今日、雷は落ちる。 #シロクマ文芸部
雷はまだ遠い。
けれど、それが確実に落ちることを、私は知っている。
三月の終わり、学校の帰り道。
見上げた空は快晴で、雷の気配なんて少しもない。
けれど、私は知っている。予感ではなく、確信だ。
雷は、必ず、落ちる。
「はあ、」
ついつい漏れるためいき。
四月からは高校三年生になる。
このままじゃいけない、しっかりしないと。その自覚もある。
雷からは、逃げられない。雷は落ちる。しかも、絶対に避けられない。
まだ誰も居ない家に帰って、誰に言うでもなく「ただいま」と言いながら、自室へ直行。
ドサリとカバンを下ろすと、そのまま私もドサリとベッドへダイブした。
このまま誰にも会わずに、ふとんにくるまって居られたら——
それが叶わないことも知っている。
「あーあー」
一人で無意味な音を発してみてもどうしようもない。
ベッドの上で、バタバタと足を動かしてみても、どうしようもない。
雷は、落ちるのだ。
「ただいまぁ」
階下からママの声がした。
どれくらいベッドの上にいたんだろう。
いつの間にか、雷はすぐそこだ。
コンコン、とドアをノックされる。
「寝てるのー?」
「起きてるよー、おかえりー」
雷なんて、怖くない。
「学校お疲れさま」
ママはそう言って右手を出した。
なにを、とどちらも言わなくてもわかる。
私はのそのそとベッドを降り、放り投げたままのカバンから一枚の紙を取り出した。
「ど、どうぞ……」
「はぁーい」
にこやかにそれを受け取ったママは、けれど次第にその表情は硬くなる。
「ぅ、わっ……!」
思わず、といったように、ママから声が上がった。
「ご、ごめんなさぁ〜い! 三年生はがんばるから! ね、ねっ!」
私は知っている。
言い訳しても、開き直っても、私にもママにもどうしようもない。
雷は、落ちる。
ママは一瞬、息を止めた、ように思う。
チカチカ。見えないはずの稲光が、見えた。
ああ、雷は、もう、すぐそこに——、
「どうして、こんな成績になってるのっ?! なにしてたの!」
雷が、落ちた。
#シロクマ文芸部 企画に参加しました。
学校の成績が悪くて雷が落とされる(=怒られる)ってまだあるんだろうか、と思いつつ。(『雷親父』とか死語……?)
私の時代でもそんな怒られることはなかったような。
というか、通知表自体まだ生き残ってるのかな? 紙で渡されるのかな?(現代の学校事情がわからない)
ちび●るこちゃんを見てたら、めちゃくちゃ怒られてたので、それに引っ張られた感はあることを正直に告白します。
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2025.03.22 もげら
