窓を開けるな。 #シロクマ文芸部
窓を開けるわけにはいかない。
あっという間に、奴らに侵入されてしまう。
当然のように無許可で、音もなく。
そうして猛威を振るうのだ。
「負けないぞ」
そんな決意は瞬時にもろく崩れ落ち、一度奴らの手にかかってしまえば、なすすべなく完敗だ。
どこにそんな力を秘めているというのだろう。
目にも見えないその姿の、どこに。
窓を開け、日の光を浴び、空気の入れ替えをしたほうがいいことなんて、わかっている。
しかし、そんなメリットなど奴らの被害に比べれば、はるかに大きいデメリットだ。
数ミリでも窓を開けてみろ、たちまち戦場と化す。
窓の向こうで、奴らは今か今かと好機を伺っている。
いつも通りに見える風景も、いつも通りではない。はっきりとした違いはないのに、確実に存在している不穏。
そう思うのは神経が過敏になっているせいだろうか。
目は血走り、呼吸は荒くなり、身体の表面にはピリリと刺すような感覚が広がる。
しかし、それでいて頭はぼんやりとしている。
なんて巧みな攻撃だ。
「ずいぶんと辛そうだな」
「……もう、だめかもしれないな」
なんとか酸素を取り込もうとしながら、かすれた声で答えるのが精一杯だ。
奴らの侵入と被害を、ゼロにすることはできない。
私のあとをついて回るように、ピタリと身体中にまとわりつくように。
少しの休息も許されない。
食事中にさえ窒息の危険を感じる。
おちおち眠ってもいられない。睡眠中にも容赦なく奴らは攻撃を仕掛けてくるのだ。
奴らの攻撃を防ぐ手立てはないのか。
窓を開けないこと。
それはわずかな抵抗でしかない。
窓を開けずしても甚大な被害を受けてしまうのだ。
一歩外へ出れば地獄を見ることになるのは明らかだった。
たちまちに、奴らの餌食になるだろう。
どうにも、ならないのか。
花粉め。
#シロクマ文芸部 企画に参加しました。
ほぼほぼノンフィクションのショートショート、っぽいエッセイみたいなもの、かもしれない。(長い)
今年は意外と耐えられるんじゃないの? とわずかにでも思った自分への皮肉か、ちょうど昨日、大爆発しました、もーーだめです。
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2025.03.14 もげら
