Nintendo Switch 2の値上げと日本経済の実情
任天堂が2026年5月8日、Nintendo Switch 2の価格を1万円引き上げて約6万円にすると発表しました。小学生、中学生の子供がいる家庭では、勘弁してくれと思った方もおられたのではないでしょうか。
子供が遊ぶゲームが6万円は高過ぎるわ https://t.co/mV9JsVHWZy
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) May 11, 2026
うちは元々、Switch 2が出た時点で全然買うつもりはなかったのですが、今回のこのSwitch 2の値上げについては、今の日本経済が置かれている状況について色々考えさせられるところがあります。この記事では、Nintendo Switch 2の値上げと日本経済について解説します。

Switch 2の国内価格は59,980円に
5月8日、任天堂はSwitch 2の国内での販売価格を1万円引き上げて、59,980円にすると発表しました。5月25日から新しい価格になるとしています。海外では9月1日から値上げする予定で、アメリカでは50ドル値上げして499ドル、欧州では30ユーロの値上げで499ユーロになるということです。

元々Switch 2が発売された時の価格が49,980円で、高いなと多くの人たちが思ったのではないでしょうか。
うちは最初のNintendo Switchが出た時に、当時の価格は3万円ぐらいだったと思いますが、それでも高いなと思いながら購入しました。もうそれ以上高いものを買う気はなしで、Switch 2が出て子供が欲しそうにしていましたが、そろそろゲームを卒業するいい時期かなと思いまして、そんなに高いものは自分で稼げるようになってから自分で買えと言ってきました。長く使えるものではあるとはいえ、日本円で6万円というのは、贅沢品の域に入るのではないでしょうか。
海外で売る方が儲かる状況
ただ、それでも海外での販売価格に比べると日本の方が安いわけです。1ドル150円で計算しても、北米の499ドルは大体7万5千円ぐらいです。499ユーロは9万円ぐらいですので、任天堂は海外で売った方が儲かるわけです。しかも材料の多くをドルで輸入している関係で、国内で売れば売るほど利益が減るという状況になっています。
すでに任天堂の売上は地域別では北米が最も多くなっていますが、今回の値上げで今後ますます海外のシェアが高くなっていくことが想定されます。

当然、上場企業なので儲けなければいけませんので、より高い値段でも売れる海外で売ることを考える、価格が高くても買ってくれる北米の顧客のニーズに合わせて商品を開発する、こうした方向性は今後ますます強まっていくことになるでしょう。
今の円安、そして日本の物価や賃金動向が密接に関係しているというわけです。
ゲームが高額になることへの受け止め
これについて、ゲームがこんなに高額になるなんて、ゲームが庶民的な遊び道具じゃなくなるなんて、日本では寂しい出来事として受け止めている人もいると思います。ただ私なんかは、これを機にそんなゲームばっかりやっていないで、日本の子供たちももうちょっと本を読んだりとかすればいいんじゃないのかなと、そんな風に思ってしまったりします。ただ、そんなことを言っているから子供に話を聞いてもらえなくなるのかもしれません。
実際、Switch 2を買えないからと言って、今の多くの子供たちはスマホの無料のゲームをやったり、くだらないショート動画ばっかり見ているだけでしょうから、これを機に本を読もうなんて言っても、実際あんまり意味はないかもしれません。
「そんな短い動画ばかり見ていて何の役に立つのか」と思うこともありますが、これが現実なのです。
値上げの背景にある半導体価格の上昇
一方で、今回の値上げについては、もう一つの大きな経済動向と密接な関わりがあります。任天堂は今回の値上げについてどう説明しているかというと、半導体の価格が上昇したこと、それからその他の様々な費用が増加したことなどを要因に挙げています。そして同時に発表されました2027年3月期の決算見通しは減収減益、つまり任天堂は儲けているわけではなくて、現在価格の高騰などを受けて価格を上げざるを得ない状況だというわけです。

こうした状況のため、任天堂の株価はこのところ不調が続いています。2025年8月に株価は1万4,000円を超えていた時期もありましたが、2026年5月11日の時点で株価は7,020円、半分以下に下がっているという状況です。
任天堂が儲かっていないことの意味
任天堂がSwitchの価格を引き上げて儲けようとしているわけではないんだなと、それだったらまあしょうがないかなと思われがちですが、そういうことではありません。むしろ任天堂が儲けていた方がまだマシで、
任天堂が儲かっていないというのが、むしろ日本経済の今の苦しい状況を表しています。
Nintendo Switchに使われている半導体はどこが作っているかというと、NVIDIAが設計開発していると言われていますが、それを受託製造しているのが韓国のサムスン電子だと見られています。
サムスンが儲かる構図
韓国のサムスン電子については、2026年第1四半期において半導体の利益が前年同期比49倍に膨れ上がって、2026年の営業利益は39兆円にもなるという見通しが出ています。
ということで、Nintendo Switchの価格が上がって日本の消費者は苦しい。そして任天堂も苦しい。では誰が儲かっているのかと言ったら、サムスン電子が儲けているという、そういう構図になっているわけです。ますますSwitch 2なんて買いたくないなと思ったのは私だけではないでしょう。

ただ、こうした状況について、韓国経済が素晴らしいということではありません。半導体関連企業が儲かる中でも、韓国では若年層の失業率は上昇していたり、格差の拡大が起こっています。韓国が素晴らしいということが言いたいわけではないのですが、半導体分野に関しては、現状、韓国や台湾の一部の企業ばっかりが儲かる構図になっているということです。
日本の半導体産業が衰退した背景
こうしたことになってしまった要因、日本の半導体産業が衰退してしまったことについては、様々な要因があるというのは、皆様もご存知のことだと思います。日本の半導体メーカーの戦略不足もあったと見られていますが、1986年の日米半導体協定で潰されたというのも大きかったでしょう。
当時、半導体分野で日本企業が躍進し、世界シェアの5割を握っていた中で、アメリカが自国の半導体産業を守ることと貿易赤字の解消を目的に、日本での外国製シェア20%の確保を求めたというものです。当時、こうしたアメリカの圧力を回避するのは容易ではなかったと見られます。こうした歴史があって今に至っていて、そういう意味で半導体産業を復活させるというのは、なかなか難しいというのが実情でしょう。
日本にも残る強み
とはいえ、半導体分野において日本は今でもシリコンウェハーといった材料では、引き続き高いシェアを有しています。
シリコンウェハーというのは、半導体チップの土台となる高純度のシリコンから作られた薄い円盤状の基盤のことですが、今でも日本企業が世界で5割以上のシェアを持っているとされています。そういう意味では、シリコンウェハーを作っている信越化学とかSUMCOとか、今の状況で恩恵を受けている企業もあります。

ただ、そうした利益を得ている企業は一部で、その規模は韓国や台湾の企業に比べると相対的に限られている。あまり日本下げみたいなことを言うつもりはないにですが、今起こっていることについては、これが実情でしょう。
Switch値上げから見える経済の構造
半導体分野に関しては私は専門家ではないので、日本の半導体産業をこれからどうしていくべきだとか、そのあたりの議論は避けます。
ただ、経済で起こっていることを伝える私の立場としては、このNintendo Switchの値上げの背景にはこうしたことがあるんだということを、Switchが値上げされたことを話題にしている若者たちにも、もっと知ってもらいたいなとは思っています。
そして、ゲームで遊んでいる場合じゃないんだよと、遊ぶことばっかり考えていたってこの状況は変わらないんだよと、日本の子供たちにも教えてあげたいところですが、私のような声はなかなか届かないかもしれません。
ご参考
需要と供給があって、今の価格が決まっているわけですが、今回のように供給が減少する事態が起これば、当然価格は上がります。ただ、価格が上がると今度は需要が減少します。
サイトマップ(目的別)はこちら

