて、
子どもの頃みたいに空を見上げてみる。

そんな時間があってもいいと思う。

知ることで大人になった私と、
何も知らなかったあの頃の私。

本当に幸せなのはどちらなのか。

その答えは分からない。

ただ一つ言えるのは、
「知らない方が幸せなこともある。」
そう気づいてしまった時点で、

私たちはまた、
少しだけ大人になったのかもしれない。



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