あの頃に戻りたい。#わたし世界観No.11
「あの頃に戻りたい。」
そんなことを考える夜がある。
子どもの頃かもしれない。
学生時代かもしれない。
昔の恋愛かもしれない。
今より幸せだったと思える時間。
今より笑えていた気がする時間。
ふとした瞬間に思い出しては、
少しだけ胸が苦しくなる。
私は
「あの頃に戻りたい」
と思う気持ちは、
とても自然なことだと思う。
人は今が苦しい時ほど、過去を見つめるからだ。
昔の写真を見返して、
昔よく聴いていた曲を流して、
懐かしい景色を見て。
そのたびに思う。
「あの頃はよかったな。」って。
けれど、不思議なことがある。
本当にその時に戻れたとして、
私たちは、私たちが理想としている
幸せを感じられるのだろうか。
たぶん、そう簡単な話ではない。
なぜなら私たちは、
思い出を少しだけ綺麗に加工してしまうから。
あの頃にも悩みはあった。
将来への不安もあった。
人間関係で傷ついた日もあった。
泣いた夜だってあったはずだ。
なのに時間が経つと、
苦しかった部分は薄れていく。
残るのは楽しかった記憶や、
温かかった感情ばかりになる。
だから「あの頃に戻りたい」の正体は、
本当に過去へ戻りたいわけでは
ないのかもしれない。
あの頃の自分が持っていた何かを、
もう一度感じたいだけなのかもしれない。
未来を信じていた気持ち。
何者でもなかった自由さ。
誰かと笑い合えた時間。
安心できる居場所。
そういうものが恋しくて、
私たちは過去を見つめる。
そしてもう一つ。
「あの頃に戻りたい」と思う時は、
今を頑張りすぎている時でもある。
毎日やることに追われて。
失敗しないように気を張って。
周りと比べて。
気づけば心が疲れている。
そんな時、
脳は無意識に安全だった場所を探す。
その結果として思い浮かぶのが、
昔の思い出だったりする。
だから過去を懐かしむこと自体は悪くない。
多分
思い出に救われる日もあると思うし、
昔を振り返ることで、
今を生きる力が少し戻ってくることもある。
ただ、
過去に居続けると苦しくなる。
どれだけ願っても、
時間だけは戻らないから。
戻れない場所を見つめ続けるほど、
今の自分が嫌になってしまう。
それは少しもったいない。
今のあなたは、
あの頃の続きを生きている。
楽しかった日々も、
苦しかった日々も、
全部抱えながらここまで来た。
あの頃には戻れない。
その代わり、
これから先に「あの頃」が増えていく。
数年後の自分が振り返った時。
今日という日も、
懐かしく思えるかもしれない。
今は苦しくても。
今は何もないように感じても。
未来の自分から見れば、
かけがえのない時間になっているかもしれない。
だから「あの頃に戻りたい」と思った日は、
無理に前を向かなくてもいい。
少しだけ思い出に浸って。
少しだけ懐かしくなって。
そのあとで、
また今を生きよう。
過去も今も未来も、
辛いこと苦しいこと、
楽しいこと嬉しいことがたくさんある。
でも
戻れないからこそ、
思い出は綺麗なんだと思う。
だから私は、
未来の私が
「あの頃に戻りたい」と思うような
今を生きようと思う。
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