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祈るのは、終わりか、延長か #シロクマ文芸部


 祈ることばを呟いてみても意味がないことはわかっている。
 祈ることは、自分の無力さを認めることで、諦めることと同じだ。

「どうにか、なりますように……!」

 祈る。祈る。

 ……「祈る」と「願う」はどう違うのだろうか。

 たとえば「あの子には幸せになってほしい」は「祈る」だろうか、「願う」だろうか。
「アイツなんか消えてしまえ」は「祈る」だろうか、「願う」だろうか。
 それとも、「望む」だろうか。
 ああ、「消えてくれ」は「呪う」だろうか。

 ……そんなことを考えている場合じゃない。
 祈らなくては。
 いや、祈っても意味はない。
 自分の無力さをいまさら嘆いても意味はない。

 エアコンの効いた部屋にいるのに、背中に一筋汗が伝った感覚がした。


「明日の準備できたのー?」

 突然、階下から母の声が聞こえて、肩が跳ね上がった。
「えー、うん、まあねー」
「早くお風呂入って、寝ちゃいなよー」
「はーい」
 咄嗟に出た嘘。
 ここで嘘をつこうが、本当のことを言おうが、変わりはない。


 明日。……明日までに。どうにか。

 なる、わけない、な。


 明日、登校日。
 白紙の宿題。

 宿題が終わりますように。
 夏休みが終わりませんように。
 祈るべきはどっちだ。

 どっちだって同じ。どっちだって違う。
 祈ることすらも、無意味だと悟る。



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2025.08.17 もげら

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